経済や諜報の世界では「秘密」が重要です。「自分が秘密を知っていること」自体も秘密にしておいた方が良い結果を得られます。
政治の世界でも「秘密」は重要ですが、こちらでは「自分が秘密を知っていること」はむしろ公開あるいは匂わせておいた方が、権力を握りやすくなりそうです。
【ただいま読書中】『剣客商売全集 第三巻』池波正太郎 著、 新潮社、1992年
『剣客商売』の第五巻「白い鬼」と第六巻「新妻」の合本です。
まずは、愛弟子を殺された小兵衛の敵討ちから話が始まります。相手は、江戸を騒がす連続殺人鬼。見かけは穏やかな好青年ですが、女を狙って殺すだけではなくて局所をえぐり取る、という残忍な性格異常者です。そこで名探偵小兵衛による「捕物帖」が始まります。もちろん話の最後はちゃんと「剣客」で締めくくられます。
大治郎と三冬は、お互いが好き合っていることを意識するようになります。しかし、二人ともけっこう良い年なのに今どきの中学生の恋愛模様のような感じですが、二人とも剣一筋で生きてきているし、江戸時代の武家だったらこんなものですか? ともあれ、何とか二人も上手く納まるところに納まり、剣客ファミリーヒストリーは続いて行くのです。
しかし、体もすぐ壊すようになったりして、小兵衛が「年を取った」ことが、妙に強調されるようになりました。著者はこの時にはこのシリーズをあそこまで長く書くつもりではなかったのかもしれません。