壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

マインドコントロール

2011年01月31日 | 街ネタ

もう1年近く前、首都大学東京の社会人講座に参加しました。社会心理学です。オウム真理教事件など多くの事例、多くの実験の結果を引き、なぜ人はだまされるのか、に迫った内容でした。

洗脳とは、鉄の檻でがっちり心を固定すること。対して、マインドコントロールとは、オブラートで心を包むこと。しかも、相手が気付かないように何十枚、何百枚、何千枚と重ねて行くのだ、と。オブラートは薄い。最初は余裕で破っていた人も、やがて身動きがとれなくなり、誰かに思うがままに操られてしまう。そんな内容でした。

恐ろしいですね。

『「考える」ための小論文』、その通り

2011年01月30日 | 読書(文芸、フィクションほか)

「書くことの原動力となるのは、自分で発見したり納得したりすることの悦びと自由の感覚なのである。」

以上、『「考える」ための小論文』(西研、森下育彦著、ちくま新書)より。おお、「発見と納得の喜び」そして「自由の感覚」とは、その通り。ふだん益にもならぬ、愚なブログを続けているのも、まさにそうだからでしょう。


『川柳でんでん太鼓』より

2011年01月28日 | 読書(文芸、フィクションほか)

男皆阿呆に見えて売れ残り(山川亜茶)

福寿草松にしたがいそろかしこ(麻生葭乃)

両句とも、『川柳でんでん太鼓』(田辺聖子著)より。

山川さんは東京女子医大を大正8年に出、大阪のど真ん中の淡路町などで開業。生涯独身を通されたそうです。結婚しなかったのは、医師という資格の有無や経済力があったからというのでなく、精神のありようだと思います。きっと山川さんの目にも、阿呆に見えない男がいたはず。しかし縁を結べなかった。山川さんが幸せだったのかどうか分かりませんが、なんとなく幸せでなかったのでないか。そう感じます。

麻生さんは、川柳作家、麻生次郎のご婦人。正月に相応しい一幅の絵です。福寿草が女で、松が男。夫唱婦随でもあります。一読した時、「そろかしこ」は「そこかしこ」の誤植ではと思いました。「あちこちに」という意味だと解釈したのです。でも、じつは、違った。手紙なんですね。手紙は、かつて「○○で候(そうろう)」などと書いた。女性は「○○まいらせ候、かしこ」などと文を結んだそうです。だから「そろかしこ」。

麻生次郎さんといえば、この句です。

俺に似よ俺に似るなと子を思い(麻生次郎)

麻生さんは、生涯にたぶん何万、何十万もの句を詠んだはず。ですが、「この句を詠むためだけに麻生は生まれてきた」とも評される代表作です。

癖のない人と言われて庶務に居る(西尾栞)

同書には、西尾さんの句もいくつか採られていました。どの句も、独特のユーモアがあります。いいなぁ。

『川柳でんでん太鼓』より

2011年01月27日 | 読書(文芸、フィクションほか)

昔むかし赤紙という人さらい(矢部あき子)

大国に住みちり紙をうばい合い(増田鬼祥) ※オイルショック

味噌汁は熱いか二十一世紀(田口麦彦) ※詠は1985(昭和60)年以前

いずれも『川柳でんでん太鼓』(田辺聖子著)より。以下引用。「戦時中のように、物資がすべてないのならわかるが、ほかの衣料品食料品は豊富にあふれているのに、洗剤(とトイレットペーパー)だけがないというのが、いかにも人為的でいやらしかった。」

『川柳でんでん太鼓』は1985年初版。味噌汁は~の句は、それ以前に詠まれています。21世紀初頭の40代として、先輩たちの思いを受け止められているか。自問自答の毎日です。


演はなぜサンズイ篇か?

2011年01月26日 | 考えたこと・調べたこと
粟生、という駅が、兵庫県の加古川線にあります。あお、と読みます。英語表記(AO)でも、漢字でもひらがなでも2文字の、非常に珍しい地名だ、と子どもの頃に聞きました。へ~。

表現の自由について学んでいて、演説という単語に出くわしました。おお、そういえば、音読みはエン、訓読みもエン(じる)だぞ。ひょっとして、音読みも訓読みも同じ、珍しい(唯一の?)漢字でないか? もしそうなら、すごい発見だ。

それにしても、なぜ、サンズイ篇なのだろう。調べました。

【演】(音)エン、(1)ノべる。(イ)→述。説く。演説。講演。(ロ)しく、広める。(2)行う。出演、演技。(3)水が長く流れる。(4)うるおす、水が地面に染み込む。(5)練習する、学習する。演習。

以上、明解漢和辞典より。おや、訓読みの「エンじる」が無いぞ? それはさておき。

サンズイ篇というのは、もともと具象の「水が広く流れる様子」を指す語だったからなんですね。それが、抽象の「言説が広がる、人々の心に染む様子」をも指すようになった。そういうことでしょう。ひとつ勉強になりました。