【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

機械的なペースメーカー

2016-03-08 06:50:29 | Weblog

 最近のマラソン大会では、複数のペースメーカーを主催者が用意し、1km3分とかの時間設定をしてレースを作ろうとします。私はあまりこういった“競走”が好きではありません。30kmまでは「レース」ではなくて「こなすべき作業」になってしまうし、ペースメーカーの腕(足?)が悪いとペースが安定せずにかえって選手のペースが乱される恐れがある可能性があるからです。
 どうせ「ペースメーカー」を走らせるのだったら、「人型ロボット」をペースメーカーとしたらどうでしょう。これだったら機械的にペースがきっちり設定できます。さらに「赤のペースメーカーは1km3分」「青のペースメーカーは1km3分3秒」とかいくつかの設定時間で走らせて、選手が「前半は青についていって、折り返し点から追い上げよう」とか自分でレースの設定ができるようになったら駆け引きももっと生じてレースが面白くなるのではないでしょうか。

【ただいま読書中】『イマジネーションの戦争(コレクション戦争と文学5)』集英社、2011年、3600円(税別)

 目次:「桃太郎」芥川龍之介、「鉄砲屋」安部公房、「通いの軍隊」筒井康隆、「The Indefference Engine」伊藤計劃、「既知との遭遇」モリ・ノブオ、「烏の北斗七星」宮沢賢治、「春の軍隊」小松左京、「おれはミサイル」秋山瑞人、「鼓笛隊の襲来」三崎亜記、「スズメバチの戦闘機」青来有一、「煉獄ロック」星野智幸、「白い服の男」星新一、「リトルガールふたたび」山本弘、「犬と鴉」田中慎弥、「薄い街」稲垣足穂、「旅順入城式」内田百、「うちわ」高橋新吉、「悪夢の果て」赤川次郎、「城壁」小島信夫

 「イマジネーションの戦争」とは見事に名付けたものです。まさに“その”本です。「戦争」を「文学」というフィルターを通して表現する全集ですから「イマジネーション」があることは当然なのですが、本書では特に戦争をイメージして見る“視点”が複雑に設定されています。殺す側や殺される側、見物する視点、くらいはふつうに思いつきますが、本書には「兵器からの視点」なんてものまであって、その着想のすごさに私は驚きます。あるいは、世界では戦争が起きているのにそれとはまったく無関係に生きている人たちの世界、なんて捻ったものも。
 取り上げられた作家も、芥川龍之介、内田百、安部公房、筒井康隆などでは驚きませんが、宮沢賢治や星新一をとりあげた編者に私は感心し、さらに伊藤計劃や秋山瑞人までちゃんとカバーしていることにまたまた私は驚きます。
 ひからびた脳みそで観念的に「戦争」を論じている人は、この本の爪の垢でも煎じて飲めば良いのに、なんて過激なことも思ってしまいました。もしかして私の心は“好戦的”?



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