【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

文系と理系

2011-07-13 18:53:59 | Weblog

 世の中では「文系/理系」が、まるで血液型性格占いのようにきっちりと人を区分する、という考えもあるようです。だけど私は、人間はハイブリッドで、二分するにしてもせいぜいどちらかが優位(やや優位~完全に優位)のグラデーションでしか表現できない、と考えています。
 高校の時に私が文系か理系かの選択を迫られたのは2年生になるときでしたが、ぎりぎりまで迷いました。どちらも同じくらい好きだったし成績もそれなりに良かったものですから。ということは、どちらも同じくらい嫌いだったし同じくらいできなかった、とも言えますが。
 友人たちの中でも、理系だけれど文学に造詣が深い者もいれば哲学を熱心に語る者もいましたし、文系だけれど科学が大好きな人間とか数学が得意な人間とかもいました。そんな環境で育ちましたから、「○系だから××は苦手」というせりふが私にはどうもしっくりこないのです。それと、その両者にまたがる分野の学問も多いのではないか、とも思っています(経済学、医学、心理学、科学哲学、建築、人間工学……まだまだあるでしょうね)。
 明治以来の伝統(ですよね?)を変革するのは私には無理ですが、それでも疑問だけは呈しておきます。文系/理系に分かつことでメリットも多いでしょうが、もしかしたらデメリットも多いのではないですか?と。

【ただいま読書中】『大人のための名作パズル』吉田敬一 著、 新潮新書305、2009年、680円(税別)

 著者は「パズル」を「数学に遊び心を加えたもの」と定義します。さらに「クイズは知識、パズルは知恵(とひらめき)」とも。著者の専門は情報科学ですが、大学のゼミではパズルを教えているそうです(単に一緒に挑戦しているだけですが)。ただ、「数学」というと身構える文系の学生たちが「パズル」だと面白がり、系統だって良質のパズルを解いていくうちにひらめきや論理的思考力が身についていくのが目に見えて分かるそうです。
 本書に掲載されているのは、基本的な良問ばかりです。というか、この程度のパズルにも触れずに大学生になる人がいるのが、私には個人的にはとても不思議です。子供ってなぞなぞやパズルが大好き、というのは、個人的な偏見だったかな。
 たとえばこんな問題です。
◎Aさんの家に子どもが生まれました。6ヶ月を過ぎると歯が生えてきました。育児書によると、1ヶ月に3本生えるとあります。10ヶ月後には何本の歯が生えていますか?
◎□にはどんな数字が入りますか?
 88、64、24、□
◎凶暴な毒蛇がビンの中に入っています。生きたままビンから出したいのですが、どうすれば安全かつ確実に取り出せるでしょうか?
◎図の長方形(縦20cm、横10cm)と同じ面積の正方形を描いてください。
 このへんはイントロダクションなので、即答を期待します。
 後半はさすがにちょっと考えなければならなくなります。たとえばこんなの。
◎友人からオウムを2羽もらいました。1羽は昨年生まれ。もう1羽は同じ親から今年生まれたものです。
 1)1羽は雌だとわかりました。もう1羽が雌である確率は、いくらですか。
 2)昨年生まれたオウムは雌だとわかりました。今年生まれた方も雌である確率はいくらですか?
   (ヒント:1)と2)とでは答が違います。簡単には納得できないかもしれませんが、それが「確率」の面白さです)