足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

 No.878   ~シュレーゲル・アオガエルとモリアオガエル~

2010年08月06日 | 日記


観察月日   2010、6、13 曇 23℃
観察場所   山北町 玄倉 (県丹沢こビジターセンター)

  ウツギの張り出た枝に、緑色の小柄のカエルが声嚢を大きく膨らませ懸命にラブ・コール
を送り続けている。その先1m程の葉上にいるモリアオガエルがそのお目当てなのである。
小形のカエルは、鳴き声からするとシュレーゲル・アオガエルなのだが。
 「本当にシュレーゲル・アオガエルなのかな?」
 「肌のざらつきだって同じ様に見えるし・・・」
 「“目の色がやや赤味を帯びる”も区別し難いし・・・」
 「鼻眼線だって両種共盛り上がって見えるし・・・」
“なぜ”と“疑問”に話が盛り上がった。
  帰宅してから、改めて「蛙の合唱」のCDを聞いてみると、両種の鳴き声が混じり合っている。
 「日本カエル図鑑」を開くと、当初学名はシュレーゲル・アオガエルの変種として、モリア
オガエルは記載されたのだという。
  両種は同所に混生しているが、交配実験では、胚が発生したとしても初期に死亡するので、
その後独立種とみなされ、両種は姉妹種と考えられている。カエルも間違えてラブ・コール
を送るのを見ると、私たち人間が迷う事の方が当然なのであろう。

 No.876   ~クロハサミムシ、ヒトクチダケを食す~

2010年08月06日 | 日記


観察月日       2010、6、9 雨のち晴 18℃
観察場所       山梨県初狩 殿平山尾根
 

「ギィー、ギィー、ギィー・・」尾根道に日が差し込むと、思いもよらぬハルゼミの
合唱が始まった。
雑木林の中に一抱えもあるアカマツが林立し混合林を成しているが、立ち枯れや倒木
が多く登山道を塞ぎ歩きにくい。
「このキノコ栗の実みたいですよ」と言われて振り返ると、枯れかけたアカマツの幹に、
3~4cm大の玩具様なキノコが幾つも付いていて、見慣れぬハサミムシが何匹か歩き
回っていた。♀の鋏は短いが、♂のものは体長の3分の2程もあり体を反らすと見事だ。
私は丹沢山麓では出会ったことはなく、記録を当たっても僅少なクロハサミムシであった。
ハサミムシが他の虫や母虫を食べているのは見ているが、キノコは範疇になかった。
そこでキノコの臭いを嗅ぐと、意外にも干魚の臭いがした。ハサミムシは動物性の臭い
に引かれているのであろうか。
その後の行動を追うと、アカマツの縦に割れた表皮のひだのあいだに体をすっぼり入れて
休息したり、交尾行動も見られた。
今日の山行きも、思わぬドラマの連続であった。

 No.877   ~花の オオバアサガラ~

2010年08月06日 | 日記


観察月日       2010、6,9 晴 21℃
観察場所       山梨県 初狩 藤沢集落 



12年前の7月、中央線の笹子駅で下車し滝子山へ登り、下山路を初狩駅へと向かった事があった。
今日の殿平山への道は初狩駅から登山口である藤沢子神社までは、往復共に同じコースで、
それが滝子山からの帰路と重なっていたため、当時を思い起こし懐かしかった。
ところで、帰路藤沢集落を歩いていると、右手の山裾に白い房状に下る花をつけた高木が目につ
いた。行きにも歩いた道なのに気付かなかったのは、霧雨の中だったかららしい。
「白いフジの花かな」「いや、フジの時期は1カ月も過ぎている」と言葉を交わしながら立ち止まっ
て見ると、花穂は張り出した枝枝から垂れ下がりそよ風に揺れる複総状花序のオオバアサガラであった。
以前、丹沢の檜洞丸への折、渓谷に不思議な長い房を揺らす果実の下をくぐりながら歩いたあの感触は、
今でも頭の片隅に残っているが花に出会えたのは初めてであった。
材は柔らかく均質なので着火がよく、マッチの軸木に使われていたという。 親しみの湧く木である。

 No.879  ~鳥の排泄を吸うルリシジミ~

2010年08月06日 | 日記


  観察月日       2010、6、20 曇 27℃
  観察場所       厚木市 七沢 (県自然環境保全センター9)


      観察路を歩いていると、突然足元から数匹のルリシジミが飛び立った。
      その寸前までは、静かな時のなかで道端に止まっていたのであろう。
      しばらく立ち止まり、チョウの様子を見ると、互いに戯れているように複雑な
   飛び方をし、そこから離れる素振りは見られない。
     その内1匹が路面に降りたのを皮切りに、次々と止まり始めた。
     そこは、白い絵の具をたらした様な鳥の糞であった。糞というよりは、一緒に
   排出した尿酸であった。
      どのチョウも止まるとすぐにストローを伸ばし、探る様に吸汁する。
     「チョウは、きれいな花の蜜を吸っていると思っていたのに、こんなものを・・・・」
   同行していた女性たちは顔をしかめた。
      チョウには相当な魅力があるのだろう。翅に触れても飛び立とうともしない。
     何の成分が必要で体内に取り入れているのか、考えてみれば不思議なことだ。
     体の大きさに違いはあるが、表翅の色をみると、全部雄のチョウであった。