ジュリアン・ブリームのジュリアーニ - ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> ジュリアン・ブリームのジュリアーニ

 写真にある2枚のレコードは、どちらも中身は同じジュリアーニのギター協奏曲第1番、イ長調 作品30とマルコム・アーノルド作曲のギター協奏曲。右は日本で発売になった時に購入した邦盤。左は数年前、中古レコード店で見つけて、予備のためにと思って購入した輸入盤です。国内盤の方はいつごろだったか、たしか高校生のころか、大学に入ったばかりのころでしたでしょうか、地元の街のレコード店で見つけて購入したもの。
そのころは、ギターの協奏曲といえばロドリーゴのアランフェス協奏曲くらいしかなく、イエペスが弾いていたヴィヴァルディのニ長調のコンチェルトなんぞは、とてもいい曲なんだけれども、所詮リュートのための協奏曲であって、ギターのオリジナルではないという気持ちがあったので、このブリームの弾くジュリアーニのコンチェルトのレコードを見つけた時は、ジュリアーニにオリジナルの協奏曲があったんだ!と、小躍りして喜んだものでした。早速家に帰って聴いてみましたら、一遍に大好きになり、「よーし、俺も上手くなって、いつかこのコンチェルトを弾いてやるぞ!」と心に誓ったのでありました。

いつか楽譜も手に入り、毎日のように練習しておりましたが、この曲はジュリアーニの特徴あるエッセンスを全てその中に含んでいて、音階からアルペジオ、そして特有の展開、またジュリアーニ特有の分散和音の上昇、下降と、ふんだんに基礎的な要素が出てきて、むしろそれの連続といったらよいでしょうか、この曲を弾いているだけで、ギターの基礎練習をやっているような効果がありました。
その後あらゆるジュリアーニの曲を弾いてみても、すべてこのコンチェルトの焼き直しのようで、違う旋律を、ジュリアーニ特有のエッセンスに乗せて、順序を変えて出していくような趣がありました。それは恐らく最近よく演奏される「ロッシニアーヌ」なんかでも同じじゃないでしょうか。なんだかジュリアーニの曲は1曲まともにマスターすれば、あとはなんでも来い、といった感がありますね。そういった意味でも、みなさん、ジュリアーニの大曲をひとつ、じっくり仕上げてみてはいかがでしょうか。ひとつひとつパターンに区切って、ゆっくりゆっくり。最初は止まる一歩手前くらいの速さでいいから、そのジュリアーニ一流の音形パターンを繰り返し練習してみたらどうでしょう。

そうやってなんとか3楽章まで指が通るようになってきたら、今度は弦楽合奏と合わせてみたくなりますね。でも当時は今のようにコンチェルトのカラオケなんてありません。仕方が無いので、ブリームの演奏するレコードに合わせて一緒に弾くしかない。自宅でもやりましたが、いつかお話した伏見にあった荒井貿易のビルの地下。ギター喫茶「アリア」へ行って、同じレコードをかけてもらい、レコードと競演しました。何度も何度もやりましたねぇ。考えてみると、やはりレコードに合わせて弾くなんていうと、あせってしまって、どこまでも力みまくってしまうのですが、そこは若さですね。最後まで弾ききって汗をかいたことが何度もありました。その後いつかマンドリンオーケストラですが、この曲を演奏させてもらう機会に恵まれ、とても気持ちのいい思いをさせてもらったことも、今にして思うといい思い出です。

それとB面のマルコム・アーノルドのギター協奏曲、これは最初聴いた時は「なんじゃこりゃあ」という感じがしましたが、2度、3度と聴くうちに、段々と気に入ってしまい、楽譜をと思ったのですが、その時はどうしても楽譜を手に入れることができず、従って今まで一度も弾いたことがありません。しかしこのレコードのおかげで、マルコム・アーノルドというイギリスの新しい作曲家を知り、そのジャケット解説でジャンゴ・ラインハルトというジャズギターの巨人も知ることができたのでした。
ブリームが演奏するこのギター協奏曲が、ジャンゴ・ラインハルトというジャズギターの名手を讃える音楽になっているという。ジャンゴ・ラインハルトはブリームやアーノルドからも、またその他の多くの音楽家からも尊敬を集めているという。
そんな解説を読みながら、クラシックとジャズの世界のつながりというか、関係というか、音楽に垣根はないのかなあと、いろいろ考えさせられたレコードであり、さらに音楽に対する興味をかきたてられたレコードでした。
その後もこのレコードは、私にとってはかけがえの無いレコードとして聴き続けておりますが、持っているレコードの中で、どれか1枚だけ選べと言われたら、私はきっとこのレコードを選ぶと思います。
ぜひ皆さんも、ブリームの演奏するジュリアーニのギター協奏曲、イ長調 作品30とマルコム・アーノルド作曲のギター協奏曲、一度はお聴きになってください。
内生蔵 幹 (うちうぞう みき)

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