うちなー→えぞ日記 (もとすけのつぶやき)

奈良県出身、沖縄での学生生活を経て、北海道ライフを堪能する、
とある研究者の日常のよしなしごとの紹介。

スウェーデン旅行記8 印象深きスウェーデンの風景

2017年10月07日 23時58分53秒 | スウェーデン旅行記
こんばんは。前回の更新からまただいぶ日が経ってしまいました。
ここのところ本業の方が忙しく、なかなかブログ書きに手が回らない状況です。
今夜は若干手抜きですが、今後順次ブログで紹介する予定の、スウェーデンで訪ねた様々な場所で撮った印象深い風景をご紹介したいと思います。


ガムラスタンの街角
日曜礼拝前に流れる鐘の音を聴きに、ストックホルム旧市街ガムラスタンを歩きました。
ここはスウェーデン国王の戴冠式も行われるストックホルム大聖堂の脇の小道です。
ストックホルムは魔女の宅急便に出てくる街のモデルの一つですが、この街角にキキが佇んでいる光景が一瞬目に浮かびました。


ストックホルム市庁舎 黄金の間
魔女の宅急便に出てくる時計塔のモデルであるストックホルム市庁舎は、ノーベル賞授賞式の晩餐会場としても有名です。この黄金の間は、晩餐会後の舞踏会に使われる部屋で、市役所とは思えない、とても豪華な造りでした。


ブロンマ交差点
ストックホルムの西郊外にあるBrommmaブロンマ地区のホテルの窓から見た風景。
この交差点はストックホルムを東西に結ぶ道と、環状に周る道の交点になっており、綺麗な円形のロータリーとなっていました。


同じ場所で撮ったタイムラプス動画です。ぐるぐる回っています。


ウプサラ大聖堂1


ウプサラ大聖堂2
日帰りで出掛けたウプサラの町にある大聖堂の内部の様子。
北欧最大規模の大聖堂として知られ、圧倒的なスケールと荘厳な装飾に感涙しました。


タリンクシリヤラインの豪華フェリー船内
ストックホルムとフィンランドのヘルシンキを結ぶフェリーにも区間乗船してきました。
夜にフィンランド行きフェリーに乗り、午前2時に途中寄港地のオーランド諸島で下船、反対方向の船に乗り換え、朝にストックホルムに戻るという弾丸乗船でしたが、巨大フェリーの吹き抜けの船内は、まさに町そのものでした。


多島海の朝1


多島海の朝2
バルト海とストックホルムを繋ぐ多島海の船旅。島影から上ってきた朝日は、とても美しかったです。


ドロットニングホルム宮殿寝室
ストックホルム西方にあるスウェーデン王室の宮殿。現役の王宮ですが、宮殿内部が一般公開されていて、17世紀のヨーロッパの宮廷文化の華やかさを堪能できました。この寝室は、実際には来賓との会談場所として使われたそうで、寝室という最もプライベートな場所で会談することで、親密さを表していたとのこと。


ヴァーサ号博物館
ストックホルムは多くの博物館・展示館が存在する文化の街でもあります。
このヴァーサ号博物館は特にお勧めのスポットで、約400年前、完成直後に沈没した木造帆船ヴァーサ号を丸ごと引き揚げ、展示しています。吹き抜けの真ん中に巨大な木造船が展示されている様子は、今はなき大阪の「なにわの海の時空館」を彷彿とさせます。


夕暮れ時のガムラスタン
ストックホルムの交通結節点であるスルッセンのビルの屋上から見える風景。
地下鉄の地上区間や高速道路、スウェーデン国鉄線などの様々な交通機関がここに集中しているため、一日中ここで眺めていても飽きない風景でした。


夜のガムラスタン


夜のガムラスタン2
バルト海から繋がる入り江とメーラレン湖に挟まれたストックホルムの街は北欧のヴェネチアとも呼ばれています。
海から見える夜景は、まさに水都というに相応しい光景でした。


ロンバックスフィヨルド
オーロラを見たいと思い、夜行列車で出掛けた北極圏の風景。
スウェーデン・ノルウェー国境を通過した直後から、終点のナルヴィク駅まではフィヨルドの谷を下る路線となっており、絶景の鉄道車窓風景として世界的に知られています。


ロンバックスフィヨルドの車窓風景を動画で撮影しました。


夜行列車で到着した、ヨーロッパ最北端の駅ナルヴィク駅付近の町並み。港町らしく、斜面に家々が並ぶ様子は、どこか懐かしい雰囲気でした。


アビスコの山々
夜行列車は北極圏の自然公園を通過します。ナルヴィクから宿泊地のキルナに向かう車窓からは、不思議な形をした山々が見えました。


キルナ鉱山
地理の授業で習う、ヨーロッパを代表する鉱山。低層の建物が多い街並みから外れた場所に、大きな運営会社のビルが建っています。
背後には鉱山が迫っています。


