うちなー→えぞ日記 (もとすけのつぶやき)

奈良県出身、沖縄での学生生活を経て、北海道ライフを堪能する、
とある研究者の日常のよしなしごとの紹介。

週間報告 もとすけ 100517-22 No.001

2010年05月22日 23時50分51秒 | えぞ日記(北海道編)・・日常
今回は、研究室の週報書式に倣って、今週一週間の私の様子を報告します。

<今週の流れ>
今週は、月曜に雑誌会での発表を行い、火曜日以降酵母Pichia pastoris高密度培養によるタンパク質大量発現、並びに回収物の精製作業を行いました。(通常の週報では「った」や「・・だ」で書きますが、ブログではいつもの「ですます調」で書くことにします)

5月17日(月曜日)
午後6時より、雑誌会が行われました。この雑誌会とは、研究室全員参加の論文購読会で、1回当たり2名程度が発表者となり、1時間から1時間半程度で任意の論文を紹介するという内容のものです。今回は、Oさん(前半1時間)と私(後半1時間)が発表を担当しました。


↑今回発表した論文。メソッドの下りの文字が半端なく細かく、翻訳に心が折れそうになりました・・。

先週末から泊り込みで発表準備を進めて論文の内容把握は出来たものの、発表資料の作成に手間取り、月曜日夕方時点でもまだ資料は未完成でした。実は、図表の解説や論文末尾のディスカッションのスライドが夕方5時時点で半分程度しか出来ておらず、到底発表に間に合いそうになかったため、発表の延期を本気で考えました。しかし、教授の「まあとにかくやってみいや」という諭しもあり、諦めずに編集を続けた結果、午後6時40分頃にスライド資料がなんとか完成しました。人数分(約30人)のレジュメ(スライド資料の印刷版)印刷に20分ほどかかり、7時過ぎに準備が完了、すぐさま発表会場の教室へと向かいました。
部屋に入ると、ちょうどOさんの発表の終盤で、最後の質疑応答が行われていましたが、数分程度で質疑応答も終了し、私の発表の番となりました。資料完成から時間が無く、全体を通した発表練習などはしませんでしたが、ここで泣き言を言う訳にもいかないので、気合を入れ直して教壇に登りました。
私が今回発表した論文は、広く溶菌タンパク質として知られるリゾチームの、ある不思議な活性に関する内容でした。図は全部で8つ。ただし、この論文では複数の異なる実験結果を纏めて一つの図としているため、並みの論文よりも読解には苦労しました。
さて、いざ発表を始めてみると、予想外に滑らかに発表を進めることができました。先日の研究報告会の発表開始直後はかなり詰まり気味でしたが、今回は比較的スムーズに研究背景や実験手法を説明できました。また、図表の説明も、つい先ほどまで編集していたからか、要点をかいつまんで的確に進められました。発表後の質疑応答も満足できる出来でしたし、終わってみると、準備不足が嘘のように、成功裏に雑誌会の発表をこなすことができていました。
終了後、「諦めないで本当に良かった・・」と思いました。もしも、発表延期などしていたら、今後1週間悶々とした日々を送るだけではなく、教授陣の信頼を大きく損なってしまうところでした。発表がうまくいったことで、なんとか面目を保つことができたわけです。
今回の勝因は、発表の際に余計な緊張をせずに済んだことだと思います。準備不足であることは分かっているわけですから、駄目で元々と、過去の発表をあまり意識せずに発表に臨んだことで、口元に変な力が掛からなかったのでしょう。
今後は、準備はもう少し早目に取り掛かるべきではありますが、人前で肩の力を抜いて発表できるようにトレーニングしていこうと思います。

