【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

とうでん

2011-04-01 18:36:08 | Weblog

 「盗電」ではなくて「東電」ですが、なにやらこの企業の先行きについていろいろな憶測が走っていますね。「焼け太り」が好きな政治家や官僚は、かつての「国策企業の民営化」にならって、「東京電力 → EJE(EastJapanElectricCompany)」とか看板を掛け替えて、それでまた新しい利権を、と画策しているのではないかしら?

【ただいま読書中】『太陽系辺境空域 ──ノウンスペース・シリーズ』ラリイ・ニーヴン 著、 小隅黎 訳、 ハヤカワ文庫SF348、1979年、400円

 目次:「いちばん寒い場所」「地獄で立ち往生」「待ちぼうけ」「並行進化」「英雄たちの死」「ジグソー・マン」「穴の底の記録」「無政府公園にて」「戦士たち」「太陽系辺境空域」「退き潮」「安全欠陥車」
 ラリイ・ニーヴンは「魅力的な場所」を見つける(あるいは作り出す)名人です。本書でも太陽系の中に、液体ヘリウムの生命体が生息する場所や730度の気温の場所を見つけてそこで「人間の脳が組み込まれた宇宙船」と「人間のパイロット」の掛け合い漫才をさせています。
 火星には火星人がいますが、人類はそんなのにはほとんど興味を示さずに自分たちの“生活”を送っています。この一種の“冷淡さ”が、著者の作品の魅力の一部なんだ、と私は感じます。
 驚いたのは「ジグソー・マン」。先週息子を話をしていて「刑罰として人体をばらばらにして臓器移植の材料にする、という社会を描いたSFがあったっけ。タイトルはなんだったかなあ」と言ったばかり。いやあ、こんな偶然ってあるんですね。
 やがて人類は太陽系外に進出します。ジンクス、ウンダーランド、ウイ・メイド・イット、フラトー、ダウン……なんだか“懐かしい”名前が並びます。さらに、地球外知性との出会いが。
 これまでも短編同士でのつながりが見えてはいたのですがそれは「連作」といった雰囲気でした。ここでやっと「未来史」の流れが見えるようになってきます。「時間旅行」「ファーストコンタクト」など有名なテーマがSFにはありますが、この「未来史」も「SFのテーマ」の一つです。ただ、他のテーマと違うのは「アンソロジーが組みにくい」こと。なにしろどの未来史も長大な「歴史」ですからね、本を一冊読む程度でその概要がつかめるわけはありません(もしつかめたらそれは薄っぺらい「歴史」です)。しかし、各作家のそれぞれの未来史を読むためには「全集」が必要になるわけで、今から系統立って読む余裕は私にはありません。こうやってときどきその断片を楽しむだけにしましょう……と言いつつ、『中性子星』が手近にあったよなあ、なんて思っているのです。