セーデルマルムの街角1


セーデルマルムの街角2


セーデルマルムの街角3
スウェーデン滞在最後の夜、研究所で出来た友人が夜のドライブに連れていってくれました。
ストックホルムの南市街にある風致地区。地元の人自慢の夜景は、まるで絵本の中のような光景でした。

以上、時系列順に思い出深いスウェーデンの写真を紹介しました。
あらためて写真を眺めていると、また北欧を旅したい衝動に駆られてきます・・。

スウェーデン旅行記 7  カロリンスカ研究所

2017年08月06日 22時09分45秒 | スウェーデン旅行記
さてさて、スウェーデン旅行記第7回目です。
今回はこの旅の目的である、研究留学先の Karolinska Institutet カロリンスカ研究所の概要についてご紹介したいと思います。

前回の記事はこちら:スウェーデン旅行記6



前回の記事の最後で、第3系統の路線バスに乗り、終点のKarolinska sjukhusetバス停に降り立ちました。
ここはカロリンスカ研究所併設のカロリンスカ大学病院の玄関口です。


こちらはカロリンスカ研究所を上空から見た画像です。
カロリンスカ研究所は以前の記事で「ストックホルム市にある」と書きましたが、正確にはストックホルムの北方に隣接するSolna市の南端に位置しています。上の画像上の水色の細線が市境を示しています。研究所の敷地内を市境が横切っていることが分かります。
研究所の敷地は、東が高速道路、西がスウェーデンを南北に結ぶ鉄道の幹線に挟まれたエリアに、東西1.3 km、南北1.0 kmにわたって広がっています。研究所の中心部を幹線道路"Solna vägen (Solna通り)"が南北に縦断しており、その東側が大学病院地区、西側が大学教育施設地区と大まかに分かれています。


先ほどのバス停から北側を望むと、広大な墓地が広がっていました。
ストックホルムは世界遺産にもなっている森の墓地"Skogskyrkogården"(これはストックホルム市南郊にあります)も有名ですが、森の中に墓が集まる風景を見て、似た雰囲気を感じました。


カロリンスカ大学病院の正面玄関前まで来ました。大きな建物です。
カロリンスカ研究所は1810年設立で、別名カロリンスカ医科大学とも呼ばれ、スウェーデンのみならず世界最大の医科研究教育機関となっています。実にスウェーデン国内の医科教育の30%、医学研究の40%を担っているそうです。
日本ではノーベル医学・生理学賞の選考委員会があることでも有名ですね。


病院付近の看板です。当然ながら全てスウェーデン語です。北欧言語はドイツ語によく似ているので意味はなんとなく分かりますが、渡欧2日目の私にとっては、異国情緒を強く感じる風景でした。


病院棟の受付玄関で道を尋ね、西に数百m離れたCentrum för molekylär medicin (CMM) 分子医学センターの建物にやってきました。
留学先の研究室はこの建物の中にあります。
中に入ると、医学研究所だけあって警備が厳重になっており、各階の入り口の扉は昼間でも施錠されていました。
2階に留学先のホストの准教授がいると聞いたので上がってみたところ、ちょうど入り口脇のリフレッシュスペースでお茶を飲んでいるところでした。窓の外から声を掛けて気付いてもらえて、無事に合流。
半年前に准教授が来日した際にお会いして以来の再会で、お土産を渡したりしてしばし歓談した後、研究フロア内を案内してもらいました。


研究フロアの廊下です。
准教授はCMMの臨床神経科学科の研究グループ所属なのですが、各研究グループの規模は日本の一般的な研究室の規模よりも小さいそうで、数人程度ずつに細分化されているとのこと。
このフロアは複数の研究グループが使用していて、学生の居室や実験室も共用になっていました。
用意されていた私のデスクは各研究グループ共用のゲストデスクで、隣の研究グループの学生さんと一緒の部屋でした。


私のデスク横の窓から見えた風景です。中庭が見えていて、レンガ調の建物がいかにも欧風ですね。


フロアの廊下に置かれている器具も、各研究グループ共用でした。
ちなみに器具や試薬の準備は技術スタッフさん(こちらも複数の研究グループ共同で雇っているらしい)に洗浄や調製をお任せでき、研究者は実験に専念できる環境でした。
また、掃除は毎日昼頃に清掃員さんが来てこまめにモップ掛けしており、常に清潔な状態なことに感心しました。


リフレッシュスペースは各フロアに一箇所ずつあり、簡単な調理もできます。
ここも共用スペースなので、よその研究グループの人と昼食やティータイムに会話することもしばしば。
印象的だったのが、小さな会議スペースが多数設置されていることでした。学生と教員が2,3人程度でミーティングする様子が頻繁に見受けられました。

