【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

積極的平和

2015-05-04 06:54:09 | Weblog

 平和に積極も消極もないような気もするのですが、敢えて言うなら「積極的な平和」は「世界から戦争をなくす(その結果自国の安全が保たれる)ための活動」、「消極的な平和」は「個別自衛権で自国の守りを固めて平和を願う態度」と言えるでしょうか。
 だけど安倍首相は違うことを思っているように見えます。積極的という言葉の裏には「自国外での暴力(武力の行使)」がくっついていて(つまり「世界のあちこちで武力の行使をすることによる平和」)、具体的には自分の国の平和を守るために“敵”の基地を先制攻撃するとか政府を転覆させるとか、を想定しているのではないかな。こういった「シニフィアン(平和)」と「シニフィエ(武力行使)」の意識的な食い違いには、私はちらっといらっとします。どちらに揃えるにしても、シニフィアンとシニフィエはなるべく近づけておいて欲しいのです。それでなくてもこの両者はずれが生じやすいのですから。

【ただいま読書中】『忍者だもの ──忍法小説五番勝負』縄田一男 編、新潮文庫、2015年、520円(税別)

目次:「鬼火」池波正太郎、「蜀山人」柴田錬三郎、「猿飛佐助」織田作之助、「赤絵獅子」平岩弓枝、「忍者服部半蔵」山田風太郎

 「鬼火」……本能寺の変とその後の忍者の物語です。というか「その後」に重心が置かれた物語である点に特色があります。
 「蜀山人」……こちらの舞台は、田沼意次の治世下。こんな時代に忍者の出番があるのか、と言えば、ちゃんと著者は準備をしてくれました。忍法と言うよりも心理学の話のようではありますが。
 「猿飛佐助」……駄洒落・地口・大げさ・嘘・でたらめ・ホラなどがてんこ盛りのお話です。これでもかと言うくらいに盛られて、本のページからこぼれ落ちそうです。話の筋も奇妙奇天烈破天荒。もう無茶苦茶でござる。でも、楽しいんですけどね。
 「赤絵獅子」……実に意外な人が忍者ものを書いていました。いや、たしかに「忍者もの」なのですが。
 そして最後はやはりこの人でしょう。こういった短編集では山田風太郎さんを外すわけにはいかないでしょう。ちっとも色っぽくないセックスシーンから始まって最後は……ここは内緒です。
 いやあ、やはり忍者ものはいいですねえ。忍者ものだもの、と言いたくなります。