【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

読んで字の如し〈木ー10〉「本」

2011-04-10 19:30:16 | Weblog

「本質」……本の品質
「腕一本で稼ぐ」……もう片腕が泣いている
「絵本太閤記」……幼子のための太閤記
「大日本帝国」……こんどは小日本帝国を作ろうか
「日本猿」「日本鹿」「日本酒」「日本海」……日本の猿・日本の鹿・日本の酒・日本の海
「中央本線」……対義語は辺境本線?
「一本参った」……さ、次の勝負だ
「一本歯」……ちょっと残念な顔
「千本ノック」……ドアが壊れる
「熊本」……熊の本
「脚本」……脚の本
「西日本」……西日の本

【ただいま読書中】『オペラ座の幽霊』ジョン・ベレアーズ 著、 三辺律子 訳、 アーティストハウス、2003年、1600円(税別)

 「ルイスと魔法使い協会」第6弾です。
 第4/第5では4人組が「女同士」「男同士」に別れてそれぞれ冒険の旅をしましたが、こんどは大人二人はフロリダへ。ルイスとローズ・リタはニュー・ゼベダイに残ります。二人には「ニュー・ゼベダイ」の歴史についての宿題が出されていました。面白そうなのは他のグループに全部取られてしまって、残ったのは、町の真ん中で忘れ去られていた「ニュー・ゼベダイ・オペラ座」。ローズ・リタのお祖父さんが設計した建物です。早速調査に出かけた二人ですが、ルイスはそこで幽霊に出会い警告をされます。「オペラはおそろしい運命をもたらす!」と。
 ルイスはオペラ座で古い未発表のオペラの楽譜を見つけました。町の人たちは、オペラ座を再興させそこでこのオペラを上演しようと動き始めます。しかし同時にニュー・ゼベダイの町は、不思議な霧で回りの世界から孤立してしまいました。出ることはできず、長距離電話は通じず、ラジオの電波も届きません。頼りのツィマーマン夫人とジョナサンおじは、遠くフロリダです。
 味方になってくれそうなのは、〈カフィーナウム郡魔法使い協会〉。ところがメンバーは全員どこかに封じ込められてしまっています。敵はとても強力な魔法が使えるのです。ルイスとローズ・リタは絶望から泣き出してしまいます。しかし、次に来たのは、怒り。魔法の音楽、魔法の石像、そんなものに負けてなるものか、と。
 古い書物をめくり、二人はオペラの秘密を知ります。それは複雑な魔法の呪文だったのです。その結果は、死者が解き放たれるのです。何のために? 邪悪な目的のために違いありません。では二人は何ができるのでしょう。「わたしたちなら、なにか考えつけるはずよ」ローズ・リタは自分たちを奮い立たせます。「だって邪悪な魔法と戦うのはこれが初めてじゃないもの」。
 たしかまだ12歳(か13歳)の子供たちです。どうしてここまで“強く”振る舞えるのでしょう。その理由の一つは彼らが口にする「これは、自分の責任だ」ということばにもありそうです。
 二人がやっと見つけた“味方”は、魔法の力があまりに弱かったために魔法使い協会に入ることができなかったイェーガー夫人(魔法の杖の代わりにスプーンを振るという、キュートなご婦人です)。さて、“使える”戦力はとりあえずこの3人で全部です。強力な魔法使いに対して、魔法で太刀打ちすることは無理。ならば、魔法に関する深い知識と知恵と勇気と、あと何があればいいでしょう?
 おどろおどろしい雰囲気が満載のコワイ本ですが、あちこちにさりげなく混ぜられた歴史の蘊蓄(今回はロジャー・ベーコンが意外なところに登場して、私はふき出してしまいました)、ユーモア、なにより主人公たちの魅力的な人物造型。大人にもお勧めしたい本です。