村治佳織 母校でのコンサート - ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 村治佳織 母校でのコンサート

3月4日(土)14:00より、東京北区にある女子聖学院にて村治佳織さんのギターリサイタルが開かれましたが、ご希望によりPA(SR)をするために出かけてきました。
JR駒込駅より歩いて7・8分のところにあるその学校は、村治さんが中学、高校と6年間通った母校で、800人収容のとても立派なチャペルがあり、今回そのチャペルにてリサイタルは行われました。なんでもその学校のPTAが主催で、もう19回も続いているんだそうです。

最初そのチャペルに足を踏み入れた時は、天井もかなり高く、理想的なコンサートホールかのように見えましたが、壁がコンクリートということもあって、ちょっとお風呂場のようなわんわんした響きが気になりました。
ちょっと反響が過ぎて、人間の声や楽器の音が聴き取り難いように感じたのです。
ここで例の富士通テンのスピーカーでもってPA(SR)したらどうなるのだろうと、若干の不安がよぎりましたが、これで人が入ってしまうと、ほとんど衣服などに音が吸収され、演奏していても途端に反響が返ってこなくなるとのこと。
だとしたら、逆にスピーカーでわずかに補強してやれば調度よい響きが得られるかもしれないと想像されます。

スピーカーは前回パルテノン多摩でのアランフェスの時と同じ、最高グレードの712z-sを使用。セッティングには村治さんのお父さんも大いに手伝っていただき、なんだかとても恐縮。マイクは目立たないようにと、鉛筆よりも細いグースネックタイプ。
このPA(SR)システムを、村治さんのソロコンサートに使用してもらうのは今回が初めてなので、スピーカーの位置などちょっと入念に試してみましたが、ご本人の感覚ではやはり斜め左後、ちょっと離れた位置がベストだったようです。
会場のあらゆる位置で確認してみましたが、まったく違和感が無く、自然な響きが得られます。
簡単なリハーサルを終え、休憩を挟んだ後、14時から本番。

さすが彼女のコンサートは、母校とはいえ800人のホールが満席。
いまどきこれほどの人気があるクラシックの演奏家は、ギターに限らずあまりいないんではないでしょうか。なにしろ彼女のコンサートに行くと、毎回その他のコンサートで年々集客が落ちているなんてことが考えられないほどの盛況ぶり。
これはこのところ村治さんや村治さんご家族との接触を持たせてもらっているうちに、段々と理解できてきましたが、やはりなんといっても彼女の人間的な魅力が大きいんでしょうね。
それはコンサートの中で、彼女自らがマイクを持ってお客さんに語りかけている時にも感じることで、なんとも村治佳織という「人間」に魅了されてしまいます。
いつも彼女はこちらが気がつく前に、遠くから元気な声で「こんにちわー」と声を掛けてくれます。それを聴いて彼女が来たことに気がつくのですが、その明るい大きな声に、思わずこちらがいつもハッとさせられてしまいます。

またコンサート終了後、彼女を取り囲んでずっと離れない友人の方々を見ていても、いかに彼女が多くの人達から慕われているのかがうかがえます。
私のような年齢のものからすると、このような明るく、素直な娘さんをもった村治さんのお父さんが、いつもとてもうらやましく思えてしまいます。
さてコンサートの内容ですが、プログラムは平塚でのコンサートとほとんど同じ。
しかしいつもと違う位置で聴いたからかもしれませんが、今回は彼女の多彩な音色がとても魅力的に感じました。しかもいつものように彼女は決してやり過ぎません。多彩な音色を、弦を弾く位置、右手の角度、弦に対する指の使い方など、あらゆる方法を自在に使い分けて奏でるのですが、それが全てベストのところで収まっており、あくまでもやり過ぎないのが、いつ聴いてもその音楽に納得できる所以。
いつも感じるテンポ感の見事さは、今日も健在。

そしてこのところ4回連続で彼女の演奏を聴かせてもらいましたが、ニュアンスというか、歌わせ方というか、当たり前なんでしょうが、毎回少しづつ違うことが、なんだかとても微笑ましく感じられます。
しかも毎回まことに品良く、しかもシャープ、しかもあたたかい。
アンコールのタンゴ・アン・スカイはそのかっこよさにお客さんも大拍手。
次のアルハンブラの想い出は、お客さん全員がどよめくほどの感動を与えてくれました。来ておられたお客さんは、どちらかというとギター関係の方よりも学校関係の方のほうが多いのではと思いますが、「こんな感動的なアルハンブラが普通だと思ったら大間違いななんよ」と言いたくなるほど、彼女の演奏は胸に迫るものがありました。

富士通テンの712z-sもとても良い効果を上げることができたようで、村治さんにも満足していただけたようです。
これからもずっと素晴しい演奏を聴かせてください。
帰りはお父さんの村治昇さんとちょっとお茶を飲みながらお話をして、そのあと一緒にJRに乗って帰ってきましたが、とても幸せな一日を過ごさせていただきました。         内生蔵 幹(うちうぞう みき)


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