壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

田原総一朗氏のブログを読み考えた

2013年02月27日 | かんじる

なんだかな~と思いました。これでは、「ほとんど意味ないのに、巨大ダムを作る」と同じでないか。

以下は、田原総一朗公式ブログより。2月25日付。

全国の商店街にはシャッターが閉まっている店が多い、という趣旨の文に続けて(以下引用)「日本の人口は、これからますます減っていくのだ。本当に地域活性化を、真剣に考えなければならない時期にきているのだ。

先日、僕が担当するラジオ番組に、おもしろい投書があった。ニューヨークに住む男性リスナーから、こんな提案があったのだ。
「例えば、AKB48のメンバーが、47都道府県をそれぞれ担当する。一人ひとりが各県の盛り上げ隊長になって、さびれた商店街にいきなり顔を出す。そして、『その商店街の売り上げが1000万円上がったら握手会を開きます』と発表すれば、ファンがCDではなく生活用品や食料品を買いに行くだろう」という内容だ。
おもしろいアイデアだと僕は思う。

AKB48のファンは、総選挙のためにCDを100枚、200枚も買う人もいるという。そういうファンたちがそのうちの一部だけでも、商店街で買い物するようにしたら、すごい金額になるだろう。それだけではない。テレビで活躍する人気者が来るという「非日常性」が、街に活気を呼ぶのではないか。
(引用終わり)

(全文は次のアドレス)
http://www.taharasoichiro.com/cms/

100枚もCDを所有して、どうするのかね。大多数は押し入れに眠るでしょ。1枚1000円として、10万円も払ったけど、実際に聞くのは1枚(1000円)だけ、というわけさ。

何億円もかけて作ったダム(←公共事業の代名詞ね)も、投資の割に機能しない。ただ、水をためているだけ。もちろん治水など少しは機能するでしょう。工事の過程や竣工後の運用保守で雇用も生む。経済効果は少しはあるんだろうけど、それってどうよ。100枚のCDを買いながら聞くのは1枚と同じじゃん。

単に雇用を生むだけなら、どこかの野っ原で、「穴を掘って、はい、次は埋めて」を繰り返せばいい。公共事業なんだから、給料は国庫から出す。元祖はニューディール政策なんだろうけど、当時と今じゃ、社会背景、インフラの整備状況、価値観ががらりと変わってるからね。

仕事には、意義が必要だ。人はパンのみに生きるにあらず、だよ。昔、シベリアの地で、穴を掘っては埋め戻すという作業を繰り返す、刑罰があったと聞きます。仕事じゃないよ、刑なんだよ。

片や地面を掘る、片や岩をくり抜く。やることは似てても、青の洞門とは、岩盤を打ち抜きトンネルを作るという意義があるだけに、えらい違いだよ。

さて、AKBのファンはCDが100枚というモノが欲しいわけでない。選挙権(権利)、ファン仲間との交流、AKBの特別ステージの鑑賞などソフトが欲しいわけ。これからの時代は、ハードじゃない、ソフトの時代だよ、絶対に。ハードにもソフト(物語)が染みていないと支持されないよ。

第一、CDをたくさん作ると、資源の無駄でしょ。選挙権が欲しいという人には、CDというハードでなく、株券のような紙とか電子の権利書(ソフトの証票)を売ればいい。

労働者の数が、第一次産業から第二次産業、第三次産業に移行する。第三次の中でも、さまざまな需要動向を考えると、特に金融だね。イギリスが英国病から脱出し、産業復興したとされるのも、その産業って金融でしょ。

同じ大三次産業でも、美容院や映画は、実需が増えないと伸びないけど、金融の需要は無限だからね。土を掘り返して埋め戻す作業を100回やると100万円あげるという話には乗らなくとも、100万円預ければ1年後に150万円にして返すという(信頼できる人の)話には、多くの人が乗るでしょ。(100万円の余裕資金があればね)

つまり、金融って幻想だよ。幻想は無限だよ。紙幣は「国がそれだけの価値がる」と保証しているから価値があるんであって、本来的には、ただの丈夫な紙だからね。

何が言いたかったのかな。自分でも混乱してしまうよ。

言いたいことは、商店街もAKBも、CDなどのハードでなく、ソフトを売れってこと。俺があくび指南してやる。指南料(月謝)は月10万円でいいや。それくらいソフトを強烈に創り出さなきゃ、需要なんて生まれないよ。




