壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『日本のルールは間違いだらけ』、その2

2011年12月28日 | よむ

『日本のルールは間違いだらけ』の続き。先日は、8割がた読み終えて書評を書いたので、クライマックスを漏らしていました。昨夜は、5章とあとがきにかえて、を読み進め、興奮して眠れませんでした。

5章は日本の選挙制度。とくに衆院比例代表並立制のワケの分からなさが、明快に理解できました。各党の選挙対策担当者は、ぜひ読むべきです(既に読んでいるか)。とくに共産党。正論を振りかざして選挙に臨むのはいいが、ルールを賢く利用しないと代表を国政に送り込めないばかりか、与党を利することになる。目からウロコでした。

あとがきにかえては、裁判員制度。現在、市民が裁判員になるのは殺人、強盗など凶悪犯罪に限られいてる。これは後日、冤罪が発覚したとき、「市民参加の裁判で有罪となったでしょ」とプロ(司法関係者)が言い訳するためのアリバイに過ぎない、というのです。本当に市民感覚を司法に生かしたいなら、原発関連、ゴミ問題、その他行政訴訟にこそ裁判員制度を適用すべき。なるほど、その通りです。

昨日の修正。衆院でなく参院ですね。
●ラブコール
吉田昌郎殿
ぜひ参院選の比例区の候補に。
      民自党選対本部

今日は快晴、午後は大掃除をして仕事納めです。「あるくみるきく」読者の皆さまも、良い休暇をお迎えください。


『戦略フレームワークの思考法』、再読

2011年12月27日 | よむ

『戦略フレームワークの思考法』(手塚貞治著)を再読しています。

フレームワーク(思考の枠組み)は、なぜ3Cや4Pなど、要素の数が3~5程度なのか。それは、人間には認知限界(記憶力の限界)があり、だいたい片手(5つ)以上は覚えられないから。

時系列思考の2つのサイクルは、短期と長期があり、短期は人の行動、事業の流れなどがある。長期は人の一生、モノの一生(PLS)があり、さらに超長期で「歴史観」がある。

戦略フレームワークって、事象を分析するための、切れ味鋭い刃物のような感じがしますが、そうでない。なにか人間くさい。それを教えてくれた本です。

歴史観……。経営学、フレームワークの解説本に、「歴史観」という単語が出てくるのが新鮮で、僕にはビビビッと来ました。再読したのも、これが理由です。経営者も金儲けだけでなく、哲学を持たねばならない。いわんや政治家をや。経験に学ぶのでなく、歴史にこそ学んで欲しいです。



呪いの時代、その2

2011年12月27日 | かんじる

熊本市の公務員が、部下に昼食代をおごらせたり、正座を強要したりした、パワーハラスメント(職権を背景にした嫌がらせ)が明るみに出ました。上司は49歳と47歳で、部下は20代。パワハラは長期にわたり、おごらされた昼食代は計100万円以上に上るとか。

以下、12月27日付け読売新聞より。「2人は「教育のつもりだった」と釈明し、昼食代の返還を申し出ている。」

47歳と49歳ですよ、情けない。本当に「教育のつもり」と確信してるのでしょうか? であれば、20代の被害者は、思いっきり47歳と49歳をブン殴って、「愛のムチのつもり」と言えばいい。年齢を考えれば、愛のムチによる矯正は遅いかもしれませんがね。

でも実際には、ブン殴れない。それが法治国家です。怒りは腹の中に収め、自分で消化するしかない。そのために慰謝料があるんでしょうが、いくら慰謝料を積まれても納得できない部分があるでしょう。それは、呪いでしか解決できない。世間にはこんな例は、山ほどあるでしょう。呪いの時代だと思います。


なぜ携帯が繋がらない?

2011年12月27日 | 教えて!

