【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

賄賂

2014-08-06 07:02:36 | Weblog

 “それ”で得をする人に限って“それ”を絶対に「賄賂」とは呼びません。

【ただいま読書中】『新正体不明』赤瀬川原平 作、東京書籍、2004年、2000円(税別)

 『正体不明』から10年、『イギリス正体不明』や『ベルリン正体不明』などの写真集を出していた著者が、また日本に“帰って”きました。
 さっそくいそいそと私はページをめくりますが、『正体不明』とは少し“ニュアンス”が違っているのに気づきます。いや、たしかに「街中での正体不明の物体」の写真が並んでいて笑えるのですが、前著ではほぼストレートに見た瞬間に「わはははは」だったのが、本書では、ワンクッションというか、ちょっと考えることを要求されるというかやや技巧やオチに走っているというか…… 著者もそのことは意識しているようで「あとがき」に「自分の変化」として「たとえば最初の正体不明では巷の物件そのものに興味がいっていたが、十年たつうちには、そういった物件を見る人間のまなざしの方に興味が向かっているようなのだ。物も変わるが、人間の目も変わっていくものらしい」と述べています。「道を究める」と言ったら大げさですが、やはり経験を積み重ねるにつれて人は変化していくもののようです。そういった「変化」コミで、楽しめる写真集です。こういったものを見ていると「自分でもこういった写真は撮れるのではないか」なんてことも思いますが、自分のものを見る目と意味を把握するセンスと写真の腕を考えたら、あまり身の程知らずの大望は抱かない方が吉だとも思いますね。