手抜きは次ステップへgoの信号

2013年02月22日 | お願い

手抜きは、悪いことじゃない。次のステップに進む態勢が整ったから生じたと受け止める。今の段階に倦んでいる。だったら、次の段階へ進めばいいじゃないか。

例えば建築士。耐震構造偽造事件があったね。手抜きしてしまったのも、マンション設計に慣れ、経験も豊富だったから。あれがドーム球場の建設という仕事なら(初めての経験なので)手抜きはできなかったはず。

野球選手もマンネリを感じたら、ポジションを変わったり、スイッチヒッターに挑戦したりしたらいい。落合博満氏の『采配』には、プロ入り2年で結果が出なかったら、そのオフにスイッチヒッターに挑戦しようと考えていた、と書かれていた。

ビジネスパーソンの皆さん。もしあなたが営業の仕事に手抜きし始めたら。それは、その仕事に習熟し熟達している証拠。もう一つ上の段階を目指そうよ。

最初の2段落は、テリー伊藤氏の本に書いてあった。なかなか良いことをいうなぁ。


『自分のアタマで考えよう』(ちきりん著)読後記

2013年02月20日 | よむ

『自分のアタマで考えよう』(ちきりん著)を読み終えました。以下、備忘的に。

1)判断基準を持とう。
情報が多いから迷うのでない。判断基準がないから迷うのだ。東京にレストランは星の数ほどある。でも、迷わない。予算は500円、多忙なので20分で食事完了、オフィスから徒歩5分圏内、といった判断基準があるからだ。

2)レベルを揃える。
BOPビジネスが叫ばれている。アフリカ市場は9億人だ、というフレーズ。おかしくないか。この言い方が成り立つと、「アジア市場は35億人だ」という言い方もできるはず。アフリカには50以上の国がある。それぞれ国情が違うはずなのに。

これについては、次の例も面白かった。
Aさん:契約社員はボーナスもなく大変だ。
Bさん:でも、自分が好きで契約社員を選ぶ人もいる。
この会話のレベル感の違い。Aさんは「自分が好きで契約社員を選ぶ人もいることは知っているが、そうでない人もいる。そうでない人について「ボーナスもなく大変だ」と言っている。

東京のレストラン、アフリカ市場など、ちきりん氏はたとえが身近で分かりやすい。

3)段階グラフ(滝グラフ)活用。
思考のタネを得るために、効果的である。

4)各国のメディア比較。
日本人(日本企業)のグローバル化がいかに難しいか、が分かった。9・11の際の、アメリカCNN、イギリスBCC、日本NHKの報道内容の比較をしている。
CNN:パニック状態の映像を流し続けた。
BCC:最初はパニック状態の映像だったが、すぐ背景分析など報じ始めた。
NHK:自国民(日本企業の日本人社員)の安否確認をメインに流した。
ちきりん氏は当時、外資系企業に勤めていた。「外資系企業の日本人社員である私は、NHKに報じてもらえないんだ」と感じたとか。
ビジネス界では、グローバル人材の養成が急務といった話題が盛ん。でも、NHKの報道内容一つとっても、島国日本人には、それが難しいことが類推できる。

●まとめ
いったん知識は分離する。日本のプロ野球ファンの年齢別構成は忘れる。
意思決定のプロセスを決める。レストラン選びの判断基準を作る。
なぜ、だからなんなの(Why,So what)を問う。
あらゆる可能性を探る。総論からの原因分析、樹形図。ミッシー。
縦と横に並べる。同じものの時系列比較、他者比較をする。
判断基準の取捨選択をする。経済力、相性の2軸だけで相手を判断する婚活女子に学ぶ。
レベルを揃える。50以上国があるアフリカを、他の一国と比べない。
自分独自のフィルターを持つ。就活生のあたふた。ゲームのルールを変える。
データはとことん追いかける。段階グラフの活用。
視覚化で思考を深化させる。「有意義な人生」の図の例。
知識は「思考の棚」に整理する。2軸マトリクス、3国の放送局のマトリクスを棚とし、空欄について仮説を立てておく。





『自分のアタマで考えよう』(ちきりん著)読み始め

2013年02月18日 | よむ

『自分のアタマで考えよう』(ちきりん著)を読み始めたよ。冒頭、プロ野球人気の変遷についてグラフがあり、ここから考えられることを述べよ、という問いかけがありました。

1970年の調査、プロ野球ファンは20~30代が多い。
2010年の調査、プロ野球ファンは40~50代が多い。

プロ野球は、若いファンの獲得に成功していない。このままだと、ファン離れは進む一方。いまの中心ファンが亡くなる頃には、ファンがいなくなるのではないか。

これは、考えられることでなく、既に知っていること、とちきりん氏。

考えられることは色々あるが、一例として、日本の野球事情を知らない留学生が、もしこのグラフを見て考えれば、として書いています。可処分所得の多い高齢層にファンが多い。野球ビジネスは有望だ、と。

