こんばんは。のれんをくぐり、引き戸を引くと、なかは山小屋風。女性の一人客が、どうぞ、というしぐさで奥を示してくれます。狭い店内を進み、カウンターの一番奥の席に着きました。「ちょっと待っていてくださいね」と女性客。ほかには、男性の一人客が2名。みな常連のようで、親しげに話をしています。
しばらくすると、トイレかどこかに行っていたのでしょうか。70代と思しきおばさんが、カウンターの中に戻ってきました。
昨夕、吉祥寺(東京都武蔵野市)で仕事が終わり、初めて立ち寄ったハーモニカ横丁でのこと。戦後のヤミ市起源の横丁で、多くの飲み屋が軒を連ねています。いずれ行きたいと憧れていた横丁です。最近は若い経営者が始めるおしゃれな店も増えており、どの店に入ろうかと、しばらくうろうろ。小魚がアンコウのチョウチンに誘われるよう、その赤提灯に入ったのです。
店を入るとき、低い梁に、ゴツンと頭をぶつけました。「店の構造を知らない、いかにも一見客、恥ずかしい」。そんな思いも、お湯割り3杯を飲むうちにどうでもよくなりました。帰り際、「いや、お恥ずかしい」というと、「常連でもぶつけるんですよ。きっといいことありますよ」と女性客。なにかいいことありそな予感です。