驚きました。首相官邸地下の「危機管理センター」は、携帯電話がつながらないのだそうです。いまどき、雑居ビルの地下の居酒屋でも携帯電話はつながりますよ。

以下、12月27日の読売社説より。「関係省庁幹部らが詰めていた官邸地下の「危機管理センター」は携帯電話が通じず、菅前首相ら首脳は「官邸5階」に陣取って独自に情報を収集し、指示を出していた。政府中枢が分離していた。」

同じ建物の地下と5階。階段やエレベーターでも移動できますね。携帯の件は、傍聴防止のため、あえて繋がらなくしてるんでしょうか? 誰か教えてください。


『日本のルールは間違いだらけ』

2011年12月27日 | よむ

『日本のルールは間違いだらけ』(たくきよしみつ著)を読みました。

この手のタイトルは自虐的で、あまり好きでない。どんな国にも間違ったルールはあるでしょ、ことさら日本を強調せずともいいのでは、と考えるからです。が、読み進むにつれ、ルールを作る者に対する怒りが、沸々とわいてきました。

多々あるのですが、一つだけ。JR西日本の宝塚線脱線事故。あの原因は、車輪の幅が1067mmという狭軌にある!というのです。

日本の鉄道は、車輪の幅が、1067mm、1372mm、1435mmの3種類の軌道(レール)があるそうです。JR西日本は、並行して走る阪急電車との乗客の争奪戦で、幅の広い車両を導入する。狭い軌道に、幅広の車両。それで猛スピードでカーブを曲がろうとすると、どうなるか? 小学生でも分かります。

原子力もそうですが、危険因子をコントロールするという発想でなく、そもそも危険因子は近づけないという発想ができないものでしょうか。

同書は、車軸の幅(ルール)が決まった歴史的経緯をたどり、3つも基準があることの「間違いだらけ」な点を明らかにしていきます。

著者は、小説やデジタル文化論などをものする文筆家。鉄道の軌道のほか、日本語のルール(筆順や常用漢字など)、交通ルール(世界の常識は左ハンドルなのになぜ日本は右ハンドルか)、性風俗のルール(猥褻の基準を司法が判断する愚)などをバッサバッサと切り捨てていきます。痛快です。ぜひ。

■以下はおまけ■
●先日、「ベストセラーは商業主義の成功の結果だ」という趣旨のことを書きました。これに関連して、同書から引用します。ファイル共有ソフト、Winnyについて論じた後、著者は続けます。
「人気作家が無名作家の作品を盗んで発表した場合、著作権を管理し、守るべき立場の企業(出版社やレコード会社など)が、自らの利益を守るために無名作家の主張を圧殺する側に回ったという例は過去にいくつもある。著作権法が力の論理で働いてはならない。
ソフト企業には、ビジネスの効率を追いかけるのではなく、文化を創り出すのだという志を持ってほしいものだ。
一方、作品を消費するユーザーには、メガヒット商品として与えられたものだけで満足することの(心の)貧しさ、しかもそれを不法に消費することの虚しさを知ってほしい。」(マルカッコ引用者)

●たくきよしみつさんは、漢字では鐸木能光さん。福島県の山中に居を構え、3・11後のいまも原発から30km圏内に暮らされています。最新刊は『裸のフクシマ』。以下はその「まえがき」より。

「フクシマは、ヒロシマ・ナガサキ以上に有名になってしまった。
日本には現在18か所55基(もんじゅを含む)の原子力発電所があるが、発電所名に県名をそのまま使っているのは福島と島根しかない。この名称の付け方が、すでに福島県の「セキュリティの甘さ」を物語っている。
浜岡原発が静岡県に、玄海原発が佐賀県にあることを知らない日本人は結構いる。チェルノブイリがウクライナにあることを知らない日本人も多い。もしも、福島第一原子力発電所が、他の原発同様に「大熊双葉原発」という名前だったら、今、福島県の人たちが抱えている苦痛は、ほんの少しだが軽減されていたかもしれない。(後略)」

鋭い発想だと思います。会津は、中通りは、いまほど風評被害に苦しまなくて済んだということです。『裸のフクシマ』も必ずや読もう。