【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

連邦

2011-02-17 18:52:50 | Weblog
USAやスイスは多数の州からなる連邦国家です。スイスのことは詳しく知りませんが、USAでは各州の権限はとても大きくて、独自の法律や社会制度、軍隊(州兵)まで持っています。
日本でも道州制とか新しい「都」の提案とかが行なわれていますが、どうせならいっそ連邦制を敷いたらどうでしょう。武力が大好きな知事さんは、たとえば「(地元専用)自衛隊」が持てて嬉しいかもしれません。でも、「東海道戦争」が勃発したりして……

【ただいま読書中】『恋人たち』フィリップ・ホセ・ファーマー 著、 伊藤典夫 訳、 早川書房、1971年

シグメン暦550年(旧暦3050年)、極端な過密状態(一部屋を二組の夫婦が交代で使用)、シグメンと呼ばれる宗教と階級と密告制度でがちがちに固められた息詰まるような社会(『1984年』(ジョージ・オーウェル、1949年)を思い出すような描写です。ちなみに本書は1953年発行)。そこで大学に勤務する「言語専門家」としてのハル・ヤーロウはみじめな生活を送っていました。しかし、そこ(底)から脱出の機会が与えられます。新しく発見された、しかも知的生命体が住む惑星オザゲンへ。
オザゲンでシッド人(先祖はバッタ)と一緒に過ごしていたハルは、森で“妖精”を見ます。シッド人に滅ぼされた哺乳類の生き残りなのでしょうか、見かけは人間の女性にそっくり、そして、地球から40光年も離れているのに、非常に訛っているフランス語そっくりの言葉をしゃべるのです。名前はジャネット。かつて黙示戦争の前に地球から他の星へ移民をした人びとの子孫であるとハルは考えます。
ジャネットはハルを愛し、ハルはジャネットに溺れます。これまで自分が生きていた世界がいかに不自然で非人間的なものであったのか、皮肉なことに異星に出ることで初めて気づくことができます。しかし……
本書が初めて発表されたときには、とんでもない衝撃をSF界に与えたそうです。なにしろ本書の主要なテーマ(の一つ)が「セックス」だったのですから(それまでのSFで、“それ”はタブーでした。半裸の女性がBEMに攫われるのがやっとこさ、だったのです)。セックスシーンを(擬似)科学的に解説するシーンなんか、笑ったらいいのか興奮したらいいのかわかりませんが、発表当時としては、セックスシーンを描くことだけでも大きな“冒険”だったことでしょう。ただ、私はやはり「時代」を読みたいですね。冷戦や核戦争による世界破滅の恐怖が色濃く作品に投影されています。その中での“救い”が、異星人との愛、というのは、なんという救いだったのだろう、と私には感じられます。


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