観察月日 2019.12. 3. 晴 10℃
観察場所 厚木市 不動尻
「この木、“ウリノキ”ですよね」先を歩いていたRさんが立ち止
まって待っていた。
そこは、不動尻を少し下った所で、遥か下から山の神沢の渓流
の音が昇って来る。崩れ落ちそうな林道の脇に、なよなよとした
幹が何本か立ち、幹から水平方向に、何本もの枝がくねくねと四
方に張り出している。
“ウリノキ”の名前の由来の様に、枝先や脇にウリの形をした大きく
、薄い、葉を付けていれば、何の迷いもなく“ウリノキ”と解るのだ
が、葉を落とした今になっては周囲の中小木に混ざって目立たない。
山の神沢沿いの林道は幾度も歩いているが、2016年6月10日
に歩いた時は、木からは考え難い、清楚で、寂しげな花をつけてい
た。その印象は私の頭の中の記憶に焼き付いている。
だが、Rさんが「この木“ウリノキ”ですか」と疑問を投じたのは、枝
先の冬芽の形が特徴的であった事から来ている事は、私にはすぐ
解った。
「きっと、冬芽が出来るまで、葉柄の付け根が包む様にして守って
いるんだよ」と私が言うと、Rさんは足元の落葉の中から“ウリノキ”の
葉を拾い上げ、葉柄の元を冬芽に被せて見せた。
日本に自生しないスズカケノキ科の植物、遠く離れた“ウリノキ”が
似た冬芽の造りを持っている。自然は、どこか不思議なものを私達
の前に見せる。
「ウリノキ ですよね」
2016.6.10.のウリノキ。
花。
枝先の 冬芽。
葉柄の付け根。
枝先に残った 葉一枚。