和声学あれこれ(12)転調 その3  - ミューズの日記
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和声学あれこれ(12)転調 その3 「どうやって?」(主和音同士の転調方法)

転調について今まで「いつ?」—形式—、「どこへ?」—近親調と遠隔調—と説明
してきましたが、今回からいよいよ「どうやって?」—その方法—についてです。
転調には色々な方法(技術)がありますが、殆どの和声学の本ではその使用法から解説されています。しかしここではまず型によって説明いたしましょう。
転調の方法としては大別して上記のⅠからⅤの型に分類できるかと思います。
Ⅰ型・突然転調・・・・・・完全に終止した先行調の後に近親調等を続ける方法。
Ⅱ型・共通和音の利用・・・先行調と後続調の共通和音を利用する方法。
Ⅲ型・属和音等の利用・・・後続調の属和音類等を利用する方法。
Ⅳ型・変化和音の利用・・・先行調の和音の一部を半音変化させて後続調の和音と          
             する方法。
Ⅴ型・その他の方法・・・・減七・ナポリ・増六・異名同音・和声的下属和音等

 まず、今回はⅠ型の方法ですが、これが一番簡単な方法でしょう。ギター曲では
並行調(平行調とも書き、先行調と同じ調記号の調)と同主調(主音が同じ調)への転調が結構多く見受けられます。先行調(基調、原調ともいいます)が一段落して、(大抵16小節か32小節で主和音で完全終止します)次の楽節は並行調か同主調の主和音で始めます。勿論、属調でも下属調でも問題ありません。二部形式、三部形式に多用されています。
即ち、先行調が〜D+T+後続調がT+〜、要するに主和音同士の連結ですが、呼び名は突然転調するから突然転調とでも云いましょうか、私個人としてはこの名称は曖昧な為使いたくないのですが。この型にはその他にも半音上の調や三度下の調へとか色々あります。ギターの場合並行調(平行調)か同主調どちらへ転調するかは低音の開放弦の関係や弾き易さを考えると上記の表のように得意、苦手があります。表は統計的なものではなく、感覚的にみて思うだけです。この方法はギター曲には非常に多くて「禁じられた遊び」や「ラ・グリマ」「アデリータ」等結構あります。
いろいろ調べて確認しましょう。 この大きな段落の後(一旦完全終止)別の調で改めて始まる方法は突然景色や雰囲気が変わる効果がありますが、知らない内に別の調へ変わっているという方法もあります。次回はその方法について述べてみます
 
追記
転調には一時的転調と本格的転調があります。ここでは本格的転調のみを取り上げ、
一時的転調はその時に応じて説明しますが、私個人的には一時的転調は転調ではないという立場を取っています。では何かといいますと、これは装飾的和音の範疇と考えています。目的とする和音を飾る・強調する和音とみています。即ち転調をする気がないのに一時的転調と称するのは変だと思うからです。
楽譜上では一時的転調はすぐに原調に戻るから臨時記号で対応します。
本格的転調は転調が確立して大きな楽節を形成しますので、調号をつけています。

                         服部 修司


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