さらば、わが愛/覇王別姫角川エンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
『さらば、我が愛 覇王別姫』を観ました。
以下アマゾンの文章を引用。
中国激動の時代に生きた、京劇俳優の程蝶衣と段小樓。女形の蝶衣は段小樓を愛していたが、彼は娼婦と結婚してしまう…。戦争が、京劇という芸術の世界も侵しつつあった時代を背景に描かれる、ふたりの男たちの愛憎のドラマ。
前半は、京劇の学校で厳しい訓練に耐える主人公の少年ふたりの友情にスポットをあて、後半は、時代の波に飲まれながらも、愛と演劇を貫く男たちのストーリーがつづられる。段小樓を愛しながらも、その愛を得ることができず、苦悩する程蝶衣を演じるレスリー・チャンの艶やかな美しさが圧倒的な存在感を見せる。段小樓と結ばれる娼婦はコン・リー。監督はチェン・カイコー。カンヌ映画祭パルム・ドール賞受賞作。(斎藤 香)
以上引用。
一言、濃ゆい・・・ディープソウルな映画です・・・。
全編に中国人の業の深さを感じました。
中国人は何事につけても「過剰」に走ってしまう傾向があるようです・・・。
暴力、性、愛情、快楽が、暴走してブレーキが利かない。
救いのない出口のない禁断の愛が、激動の時代を通して描かれています。
主演のレスリー・チャンは個人的には好みではありませんが、この人を一言で形容すれば『淫靡の塊』。
本人でさえも制御不能な、全身から匂い立つような淫猥なエロスを発散しています。
男でもない女でもないその中間でもない両性具有の化け物が、極めて閉鎖的な京劇の演劇世界を舞台に、淫靡なエロスの香を振り撒く。
しかし、この化け物の愛は決して報われることがない。
とことん、哀れで虚しい愛・・・。
また、娼婦役を演じたコン・リーには、個人的に垢抜けない田舎っぽさを感じます。
洗練されていないし、あまり美しいとは思わない。
しかしだからこそ、彼女から、大陸的な懐の深さ、大地のような母性が滲み出ているのを感じるのでしょう。
また同時に、彼女は土着の地母神の持つ性質と言えるような、ふてぶてしさ、狡猾さ、嫉妬深さを併せ持っています。
そういう意味でひじょうに大陸的中国的な女優でしょう。
本作はチェン・カイコーの美学を結集した映画かもしれません。
京劇の世界って「グラムロック」とかなり通じるよな~と妙に納得してしまいました。
感想を一言で言えば、「人間ってとんでもない生き物だな・・・」ってこと。
確かに芸術性は高いのですが、観念的な言い方をすれば、ニヒリズムと耽美主義の融合を叙情的に描いたような作品なので、鑑賞後は空虚な気持ちになりました・・・。
不毛な愛はどうしても消化不良に終わります。
また男色という世界には、やはり共感しづらいものがありました。
と言うわけで五段階評価、星は
ちなみにレスリー・チャンは、2003年、香港のマンダリンホテルにて投身自殺をしています。享年46歳。合掌。
映画の結末と事実がダブります。
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