5月18(火)~21日(金)
目的タンパク質の発現遺伝子を組み込んだ酵母の高密度培養による、タンパク質大量発現作業を行いました。この作業は3人のチームで行っており、私以外の2人の手によって、前々培養などの作業が先週金曜日から始まっていましたが、私は雑誌会明けの火曜日から合流したわけです。月曜日に培養槽への植菌が行われており、火曜日以降は溶存酸素濃度を観察しながら、栄養入りの培養液を徐々に添加していき、培養を進めました。20日(木曜日)に培養槽内の溶液を回収し、タンパク質の精製作業に入りました。作業に使うpH緩衝液の調製から遠心やカラム処理を用いた精製、そしてタンパク質の溶出確認などを一通り自分の手で行ってみましたが、なかなかに大変な作業でした。大量発現させているので、かなり多量の溶液(15L)を一度に処理しなければならなかったからです。
連日日付が変わるまで研究室に残って作業し、なんとか週末までで精製は一段落しました。
私の研究では、このタンパク質の変異体をさらに複数作る必要があるので、この手間のかかる作業をあと数回は行うことになります。気が遠くなりますが、しっかりやらねば・・。

5月22日(土曜日)
今日のことです。
今日は、我が研究室のジンギスカンパーティー(以下、ジンパ)がありました。正午開始予定でしたが、準備を手伝うため、11時半には研究室に登校しました。ジンパ会場(理学部南側の杜)に行ってみると、ちょうど男性陣が火起こし作業を行っているところだったので、私も手伝いました。団扇で一生懸命炭火を扇ぐこと30分、コンロや七輪の火がようやく安定して、ジンパの準備が整いました。(ちなみに、ジンパセットは生協からの貸し出しです)
少し予定から遅れた正午過ぎに研究室関係者全員が集合し、ジンパ開始。久々の野外でのバーベキュー(去年の9月の沖縄でのビーチパーティー以来)に舌鼓を打ちつつ、これまでに無く学生や先生方と喋り尽くしました。また、久々に三線も日の目を浴びて(二つの意味で)、弾き語りもしました。北大の構内に三線の音色が響く様子は、非常にミスマッチでしたが、感慨深くもありました。


七輪でのジンギスカン。今回は七輪4つとバーベキューコンロ2つを使った大パーティーでした。


ジンパ会場脇にあったしだれ桜。背後の理学部本館と共に、どれくらい昔からここに立っているのでしょうか。

結局、ジンパが終わったのは午後4時過ぎ。梅酒(泡盛割)と缶チューハイですっかり酔っ払ってしまい、後片付けが終わってすぐに寝込んでしまいました。飲みすぎた・・。でも、今日は良いコミュニケーションが出来たので、後悔はありません。
配属から半年経って、ようやく打ち解けた実感が沸いてきました。

<特記事項>
・18日には遺伝子組換え実験従事者講習会、19日には液体窒素取り扱い講習会が行われ、参加しました。コンピュータ上のドライな実験だと、命に関るようなことは滅多にありませんが、ウェットな実験だと命にすぐさま関るような事柄に多々出くわします。こういった講習会に参加していると、「ああ、ウェットな実験をしているんだなぁ・・」と改めて実感が沸いてきます。

液体窒素講習会の終了証。なんか格好良いです。

・先週月曜日に申請した、件のSTA(スーパーティーチングアシスタント)プログラムの採用者が21日に発表され、なんと私も採用されていました!申請するか否かで結構悩みましたが、結果的には申請して大正解でした。勧めていただいたA先生には本当に感謝です。今後は、その名に恥じないように、積極的に活動に参加していくつもりです。

<今後の計画>
研究報告会、雑誌会が終わったので、今後はしばらく実験に集中できると思います。これから夏までを一つの区切りとして、研究の一層の進展を図りたいと思います。
いつのまにやら5月も末となり、札幌も日に日に緑が増えてきました。周りに聞くところでは、これからが一番良い季節だそうなので、研究以外でも、積極的に北海道の自然を満喫したいなぁ・・と思います。(お金の掛からない範囲で)

最近の北大構内。桜がほとんど散り、一気に夏らしくなってきました。

というわけで、以上、今週の報告でした。