【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

イギリスの総選挙

2015-05-09 19:02:30 | Weblog

 スコットランド(のある部分)は「イギリス」から離脱したい。イギリス(のある部分)はEUから離脱したい。なかなか異なるものが一緒に平和的に活動するのは、大変なようです。
 それと「二大政党」を政治の理想モデルだと一時日本で盛んに言う人がいましたが、そのモデルであるはずのイギリスでも二大政党が必ずしもきれいに機能しているとは言えませんね。無理矢理他の国のモデルを輸入するよりも、日本には日本式のやり方の方が合っているのではないかしら?

【ただいま読書中】『超高速!参勤交代』土橋章宏 著、 講談社、2013年、1380円(税別)

 東北の小さな貧乏藩湯長谷(ゆながや)藩に降って湧いた大騒動。参勤交代が終わってやっと故郷に帰ったばかりの殿様に、幕府の悪徳老中が「五日以内に江戸に出府せよ。それができなければ藩は取りつぶす」と無理難題を言いつけてきたのです。念の入ったことに老中は公儀隠密を2人派遣して、道中の妨害工作も画策します。さて、「金がない」「日数もない」「非公式とは言え藩の参勤交代だから(少なくとも宿場町では武家諸法度の決まり通りの)行列を組んでみせる必要がある」などの条件をいかにクリアして殿様たちは江戸までの六十里を走破できるでしょうか。さらに、読者としては、悪徳老中にも一泡吹かせたいところですが。
 藩主内藤政醇は、一行を精鋭数名に絞りさらに手練れの忍びを道案内として雇います。街道ではなくて距離が短い間道を使う気です。荷物を軽くするために食料は持たず山で狩りをしますし、節約のために宿場には泊まらず野宿です。自給自足のサバイバルウルトラマラソンですね。ところが凄腕の忍びは、元凄腕の忍びでしかなく、しかも元アル中、しかもしかも、途中で金だけもらってとんずらする気です。手練れの隠密に狙われる一行の運命やいかに。さらに別の試練が。殿様と家臣たちは離ればなれになってしまったのです。そして最後の試練は江戸城への侵入です。これはまるで軍事侵攻作戦のよう。
 昔懐かしい、はらはらドキドキの連載小説や連載漫画を読んでいるような気分になってきました。「面白い活劇」の原点をしっかり押さえた小説です。ただ、児童虐待などが盛り込まれた点では、単に「昔懐かしい」だけではありませんね。細かい工夫がいろいろされていて、退屈しません。