またまたまたアンヘル・ロメロ - ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> またまたまたアンヘル・ロメロ

 くどいようだが、またまたまたアンヘル・ロメロさんのお噂を一席。先にご紹介した2枚のLPの出た後随分年が経ってからだと思うが、この写真のレコードが発売された。例によって日本のレコード会社の常で、演奏年代の記載もなければ、発売年度も載っておらず、このときのアンヘルさんの年齢も書いてなければ使用楽器も判らない。しかもこのレコードはアンヘル・ロメロのベスト・アルバムなんだと。つまり、それまでに出たアンヘル・ロメロのレコードの中で、「売れ筋」ばっかり集めて作ったレコードっちゅうわけだ。従って先にご紹介した2枚のLPと曲目が随分ダブっているんだけども、それでもこのレコードでしか聴けないものも若干含まれているので、少しは情状酌量の余地を認めてもいいが、それにしてもたった1・2曲のために1枚レコードを買わせるとは、日本のレコード会社は、ほんとに阿漕なことをするもんだ。
それにしても歌謡曲じゃあんめえし、クラシックのレコードでベスト・アルバムたあ、どうゆう了見なんすかねえ。ギター音楽のファンで、アンヘル・ロメロの過去に出したレコードの中から、どんな基準で選抜しているのか解らねえが「いいとこばっかり」選んでもらって聴きたいという人がおるんやろか?おると思っとるんやろか?おるんやろねぇ。こうしてベスト・アルバムが堂々と売られておるところをみると。

とにかく収録曲をご紹介。
① アルベニス:アストゥーリアス
② グラナドス:ゴヤの美女
③ ソル:魔笛の主題による変奏曲
④ ターレガ:華麗なる練習曲
⑤ トゥリーナ:ガロティン
⑥ ロドリーゴ:ファンダンゴ
⑦ アルベニス:セヴィーリャ
⑧ トローバ:五月祭の歌と夜明けの歌
⑨ セレドニオ・ロメロ:ファンタジア

このレコードで第一のご注目は1曲目のアストゥーリアス。とにかくほんとにギターでこんなふうに弾けるんやろか?と疑っちまうくらいものすごいテクニック。なにしろものすごいスピードで弾いている上、ラスゲアードの後アルペジオに移るのに、まったく間があいていない。とても和音を押さえた後、瞬間に指を持ち替えているとは思えない早業。確かにこのように弾けることは良いことかもしれんが、ここまで鮮やかにやられると、「もう少しやりようがあんべな」と思えてしまう。とにかくパソコンに打ち込んで演奏させたらこうなるんでは、というくらい完璧の完璧。それは4曲目の華麗なる練習曲でもおんなじで、機関銃のようにアルペジオとスケールが打ち出される。次のトゥリーナの曲はレコード会社の訳の解らん基準によって、対であるはずのソレアレスが落選してしまっており、片手落ちなこと夥しい。最後の2曲。トローバと親父さんであるセレドニオの曲は、はっきし言って面白くもなーんともない。ただあっけらかんと弾いとるだけ。なんとも音楽が軽い。重けりゃいいわけではないが、なんとも内容が乏しく薄っぺらに聞える。でも、なんだかわけもなくかっこよくて、きっとこれを目の前でやられると、みんなほれちゃうんやろなあ。

今回のジャケットの写真にあるように、前回ご紹介した2枚のLPのジャケット写真よりも、随分大人、いや充分おじさんになって写っておりまするが、果してこのお年の時の演奏なのかどうか(追加された曲が)よくわかりませぬ。私の聴く限り、殆んど差は無いように感じるところをみると、アンヘル・ロメロさん、「歳をとってもあんまり進歩してなかったのかなあ」と懸念される・・・・といったら角が立つから、「歳を追うごとに元気いっぱい。まさに老いを知らぬがごとく、いつも若々しい演奏を聴かせてくれる、我らがアンヘル・ロメロ!」と言っといた方が身のためやろなあ。最後にこのレコードの解説の末尾にある濱田滋郎さんの言葉をご紹介。
「何はともあれ、当代一流の腕達者であると同時に、“スペイン語で”ギターを弾ける素敵な名手アンヘルの演奏ぶりを、選り抜きの名曲によって味わっていただくとしよう。」
アンヘル・ロメロさん、今回の来日公演、期待してまっせ!
内生蔵 幹(うちうぞう みき)

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