外国語を勉強していると気付くことがある。
それは一人称の代名詞がきわめて少ないこと・・・。
英語は「I」。
中国語は「我」。
イタリア語は「Io」。
ドイツ語は「Ich」。
フランス語は「Je」。
男性女性を問わず一種類しかない(もっとも、目的語になると代名詞が変化(I→me)することもあるが、それはここでは問わない)。
(もしほかにあったら教えてください)
それに比べて、日本語の一人称の代名詞は豊かだ。
今回は男性の場合に限って挙げてみよう。
「僕」、「俺」、「わたし(私)」、「わたくし(私)」、「わし」、「おいら」、「おれっち」、「自分」、「我輩(古い言い方だが)」などなど。
ほかにも地方色のある言い方がある。
「わて(西日本)」、「わい(西日本)」、「おいどん(鹿児島)」、「おら」・・・
と、挙げれば実に切りがない。。。(※この内、「私」だけ男女兼用かな?)
ともあれ、日本男性が一般的に使う代表的な一人称代名詞は、「私」「僕」「俺」の三つではないだろうか。
この三つの呼称の用法とそれに伴うイメージを自己流に分析すると、以下のようになる。
「私(わたし・わたくし)」・・・一番フォーマルで、社会人として発言する場合には、最も望ましい言い方。
公の場や、目上の人と話すときには一番相応しい。
ただし、多少堅苦しい印象を与えるため、家族や親しい間柄にはあまり使わない。逆に、相手と適度な距離感を取りたいときには最適な言い方。
なお、「わたし」より「わたくし」の方が、さらに格調が高い言い方となる。
「僕(ぼく)」・・・「私」ほどフォーマルではないが、相手に穏やかで育ちのいい印象を与える。また、ほどよく知的な感じもする。芸術関係や、著述業、マスコミ関係、フリーランスの職業の人が使うとよく似合うのでは・・・。強いて難を言えば、「僕」には少しひ弱なイメージがある。つまりワイルドさに欠けるということ。また、ちょっと気取った感じがしないでもない。
「俺(おれ)」・・・一番、庶民的な言い方。ただし、年上の人に向かって言ったり、公の場で使うのは失礼に当たることが多い。友達同士、気兼ねなく話すには最適な言い方。ただし「俺」と言える仲になる前に使うと、相手に威張っているように取られることもある。とは言え、相手との距離感を縮めるには最適な言い方である。ただし、「僕」よりも、品位は下がる。
さて、自分の場合はどうかと言えば、現在「私」と「俺」しか使わない。
小学生まではずっと「僕」だったような・・・。
中学生になって「俺」に変わった。
でも家では「僕」が長かったような・・・。
「おいら」もふざけて使っていたっけ・・・。
社会人になってからは、公の場や目上の人に対しては「私」を使うようになった。
そして、どういうわけか「僕」だけ、完全に使わなくなってしまった。
最近、「僕」の似合う人が「僕」を使っていると、いいなぁって思う。
でも、いきなり使い慣れていない「僕」を使うのは照れ臭い気もするのだが・・・。
「私」は多少堅苦しい感じもするものの、相手との適度な距離感が逆に心地よいときもある。
自分のことを「私」と言うことで相手の立場を尊重できる点もいい。
しかし、なんと言っても、「俺」が一番かな。
「俺」の後には、敬語はいらないし。リラックスして話せるような気がする。
日本語って面白い♪
ちなみに、女性の場合は、「わたし・わたくし」か、「あたし」ぐらいしかバリエーションがないのではないだろうか・・・。
あと幼児性の抜けない女性の中には、自分のことを、自分の名前で言う人もいる・・・。