さて、いよいよ演奏。
実際に チェンバロの鍵盤を弾いてみると
アクションから ストレートに手応えが伝わってくるので
爪が弦に当たった手応えをしっかり感じます。
鍵盤を使っているけれど、何といいますか
「指先で、三味線を弾いているような感じ」。
てこの原理そのままに 爪が上り、離すと下がるということは
連打する時の感覚も ピアノとは違うし
爪で引っかくわけですから、音量がそんなに変わるわけではない。
微妙に変化できる、と川井氏はおっしゃいましたが
(長く弾きこむうちに、微調整の技を身につけられる?)
基本、ピアノのような『微妙な強弱変化』は作れません。
楽器本体に付いているレバー(レジスター)を操作することで
弾く弦を一本にしたり、二本に増やしたり
弾く爪の位置を変えたり
弦にクッションを当てることで音色を変えたり
ということは できるようです。
でも、こういう操作は、演奏中には 無理ですね。
これらは、曲によって まるごと変えるもののようです。
では、実際に 弾きながら変化させたい時はどうするか。
どうも、基本的に「音の長さ」らしいのです。
強拍である一拍目は、基本 長めに演奏。
f とか p とか、クレッシェンド・ディミヌエンド
これらの代わりに、
長く弾く・短く切って弾く
鍵盤上の指を寝かせて 柔らかく弾く
指を立てて、素早く弾く
長く弾くと、音は目立つので大きく聴こえ
音の長さが 音色の違いとして感じられます。
と、いうことは
『連続して同じ長さで書かれた音符』は
それを 伸ばしてほしい、切ってほしい、というより
同じ音色をイメージして弾くのだ、と言えるのかも。
和音も、基本ずらして演奏。
音がすぐ消えてしまうから、というより
一斉に鳴らすと ごちゃごちゃしすぎて 綺麗じゃない。
パラパラとずらして響かせる方が、よほどすっきりするし
響きを味わうことができるのだな、と実感しました。
いつも弾いているバッハが、どんどん変化していきます。