先日三重県の会員で西川さんと言う方からいいお便りを頂きましたのでご本人のご了解の上、ご紹介させていただきます。この方のギターへの思いや情熱がとてもよく伝わってくる内容です。ギターで「心豊かに、人生に潤いと感動を!」を実践されている方だと思います。
山下館長様。お久しぶりです。昨日、私が練習しているクラシックギターサークル「ろくげん」の本年度の演奏発表会が終わりました。
今は体にぽっかり穴が開いた感じです。この1年間、発表会のために自分なりによく頑張ってきました。平均したら毎日1時間以上は練習してきたでしょうか。家族の「やかましい、もう10時過ぎた、聴く方の身にもなって」などといった罵声にも負けませんでした。
まずは全員合奏で幕開けです。「月の沙漠」「浜辺の歌」「赤とんぼ」は、まったく順調でした。
次は、私が1stをつとめる三重奏です。ロシア民謡の「郷愁」は、テンポがいいのでついつい走ってしまい、2nd、3rdにたいへん迷惑をかけてしまいました。「ラ・クンパルシータ」は歯切れのよいリズムで演奏することができました。
次の出番はいよいよソロです。バッハの無伴奏バイオリンパルティータ第1番ロ短調です。過去2回の発表会よりちょっとは自信がありました。1年間で1000回は弾いていると思います。でも最後までミスなく弾けることはほとんどありませんでした。サラバンドの前半も後半も、ミスなく気持ちよく伸びやかに弾くことができました。しかし、そこに落とし穴が待っていました。ドーブルの前半部分をリピートして、最後のところで 突然、頭の中に霞がかかったような状態になってしまいました。練習では一度もミスをしたことのない箇所でしたが、指をどのように動かしたらいいのかわからず一瞬どうしたらいいんだろうと考えてしまいました。どうしても最後の部分が出てこないので4小節くらいはあったでしょうか、その部分を省略してドーブルの後半へ移ってしまいました。心の動揺は隠せず、ちょっと音がとぎれるようなミスをしてしまいました。でもリピートしてからが立ち直り、やっと平常心で思い切り弾くことができ、最後2弦の12フレットのシをこれでもかというくらいビブラートとフェルマータを効かせました。ミスはあったものの、今回は椅子から立ち上がり胸を張って一礼することができました。しかし、舞台のそでに消える頃、いかにもミスをしたというようにちょっと頭をかしげてしまいました。昨年の演奏が実力50%なら今年は60%くらいは出せたと思います。特にサラバンドはよかったので自分をほめてやりたいと思いました。
次は、二重奏で「月光」です。これはほぼ完璧でした。1stを弾いたMさんが、「舞台でこんなに気持ちよく弾けたのは初めてや。これも西川さんのおかげや」と陶酔した面持ちでした。後の懇親会でビデオを見たらなるほど、ほぼ暗譜しているMさんは、体を揺らしながら、時には目もつむって恍惚状態で弾いていました。
さて最後は、全員合奏で「二つのギター」です。これは難しかったのですが、最後を飾るにふさわしい名演奏ができたのではないかと思います。仲間と何度も何度も練習してきたことを思い出して思わず涙ぐんでしまいました。
さて、今年もサプライズがありました。演奏が終了して受付のところへ行って、来てくださった方々にお礼を言っていると、背の高い女性と、その娘さんらしき子が私の方を見てにこにこしながら何か話しかけてくるのです。名前を聞いて思い出しました。なんと28年前に6年生で担任した子が中学1年になる娘さんと一緒に聴きに来てくれていました。花束までいただきました。「先生が弾くのを聴いていてなんだか涙が出てきました」と言ってくれました。発表会のことや私が出ていることをどのようにして知ったのかはわかりません。本当に嬉しいことです。つくづくギターを弾いていてよかったと思いました。これを励みにもっともっと練習していきたいと思います。来年はどの曲で挑戦しようか早くも気持ちを切り替えているところです。
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こんなふうにギターを楽しめたら素晴らしいと思います。主催されている河村さんのお人柄もあるのでしょうね。
私もこんな風にギターが楽しめたらいいなと思います。そして皆さんにも楽しんで頂けたらと思います。
私の場合は仕事とダブっているため難しい面もありますが、いつまでもこの様な気持ちと姿勢を持ち続けたいと思っています。