MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

アルマンド(Allemande)

2008年08月13日 | 音楽
          
フランス組曲の 1曲目に 必ず登場する舞曲。
もともとは
「ドイツ人の・ドイツ語の」という意味のフランス語で
「ドイツ風舞曲」が フランスで「アルマンド」と呼ばれ
それが後に ドイツへ逆輸入されたと見られます。
      
舞曲としての アルマンドは、
ほとんど4分音符と8分音符で できている
ゆったりとした曲で
荘重に歩くことを基本とした 踊りでしたが
このゆっくりした曲を、当時の楽器 
チェンバロやリュートで演奏すると、どうなるか。

弦を弾いて鳴らす楽器ですから、音が持続しないのですね。

「G線上のアリア」なんて
バイオリンという楽器だからこそ、
あんなに長く、音を持続させられるのです。
あれを お琴や三味線で演奏したら、どうなるか。
(↑ チェンバロ同様、弦を弾いて鳴らす楽器)
ペ~ン・・・・…

普通に弾いたら、音が消えてしまいます。
しからば、和音を分散させたり
技巧的な装飾をこらしたりして、変奏するしかありません。

というわけで、器楽曲としての アルマンドは
本来の踊るための アルマンドから独立して
「演奏専用アルマンド」となりました。
あふれるほどの、16分音符やトリルは
音消え防止の、穴埋めなのでしょうね。

さて
「器楽曲用アルマンド」が 実際に踊られることは無くとも
本来の曲の 雰囲気は、大切です。
では、どんな踊りだったのか。
        
簡単に言いますと
男女一列に並んで手をつなぎ、
「3歩進んで 片足を上げる」。

2拍子系の音楽に合わせて
左足 ・右足 ・左足 ・右足を前に上げる
右足 ・左足 ・右足 ・左足を前に上げる
(一歩は、4分音符1拍と同じ速さです。)
これが基本で、
広間の端まで行ったら 進行方向を変える
という感じだったらしい。
      
バッハのアルマンドに合わせて 
実際に このステップを踏んでみると
爪先立ちで 歩幅小さく 優雅に歩く感じでしょうか。
ゆったり といっても、そんなに遅くはない。
歩けないほど 遅く弾いてはいけない曲です。

補足:舞曲としての アルマンドは 18世紀後半、
  どんどん変化して、軽快なダンスとなっていきます。