『笑うに笑えない大学の惨状』(安田賢治著)を読んでる。内容は、少子時代の、大学の生き残り策だよ。
学費無料のスポーツ推薦で、知名度の低い大学でも有望選手を集められる。それで、その選手が活躍したら、大学は広告効果が望め、受験生増が期待でき、バンバンザイ。箱根駅伝がその代表だね。昨シーズン活躍したプロ野球、ヤクルトの小川、楽天の則本、両新人とも、有名でない大学出身ということで、逆に注目されたよ。
一方、学力はどうだろう。特待生制度は、入試の成績次第では、学費無料だ。優秀な生徒としては、ランクを落としても、その大学に進学する道がある。なんたって学費無料だし、ゼミなんかでリーダーシップを磨く機会も多そうだからね。
でも実際は、特待生制度は、スポーツ推薦ほど人集めに効果がないらしい。多くの生徒が、フツーに学費を払っても偏差値の有名大に進むんだって。
スポーツと学力で、なぜ、こんな違いが生まれるの? スポーツ界は実力社会だけど、実業界はまだまだ学歴社会だから? でも、高級官僚や派閥のある大企業を除いて、多くの会社は実力社会になってるよ。親や学生の認識と、現実がズレてるのかな?
で、大学だ。思うほど優秀な学生を集められず、でも、上位○%の学生は無料で受け入れざるを得ず、学費無料者が増えるばかりで、経営は厳しいままとか。定員の充足率が高いからといって、経営が安泰とは言えないんだって。充足率だけ見ていては内実は分からないってことだよ。
充足率に関して言えば、じゃあ定員を減らせばいいじゃん、という考えが浮かぶ。定員300名に250名しか集まらないから、充足率が下がるんだけど、定員を250名にしたら、100%だ。これにも問題があって、先生を減らすわけには行かないから、総人件費は高いままで、これまた経営は苦しいんだって。
でも、学生数に対して先生数が多いわけだから、教育の質は高まりそうなもんだけどね。
先生数に関しては、各大学は、非常勤講師を上手く使ってるよ。薄給で結構大変。そんな人使いの大学は、ブラック大学と呼ばれてるよ。
教育の質に関しては、教員1人当たり学生数の問題でないね。この前取材した、某簿記専門学校は「生徒2名」だったよ。マンツーマンどころか、先生複数名に学生1人だ。
ま、大学は現状維持も地獄、拡大路線も地獄、縮小路線も地獄ってとこかも。
教育に関しては、ローン化する奨学金とか問題山積。
「山男に悪い奴はいない」という常識、「教育はいいものだ」という常識。もう根本から疑ってかからないとならないね。
大学経営に興味のある方は、ぜひ。