一通りフロアを見学した後、滞在中の研究について打ち合わせを行いました。
私は概日リズムに関わる時計蛋白質の分子ダイナミクスの時間変化の解析に取り組むことになりました。
その後、施設入館用のICカード、そして貴重品ロッカーの鍵を受け取りました。
共用フロアという形式は研究者同士の交流には良いのですが、人の出入りも多くなり、盗難被害が多発しているとのことでした。そのため、財布や鍵などの貴重品は昼間は貴重品ロッカーに保管しておき、最低限の研究道具だけをデスクに置くように勧められました。


研究の打ち合わせの後、訪問研究員としての辞令を作成してもらうまで少し時間が空いたので、滞在中の住まいについて相談するため、カロリンスカ研究所の住宅斡旋窓口を訪ねることにしました。
カロリンスカ研究所には多くの研究員が滞在するため、短期滞在から長期滞在まで様々な用途に対応した住宅を斡旋するKI(Karolinska Institutetの略)Housingという窓口があるのです。
KI Housingのオフィスは大学教育施設エリアにあるので、研究所のキャンパス探検も兼ねて散策してみました。
ちなみに、ストックホルムの住宅事情は、ホストの准教授曰く"クレイジー"だそうで、月々の単身者用住居の家賃は10万円以上、しかも入居は数ヶ月待ちという状況。市街地の住居は競争率が高いため、一度入居すると住人がなかなか手放したがらないそうで、又貸しや又々貸しが横行し、相場が高騰、一層入居が難しくなるという悪循環に陥っているようです。
研究所では学生や研究者用に一定数のアパートメントの居室を確保しているとのことだったので、短期で借りられるか相談しにいこうと思ったのです。


病院地区の建物はレンガ調の風情ある趣でしたが、大学側は最近建て替えが進められているようで、近代的なビルが立ち並んでいました。


大学エリアで"ノーベル通り"を見つけました。


"ノーベル通り"をそのまま歩いていくと、"Nobel Forum ノーベルフォーラム"という建物に行き当たりました。
その名の通り、ノーベル医学・生理学賞の選考会議や受賞者についての記者会見が行われる建物です。
2016年のノーベル医学・生理学賞は東京工業大学の大隅良典 栄誉教授に授与されましたが、まさにここでその決定が行われたことになります。
この建物は普段は学内外の学術講演会などにも使われているようです。


大学エリアの南端から病院エリアを望むと、なにやら建設現場が見えました。
実はこれはカロリンスカ大学病院の新病院棟だそうで、ちょうど2016年後半の一部開業を目指して工事の真っ最中だったのでした。
新病院には630床の入院病床を設置するそうですが、なんと全室個室になるとのこと。さすがは福祉国家というところでしょうか。

このあと、KI Housingを訪ねたのですが、3ヶ月以上滞在する人向けにしかアパートメントは提供できないと断られてしまい、仕方なく滞在先を自分で探すことになりました。

この日はその後、研究員の辞令を受け取り、まだ時差ボケも克服できていなかったので早めにホテルに帰ったのでした。
当日は金曜日で、本格的な研究作業は週明けの月曜日から始めることになりました。

というわけで、今回はカロリンスカ研究所について紹介しました。
次回はストックホルムでの生活関連の小ネタを紹介したいと思います。

~続く~

スウェーデン旅行記 6  ストックホルムの車窓から ~いざ、カロリンスカ研究所へ~

2017年08月03日 20時06分46秒 | スウェーデン旅行記
6回目の更新となるスウェーデン旅行記、今回はストックホルム到着翌日にホテルからカロリンスカ研究所まで乗った路線バスについて記したいと思います。

前回の記事はこちら:スウェーデン旅行記5


ストックホルム到着から一夜あけて2月12日の朝です。
午前7時半に起きて、窓から外を見たら、まだ仄暗く感じました。ストックホルムの日の出の時間を調べてみたところ、この日はちょうど7時31分が日の出でした。ちなみに日の入りは16時33分で、日が出ている時間は9時間ほどです。
同じ日の東京の日の出は6時31分、日の入りは17時19分で、ストックホルムの方が2時間ほど昼が短いことになります。


ホテルは朝食付きだったので、最上階にある食堂に食べにいきました。
ビュッフェスタイルで、好きなおかずを取った結果がこちら。この後に泊まったホテルも大体同じような品揃えで、多分これがスウェーデンのオーソドックスな朝食かと思われます。スウェーデンでの食事情については別の記事に纏めようと思いますが、冬のスウェーデンでは生野菜の入手が難しいようで、野菜はパプリカとピクルスのみ、代わりに果物ジュースが複数置いてありました。
主食はコーンフレークにしました。
このホテルは病院のゲストホテルということでしたが、朝食会場では新生児を連れたお客さんが多く見受けられました。