僕は、調査の時間差に着目したよ。40年前の娯楽、2010年の娯楽。後者は多様化している。スポーツも、野球ばかりでなく、サッカーもバスケットもプロリーグができたし、多様化している。「巨人、大鵬」でないが野球と相撲だけでない。若い人ほど多様なスポーツに接している。だから、高齢者のほうが、かつてよく視聴したプロ野球ファンの比率が高くなるのは当然。

グラフを文章化しているので、話がうまく伝わるか。興味のある方は、同書を読んでください。

ちなみに、このグラフ。「架空のデータ」とか。3ページで明かしています。ぼくが編集者なら、このネタ、序章の最後か同書の最後に移動させますね。

まだ読み始めたばかり。とても興味深いです。






『犯罪捜査の心理学』(越智啓太著)読後記

2013年02月18日 | よむ


『犯罪捜査の心理学 プロファイリングで犯人に迫る』(越智啓太著)を読みました。

プロファイリングとは、連続犯罪について、犯人の動機から迫るのでなく、その犯跡を分析し、類型化し、犯人のタイプを探るという捜査手法です。

確かに犯罪は一度であれば、その犯人特有の傾向もへったくれもありませんが、「連続」犯罪なら、その犯人の特徴が犯跡に表れる、と考えられますね。プロファイリングとは、この犯跡の特徴によって、犯人のタイプを読むというものです。読んでいて「究極の帰納法」な~んて言葉が浮かんできました。

FBI(アメリカ連邦捜査局)が開発した初期のプロファイリングは、わずか36件の事件の分析でした。例は少数ですが、かなり的確に犯罪者のタイプを当てています。具体的には、犯行現場が散らかっているか、被害者は切り刻まれているか、などと犯跡を分け、「無秩序型」と、その逆の「秩序型」に分類します。

無秩序型の犯罪の犯人は、知的水準は平均以下、非熟練的職業(単純作業)に従事、子供のころのしつけは厳しかったetc、とします。

秩序型の犯罪の犯人は、知的水準は平均かそれ以上、熟練を要する仕事に就いている、子供のころのしつけは一貫性がなかったetc、とします。

なお、プロファイリングが有効なのは、被害者=加害者間に何の関係もない犯罪、ストレンジャー犯罪です。つまり、最も頻発する、古典的な、色恋や金銭がらみの犯罪ではないので、ご注意を。

本書はこの犯人のタイプ以外にも、犯人の居住場所や次の犯行現場の予測、犯人の危険性の予測、「大量」殺人のケースの動機の推定も解説しています。

危険性の予測は、警察のストーカー相談に応用されているとか。もちろん、すべての相談に真剣に警察は応えるべきですが、物理的に不可能。そこで、より危険度が高い相談にウエイトをかける、というのです。

ちなみに、ストーカーは、次の4つに分類されます。
1)拒絶型。元恋人、元夫婦などで、よりを戻そうとするが拒絶され、ストーカーになるタイプ。
2)憎悪型。全く関係ない人で、満員電車で押されたといった些細なことを重大事と受け止め、その相手を付けまとうタイプ。
3)無資格型。大好きな相手に告白するが、ふられた(つまり交際の資格がない)のに「内心では俺のことを好きなはずだ」と勘違いし、付きまとうタイプ。
4)親密希求型。無資格型の激しいもの。

このうち、暴行や殺人に至りかねない、最も危険なのは、1)です。多くのストカー事件を分析すると、そのことが数字で明らかになります。かつては「痴話げんか」とされ、警察が相手にしなかったタイプが、実は最も危険だったというのです。プロファイリングの面白さは、こうした意外な盲点が明らかになることですね。

なお、本題とは逸れますが、一言。研究者が対象とする事件は、殺人、放火、レイプなどの連続事件です。(以下引用)「サンティーラ(Santtila)らのグループは、フィンランドの連続レイプ事件のデータを用いて、研究を行いました。用いたのは16名の連続レイプ犯人の43のレイプ事件のデータです。犯人の平均年齢は31歳で、その範囲は16歳から49歳、被害者の平均年齢は32歳で、その範囲は15歳から62歳でした。」。62歳にしてレイプ被害に遭うとは! ちょっと驚きました。

プロファイリングの入門版としてぴったり。推理小説好き、心理学好き、心理学の学生は、ぜひ。