壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

まん真ん中

2010年12月24日 | 街ネタ
先日、千代田区立図書館を初訪問時、郷土コーナーでこんなタイトルの本を見つけました。

『東京まんまんなか』(太田巌重著、KANDAルネッサンス出版部)
『東京ど真ん中物語 ひとまち歴史』(麹町地区コミュニティ活性化委員会編、文芸春秋企画出版部)

「ど真ん中は関西弁で、江戸弁ではまん真ん中という」と知っていたので、「おや?」と思いました。無自覚に「ど真ん中」という表現を使ったのか、それとも関西弁に浸食されていることを自覚してタイトルに採用したのか?

ネットで調べると、「ど真ん中」や「根性(こんじょう)」は元は関西弁で、野球の金田正一が使い始めて広まった、とありました。江戸弁では「性根(しょうね)」というそうです。金田は愛知県出身です。

先日、お話を聞いた某作家は、ある時代小説で「拍車をかける」という表現を使い、あとで読者から指摘を受けたと明かされました。「拍車」とは西洋のブーツのかかとに付いている、あの輪のことであり、東洋の馬術で使われることはなかったからです。

『球形の荒野』(松本清張原作)のテレビドラマを見ました。ラスト、伊豆の海で「七つの子」をうたう田村正和。感動的でした。舞台は太平洋戦争の戦中と東京オリンピック前夜。「七つの子」はその当時、既にできていたのか? そんなことが気になり、調べてしまいました。作詞作曲は大正年間でした。

言葉を使う、というのは本当に難しいことです。いち書き手として自戒したいと思いました。