朝食を食べ終わり、早速外に出掛けました。今日は研究留学先のカロリンスカ研究所のホストの元に挨拶に行く予定で、10時半に会う約束をしていたのでした。


こちらはストックホルム中心部の航空写真です。写真の収まりの都合上、方位を90度右に回転して表示していて、右が北で左が南を示しています。
昨夜ストックホルム中央駅の近くからホテルまでは第3系統の路線バスに乗ってきたのですが、そのバスの運行ルートを黄色線で示しています。バスはストックホルムの中心部を南北に縦断しており、バスの南の終点がホテル前でしたが、実はこの路線のもう一方の終点がKarolinska sjukhuset(カロリンスカ病院)バス停、つまりカロリンスカ研究所だったのです。
ホテルに着いてからこのことに気付き、これは便利な場所に泊まったものだと喜びました。後から知った話ですが、実はホテル隣接のSödersjukhuset(南病院)はカロリンスカ研究所傘下の医療教育機関だそうで、このバス路線は研究所の拠点を結ぶシャトルバスの役割を担っていたのでした。


昨夜購入したSLアクセスカードで颯爽とバスに乗り込みました。
この路線は連接バスで運行されていて、長い車内には座席が向かい合わせに並んでいました。


車窓からはメーラレン湖に浮かぶストックホルムの町並みが見えました。
昨夜は暗くてあまり見えませんでしたが、日本とは明らかに異なる風景です。
はるばる遠くへ来たもんだなぁ・・。


昨夜から少し雪が降ったようで、路面に薄っすら雪が積もっていました。
この時期、札幌では雪まつりを開催するほどの大雪が降っている頃なのですが、ストックホルムはそこまで雪は降らないらしく、私の滞在中ではこの日が最も冬らしい天気でした。


Gamlastan駅前の様子。とてもヨーロピアンな町並みです。


バスの後ろを走っていた除雪車を撮りました。心なしか日本の除雪車よりもスタイリッシュな感じがします。


連接バスなので、カーブを曲がるときには列車のようにバスの先頭が見えて面白かったです。


Södersjukhusetバス停から1時間ほどの乗車で、目的地のKarolinska sjukhusetバス停に到着しました。
バス停の目の前が病院棟でした。さすがに大きな施設です。
カロリンスカ研究所については、次回詳しく紹介したいと思います。


今回乗った路線バスの前面展望動画をYouTubeで公開しています。
この日、研究所からの帰りに最前列に座って撮影しました。


忙しい人向けに、6倍速の動画も作成しました。
ストックホルムの町並みを駆け抜ける様子が映っています。
この動画を見ていると、またストックホルムのバスに乗りたくなってきます。

それではまた次回の更新で。


~続く~

スウェーデン旅行記 5  ストックホルム到着

2017年07月27日 00時41分52秒 | スウェーデン旅行記
スウェーデン旅行記第5回目です。
今夜は初日のストックホルムのホテル到着までの顛末を紹介します。

前回の記事:スウェーデン旅行記4


空港から乗ってきたアーランダエクスプレスの発着ホームはストックホルム中央駅の北側の外れに位置していました。
空港で調べてきたホテルまでのルート案内によれば、駅の近くにある"Tegelbacken"バス停から路線バスに乗り換える必要があったのですが、土地勘が全く無い私は、どちらに行けば良いか分かりません。この周辺では無料WiFiも飛んでおらず、スマホで地図を見ることも出来ませんでした。
仕方が無いので、駅前に立っていた工事現場の警備員さん(身長190cmくらいはありそう)にバス停までの道を尋ねてみました。英語が通じて、彼のiPhoneで地図を示してくれました。大体ここから700m離れているそうで、結構歩くことになります。


教えてもらった道(といっても駅前の南北通りをひたすら南下するルートでしたが)を歩き始めました。
まだ現地時間では17時半ですが、冬の北欧の町はすっかり夜の装いになっています。
レトロな建物の並ぶ通りをボルボ車が駆け抜ける様子を見て、ああ、スウェーデンにやってきたんだなぁと実感します。


跨線橋の高架下にタイ料理兼寿司屋を見つけました。
タイ料理と寿司の組み合わせにこのときは驚きましたが、まさかスウェーデン滞在の後半にタイ人経営の寿司屋に通うことになるとは・・。


ストックホルム中央駅の駅舎正面まで来ました。駅前に銅像が立っていて、いかにもヨーロピアンな面構えで綺麗でした。


中央駅南側にある、ちょっとした公園です。まだそれほど遅い時間でもないのに、首都の中心部とは思えないほど静かでした。
ただ、いわゆる怖そうな人に出くわすことはなく、トランクケースを引っ張りながらでも安心して歩けました。


歩くこと10分ほどで目的のTegelbackenバス停に着きました。
中央駅は新市街のNorrmalm(ノールマルム:北地区)にあるのですが、このTegelbackenバス停は地区の最南部に位置し、行政機関や観光地が集まるGamlastan(旧市街)に渡る橋に面しています。そのため、バス停周辺にはハイグレードホテルが軒を連ねていました。


