ノシラン の 青色の実をのせて
観 察 月 日 2012 3 3 晴 10℃
観 察 場 所 瀬谷区 瀬谷
何年か前の春、西丹沢玄倉集落にお住まいのKさんが、「この草
、ここでは“ひな草”と呼んでいますよ」と指さしてくれた情景が頭
に浮かんだ。
“ウメも早咲きのサクラの開花は25日も遅れている。これも、地
球温暖化のためだ” 世間のつぶやきに流されて、自分自身が春
と言う季節を忘れかけていた。
そんな時、Kさんの顔が頭に浮かぶ。ふと我を取り戻し、枯れ草
の中に目をやると、ヤブカンゾウの新芽が若草色の力を出し、両
手で枯れ草を押しのけ頭を出していた。
乾しわらびを敷き詰めた様に見える枯れ草は、前の夏には日光
と水と二酸化炭素を化学反応させ、澱粉を作り、花を咲かせ、鈁
錘状の根に生産物を貯蔵した工場の跡なのだ。だが、廃棄物で
はなく、冬の低温や乾燥を防ぐシェルターに再利用しているのだ。
ヤブカンゾウの萌芽の先に、ノシランの実を一粒乗せてみた。
今日は三月三日、山麓の草原、土手、あちこちでは、自然が奏
でるひな祭りが見られることだろう。