「なめらかな、すべすべした、円滑に動く」ということを、皆さんはなんと言いますか?
いや、実は先日暇だったので、何となくネットサーフィンしていたら新幹線N700系のサイトに行き当たったのです。そこのサイトの宣伝のキャッチコピーが「スムース。」と書かれていて、ちょいと違和感を感じました。
私はこれまで長年「スムーズ」と発音してきました。
しかし、日常生活で結構「スムース」と発音したり、書いたりしているのを見かけます。「スムースな飛行だった」(出典:月刊エアライン)などです。私の主観では、わりとインテリな人たちが、ついつい英語っぽく言いたくなって、使うような気がします。
たしかに、「スムース」と言った方が、より滑らかな感じはします。
英語の綴りは、[smooth]です。これだけ見ると、「スムース」と読みたくなってしまいます。しかし、最後のthの発音は上記のような発音記号で表されるのですが、「mother(マザー)」や「other(アザー)」のthと同じで、「ズ」という濁った音になります。よって、英語での読みでは、「スムーズ」の方がより正しいことになります。最近では、高校英語で、試験によく出ると教えられています。(逆に勘違いしている人も少なからずいるようですが・・)
もしもジャポニカロゴスなら、「スムース」は誤用ということになるでしょう。
まあ、ジャパニーズイングリッシュとしては、別にスムーズでもスムースでも構わない(スムースジャズなどの例もありますし)のでしょうが、宣伝のキャッチコピーや、雑誌などで使っているのをみると、より英語らしく、格好良く見せようとして、失敗しているように見えてしまうのです。あえて「スムース。」と、誤用と受け取られかねないコピーを使うなら、「なめらか。」など、日本語で表現しても良かったのにな・・と思ってしまいます。
ちなみに、グーグル検索では、「スムーズ」が2660万件、「スムース」が422万件ヒットしました。これを調べている間に、少し面白い記述に出会いました。
スムーズムです。
以前、このブログど同様のことを取り上げたブログがあったのですが、それによると「スムーズム」と使っている人々がいるというのです。
グーグルのヒット数は、761件。意外に多いです。
「スムーズム」とはこれまたいかに?
用例を示すと、
・この国のスムーズムじゃない部分を楽しめれば、それは絶対に「退屈」なんてことはないかもしれない。
・スムーズムな、お取引を心がけています。
・ローリング・シート地がスムーズムにマットの周りを回転し、わずかな力で『らく』に動かすことができます。
・各調剤をスムーズムにシュミレーションした場合の調剤時間と・・
ごらんの通り、使っているのが、結構真面目なサイトなのです。「スムーズ」と「~イズム」を合わせた造語として使っているのかと思ったのですが、そうでもないようですし・・。これ、作者の意図がちゃんと視聴者に伝わっているのか疑問ですね・・。で、なぜ「スムーズム」なのかの答えも、ちゃんと載っていました。
教えて!gooで、「スムーズ?スムーズム?」という質問(
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1463624)があったのです。
質問者は、ずっと「スムーズム」だと思って使っていたのですが、あるとき、友人から指摘されて、言い間違いだと気付いたそうです。それによると、
『・・・他の人が「スムーズに○○○~」とか「スムーズな○○○」などとしゃべっているとなぜか「スムーズ(語尾にかすかにム)に」と聞こえるのです。なので実際聞こえてくることばはゆっくり言わない限りほとんど「スムーズム」なんです!・・・』
言われてみれば、確かに聞こえないこともないかも・・。きっとお耳が敏感なのでしょう。
そういえば、私は幼少時代難聴気味で、さ行とた行の発音が上手くできなかったものです。
人間、間違った発音の一つや二つはしています。先日も、情報工の友人と、エクセルのEXACT関数について話していて、「FALSE」のことを、「ファルス」と発音したら、「フォールスだよ」と突っ込まれてしまいました。(「ファルス」と発音する、「アルス族」と呼ばれる人もいるようですが・・)
かくいう友人も、以前「アボカド(avocado)」のことを「アボガド」と言って聞かなかったので、おあいこです。(アボガドだと、スペイン語で弁護士という意味になってしまうとか)
でも、こういう発音の違和感って、意外に根深いんですよねぇ。会話を「スムーズ」にこなすには、お互いに寛容な心で、多少間違っていても許すこと、そして間違いを指摘されたら、辞書なりで調べて、納得して修正することが必要なことではないでしょうか。