Tegelbackenバス停からSL(Stockholms Lokaltrafik)の3番系統のバスに乗りました。この路線の終点がホテル前・・のはずだったのですが、乗車の際に支払いについて運転手に尋ねたところ、「車内で現金払いは出来ない。ICカードが必要だ。」とのこと。ストックホルムのバスや近郊電車、地下鉄はSLアクセスカード又はストックホルムカードというICカードを利用できることは事前に知っていたのですが、コンビニで買えるとは聞いていたものの、バス停の近くにコンビニが見当たらなかったため、購入していなかったのでした。まさか一切現金払いが出来ない上、車内でカードを購入できないとは・・。
荷物も重いし、中央駅前の地下鉄駅まで戻るのも辛かったので、どうにかならないかと運転手さんと交渉していたら、見かねた乗客の小母様が「私が代わりに支払うから乗せてあげて」と言ってくれて、結局、地下鉄駅に面した2つ先のバス停までタダで乗せてくれることになりました。先ほどの道を教えてくれた人といい、スウェーデン人の親切心に本当に感謝・・。


というわけで、2つ目の停留所でバスを降り、T-bana(地下鉄)のGamlastan駅に来ました。ここは旧市街観光の際には拠点となる地下鉄駅です。
この駅では改札前に観光案内カウンターがあり、SLカードを販売していました。


ひとまず乗り降り自由なTravel card 72 hoursを購入。230クローナ、約3200円でした。
SLアクセスカードはプリペイド式となっていて、期限付きの乗り放題のカードでも、期間終了後に駅のチャージ機で任意の金額をチャージすれば通常のICカードと同様に利用できます。
私の場合はこの後、1週間ごとに7日間有効の乗り放題券(300クローナ)をカードにチャージして帰国まで利用しました。1週間で300クローナということは、1日43クローナ分利用すれば元が取れます。私の滞在当時、SLの料金体系は乗車距離に応じて3つのゾーンに分かれていたのですが(2017年1月より全区間同一料金になったそうです)、最も近いゾーン内でバスに乗った場合は1回につき25クローナ掛かりました。つまり、毎日2回以上バスを利用する人は乗り放題券を購入するのがお得ということになります。ちなみに私はこの後研究所への通勤で毎日2回以上バスや近郊電車、地下鉄を利用しました。


無事にSLアクセスカードを手に入れ、今度は慣れた手つきで再びSLの3番系統バスに乗車し、15分ほど乗車して終点のSödersjukhusetバス停に着きました。
ここはストックホルム新市街のSödermalm(セーデルマルム:南地区)にある総合病院Södersjukhusetのバス停でした。


こちらが今夜のホテル、Hotel Årstavikenです。スマホのBooking.comという予約アプリで最安の一人部屋のホテルを探して見つけたのがここだったのですが、実はこのホテル、Södersjukhusetの患者用公式ホテルだそうで、そんなこととは露知らず予約してしまったのでした。


ホテルの玄関は病院の地下1階のような場所にあり、明らかにストレッチャーが載りそうなエレベータ(何故か閉まるボタンが効かない)で4階のこじんまりとしたフロントに上がり、眠い目をこすりながら(とはいっても現地時間ではまだ夜の7時前)、やっとチェックインできました。
病院併設のホテルだけあって部屋は清潔で、断熱性も良く快適でした。


窓からの景色はこんな感じ。
日本からの長旅を終えてホッと一息つくとともに、いよいよこれからスウェーデンでの生活が始まるんだなという高揚感に沸き立ちながら、スウェーデン最初の夜は更けていったのでした。


ひとまずこれでスウェーデン到着までの流れの記事は一段落となります。
帰国の際の様子は、オーロラ鑑賞フライト (スウェーデン留学からの帰国)をご参照ください。
次回からは、スウェーデン滞在中の観光や乗り物、食事などについて各々ピックアップして紹介していきたいと思います。

続く

スウェーデン旅行記 4  ヘルシンキ到着、そしてストックホルムへ・・

2017年07月24日 21時54分07秒 | スウェーデン旅行記
週末を挟みまして、スウェーデン旅行記も4回目の更新です。

前回の記事:スウェーデン旅行記3

前回の内容でフィンランド、ヘルシンキ・ヴァンター国際空港に到着したところまで書きました。
今回はヘルシンキでの乗り継ぎから、ストックホルム到着までを記したいと思います。


関空から乗ってきた飛行機は沖止め(旅客ターミナルビルから離れた駐機場で降機)だったため、バスでビルまで移動しました。
日本から到着したので当然ですが、この時点では周囲の日本人旅行客の割合が多く、日本語の会話が至るところで聞けるため、まだ海外にやってきた実感があまりありません。


5分ほどで第2ターミナル1階の到着ゲートに到着。
この時点で現地時間15時20分でしたが、ストックホルム行きのAY637便は16時10分出発なので、残り50分しかありません。
果たして間に合うのか・・?


