塩野七生さんの『ローマ人の物語 全43巻』読破!
読み終わるまで一年半くらいかかったかな・・・
もともとマルクス・アウレリウスのことをローマの文化や世界観から俯瞰して見るために読み始めたのだけど、
正直これほど夢中になってしまうとは思わなかった。
ローマ建国から滅亡までの栄枯盛衰はもとより、ローマ人の生き様にスポットを当てており、魅力的な人間像が生き生きと描かれている。
特にキリスト教が広まる前のローマの知的エリートたちの人生観は、ストア哲学がベースになっており、きわめて自制的かつ利他的で、
自己の使命に責任を持ち、冷静沈着に困難を乗り越えていく姿には感嘆を覚えずにはいられない。
また多神教であったローマは、実に寛容的でリベラルな社会でもあった。
奴隷の身分も固定的ではなく、奴隷からローマ市民になる道もあり、また植民地(属州)は搾取の対象ではなく、
ローマとの段階的な同化、共存共栄が基本路線であったのだ。だからこそ、あれだけの版図を長期にわたって維持できたのである。
それが五賢帝の時代が終わるとじょじょに、法律が改悪されたり、キリスト教が広まってついに公認されるにいたり、昔のローマの面影は失われていく・・・。
それとともに坂を転がり落ちるようにローマという国も衰退していくのだ。
ともあれ、現実主義に貫かれたローマという国のシステムは、きっと現代の政治にも生かせるし、気骨の塊のようなローマ人の生き様には、
骨抜きになった現代人にもいい薬になろう。
いや~感動した!