ヘルシンキ空港はフィンランド航空の拠点空港ですが、コンパクトな構造となっており、混雑度も他の欧州の空港よりは低いため、国際線とヨーロッパ域内路線の乗り継ぎ目安時間は僅か35分となっています。
日本の国内線同士の乗り継ぎで考えても、35分間というのはかなり短い数字かと思います。


日本語の看板を頼りに進み、乗り継ぎ通路上で手荷物検査を受けて2階に上がると、入国審査場に出ました。
実は、ヘルシンキ空港では日本のパスポートだと自動化ゲートで簡単に入国できるらしいのですが、私はそんなこととは知らず、事前に自動化ゲート使用手続きもしていなかったので通常の審査ブースに並びました。入国審査場は利用客数に対してかなり余裕のある造りになっているので、すぐに入国審査官の前に進めたのですが、ここの審査でちょっと苦労しました。
以下、審査官と私のやりとり(意訳)
 審査官「入国目的は?」
 私「乗り継ぎです」
 審「え?」
 私「えっ、ストックホルムへの乗り継ぎです」
 審「1ヶ月以上も?」
ええ、私、この入国審査をてっきりフィンランドへの一時的な入国審査だと思っていたのですが、フィンランドはシェンゲン協定加盟国なので、ヨーロッパの大体の国へ出入国審査無しで往来できるのですね。つまり、ここでの入国審査はEU域内への入域審査みたいな位置付けだったのです。実際、このあとスウェーデンでは入国審査はありませんでした。そこのところを完全に勘違いしていたため、審査官とのやり取りがちぐはぐになってしまいました。
以下、続き
 審「OK、ちょっと落ち着こう。"スウェーデンへの滞在目的は?"」
 私「(ここでやっと気付き)観光と学術視察です」
 審「1ヶ月以上もどこ見て周るの?」
 私「カロリンスカ研究所とストックホルム近郊ですかね」
 審「ふーむ。ストックホルムに友人がいるの?」
 私「まあ、友人というか研究者友達がいますね」
 審「うむ。じゃあいいや。(スタンプを押して)はい、どうぞ」
 私「わーい(汗」
という感じでした。
そもそも、機内で飲んだお酒も抜けておらず、既に日本時間では深夜でしたから、半分寝ぼけていたのでしょうね。
以前に海外旅行した際には、家族と一緒でしたし、大概は観光地なので殆ど顔パスで入国できていましたから、まともに審査官と受け応えしたのは初めての経験でした。このヘルシンキでの経験は、半年後のボストン出張でのアメリカ入国審査時に生かされました。


ともあれ、無事に入国審査を通過すると、あっという間に搭乗待合エリアに出ました。
木の内装が北欧らしくて温かみが感じられます。ここに来るまでの間に、他の日本人客とは離れたので、一気に海外に来た実感が湧いてきました。


フィンランドといえばムーミン。ムーミングッズショップが通り道にありました。
日本に帰国する際にはここでお土産を買ってかえろうと、少し見物してから先を急ぎました。


到着ゲートに着いてから僅か20分でストックホルム行きAY637便が出発する19番搭乗口に着きました。
既に搭乗が始まっていたので、早速機内に入りました。


恐らく乗り継ぎ客を待っていたのか、定刻から遅れて16時24分にゲートを出発、10分後に離陸しました。


ヘルシンキからストックホルムへは僅か50分程度のフライトですが、ちゃんとドリンクサービスがありました。
これはフィンランド航空名物のブルーベリージュースです。隣のスウェーデン人の夫婦が飲んでいて美味しそうだったので、私も注文したところ、「君もこれが好きなのかい?」と聞かれました。


ストックホルムまでの乗機は、エアバスA319(OH-LVC)でした。日本ではLCCでお馴染みのA320の短胴型です。
フィンランド航空ではヨーロッパ域内の短距離線で多用しているようです。


ストックホルム・アーランダ国際空港には現地時間16時22分に到着。フィンランドとスウェーデンには1時間の時差があり、出発時刻よりも早い時間に到着しました。


ここでもムーミンさんが出迎えてくれました。
余談ですが、ムーミンの作者トーベ・ヤンソンはフィンランド人ですが、スウェーデン語話者だったため、原作の初版はスウェーデン語で出版されています。


"ムーミンショップ"の隣には、ちゃんとスウェーデンらしいお土産屋さんもありました。


上でも書きましたが、ヘルシンキ~ストックホルム間は国内線と同じ扱いなので、入国審査や税関も無く、すぐに到着口に出ました。
関空で預けた荷物も無事に受け取り、さてストックホルム市街へ向かおうと思ったのですが、事前情報殆ど無しにここまでやってきたため、一度きちんと移動方法を調べる必要がありました。


空港ビル内の通路を歩いていると、eduroam(研究教育機関向け国際WiFi認証規格)の電波が入りました。
これで無料でネットが使えます。早速スマホでストックホルムの今夜の宿までの道順を調べました。
ちなみに宿は今朝方、実家でスマホのアプリを使って予約しました。


Googleマップで調べたところ、ホテルはストックホルム市街の南部にあるようで、最寄駅からは1km以上離れているとのこと。
ストックホルム中央駅まで電車で出て、駅前から路線バスで向かうのが最短ルートでした。
早速、ストックホルム中央駅に向かいます。
アーランダ国際空港からストックホルム中心部までは40km以上離れていて、ちょうど大阪市内から関空、札幌市内から新千歳空港のような感覚です。空港からストックホルム中央駅まではアーランダエクスプレスという高速アクセス列車(最高時速200km)が走っていて、8~30分間隔で、僅か20分の所要時間で移動可能です。
写真は駅への入口ですが、簡単な自動券売機が脇にあるだけで、改札などはありませんでした。
車内でも切符は買えるそうですが、ちょっと割高になるそうなので、先に券売機でチケットを購入しました。


空港地下にある駅に向かいます。かなり深いところに駅があるようです。
アーランダ空港にはnorth駅とsouth駅があり、ここはsouth駅でした。


ちょうどこの時間は列車が頻繁に運行されている時間帯だったらしく、すぐにアーランダ・エクスプレスがやってきました。お値段は280スウェーデンクローナ、4000円弱と、旅行客向けの結構お高い値段設定です。以前の記事で書きましたが、高速バスや通勤電車を使えば100クローナ前後で移動できます。


車内はこんな感じ。この日は最高で160km/h程度で走っていました。
車窓から見える景色は夜景ということもあり、案外札幌近郊と変わらないもんだなと思いながら眺めていました。


現地時間17時30分、日本時間で翌日午前1時半、ストックホルム中央駅に到着しました。
ここからホテルまでの移動で、また少し苦労があったのですが、それはまた次回のお話にします。

その5に続く。

スウェーデン旅行記 3  いざ、北欧へ 2

2017年07月21日 21時30分18秒 | スウェーデン旅行記
スウェーデン旅行記の3回目です。

前回の記事はこちら:スウェーデン旅行記2

さて、今回の記事で一気にフィンランドへと飛んでしまいましょう。


2016年2月11日午前11時45分頃、ほぼ定刻に関西国際空港6番ゲートを出発したフィンランド航空078便は、11時59分にA滑走路(ランウェイ06R)から北向きに離陸しました。
ちなみに、日本の航空会社だと離着陸時にデジカメなどの電子機器を使えるのですが、フィンランド航空は内規で使用が制限されており、離着陸時の撮影は出来ませんでした。


離陸後しばらくすると、機内サービスの紹介動画が流れました。
いかにもフィンランド・・という感じのお二方ですね。


本日の飛行予定ルートはこんな感じ。鳥取付近から日本海に出て、北朝鮮、中国東北部、ロシアを横断するコースです。
メルカトル図法で表示されているので長く感じますが、フィンランドは地球儀で見るとヨーロッパで最も日本に近い位置にあり、日本との距離はおよそ8000kmです。今回の飛行は所要時間の掛かる西向きでしたが、それでも約10時間でヘルシンキに到着できました。札幌から沖縄までの直行便が4時間近く掛かることや、日本からハワイまで7~9時間掛かることを考えると、意外にヨーロッパは近いです。


シートベルトサインが消えると間もなく昼食メニューが配られました。
ビジネスクラスの食事、果たしてどんな内容なのでしょう。

この日の献立は、

・アミューズブッシュ(先附) スモークサーモンの卵フィリング
・ミックスサラダ
======
前菜
・和風の前菜(サーモンのタタキ、かまぼこ、さつまいもの甘露煮、そら豆のみじん粉揚げ、鰊の昆布巻き)
または
・トマトのクリームスープ クルトンとタイムを添えて
======
メインコース
・カレイの西京焼き、高菜ご飯
または
・焼き肉風味のサーロインビーフステーキ丼
または
・ペンネパスタのクリームソース、ほうれん草のバター炒め添え
======
・チーズ:ホワイトチェダー、デンマーク産ブリー
======
デザート
・ハーゲンダッツアイスクリーム
・プティフール(小さなケーキ)
・コーヒーまたは紅茶

でした。
日本路線ということで、結構本格的な和食も用意されていました。周りの人の様子を見ていると、日本人は洋食、外国人は和食を選ぶ傾向があるようで、面白かったです。


というわけで、アミューズブッシュ(先附) スモークサーモンの卵フィリングと食前のドリンク(サイダー)です。


前菜は和風をチョイス。
パンが付いてくることを考えると、ここは洋食の方が良かったかも・・。
味は本格的な和食でした。


メインは焼き肉風味のサーロインビーフステーキ丼を選びました。
見た目はそこそこでしたが、お肉が柔らかくて結構美味しかったです。


デザートのプティフールと紅茶です。
ご飯のおともに、ドイツワインのCliffhanger Rieslingもちょびちょび飲んでいました。甘口で飲み易いので、ついつい飲みすぎてしまい、ここで記憶が一度途切れました。


目が覚めると、背もたれが倒れていて、枕元にミネラルウォーターが2本置かれていました。
通常は1本なので、酔っ払ったのを見て客室乗務員さんがサービスしてくれたのかもしれません。


地図を見ると、既に飛行機はロシア上空に差し掛かるところでした。


ここでちょっと機内探検に出掛けました。
こちらは機内前方にあるビジネスクラス用のトイレ。なんと窓が付いていて、広々としています。
座席が通路側だったので、窓の外を眺められるこのトイレが気に入り、この後も何回か使用しました。


機内最後尾まで行くと、スナックが置かれていて自由に取ることができました。


最後尾から見たエコノミークラスの様子。
前方のカーテンを開けてビジネスクラスに出入りするときに、ちょっぴり優越感を感じました。


フライトの後半は、座席をフルフラットベッドモードに切り替え、寝転びながら映画を見て贅沢なひとときを過ごしました。
機内上映映画に「るろうに剣心」の実写版があるのを見つけ、鑑賞しました。


なるほど、「剣術道場」は「フェンシングドージョー」になるのか・・。


映画を見終わってウトウトしていたら、早くもロシア西部に到達していました。
北極圏に近いところを飛行しており、機外の気温はなんとマイナス74℃を示していました。そんな寒いところを飛んでも飛行機は大丈夫なんですね。


ここで到着前の軽食が配られました。
軽食は、

・懐石弁当、お味噌汁
または
・茄子とズッキーニのペンネ ボロネーゼ
または
・チキンクラブサンドイッチ

から選べますが、私はペンネ ボロネーゼを選択。結構ボリュームがあって美味しかったです。


軽食を食べ終わると、いよいよフィンランドが近付いてきました。
ビジネスクラス体験も間もなく終わりです。


機内モニターでは再び案内動画が流れ、ヘルシンキ・ヴァンター国際空港での乗り継ぎ方法などの説明が行われました。
そういえば、入国カードとかは今回のフライトでは配られず、機内で書き物をすることはありませんでした。余談ですが、この半年ほど後にアメリカに出張した際には往復ともにカードが配られ、ヨーロッパとの違いを感じました。


関空出発から10時間半でフィンランド・ヘルシンキに到着。
現地時間午後3時、日本時間だと夜の10時過ぎです。
飛行中は全く揺れも無く、ビジネスクラスのおかげで疲労感はありませんでした。
ついに初めてのヨーロッパに足を踏み入れました。


~その4に続く~

スウェーデン旅行記 2  いざ、北欧へ 1(ビジネスクラス体験記)

2017年07月20日 21時24分07秒 | スウェーデン旅行記
前回の記事:スウェーデン旅行記 1

2016年2月11日午前11時前、関西国際空港第1旅客ターミナルビルの北端に位置する6番搭乗口付近に到着するやいなや、私の名前が放送で呼ばれました。搭乗口のカウンターに向かって歩きながら、「もしかして預け手荷物に入れた実験用サンプルが検査に引っかかったのかな?」等と考えました。
カウンターに着き、先ほど放送で呼ばれた者ですが・・と伝えたところ、フィンランド航空の係員からこんなもの↓を渡されました。


笑顔の係員さん曰く、「本日エコノミークラスのお座席が満席になりましたので、ビジネスクラスに変更させていただきました」とのこと。つまり、(昨今某アメリカの航空会社で話題になりましたが)オーバーブッキング対応で私の座席をアップグレードしてくれたわけです。
思わずガッツポーズしてしまいました。初めてのヨーロッパ行き長距離フライトでまさかビジネスクラスに乗れるとは・・!
搭乗券には「Frequent Flyer」と表示されており、初めてフィンランド航空を利用したにも関わらず、何故かお得意さんとして認証されていたようです。
フィンランド航空にはファーストクラスは設定されていないので、ビジネスクラスが最上級クラスとなります。ビジネスクラスに乗ったのは、2000年にソウル~関空間で乗った大韓航空以来、長距離路線では初めての経験でした。
なお、ビジネスクラス利用者は日本航空のラウンジを利用できるとのことでしたが、フィンランド航空の場合、ビジネスクラスは出発30分前から搭乗開始となるため、今回はラウンジを利用する時間はありませんでした・・。


11時5分にビジネスクラスの搭乗が始まり、私は先陣を切って機内に向かいました。


こちらがフィンランド航空ビジネスクラスの座席です。
エコノミークラスでは1列に2-4-2の計8席が並ぶところ、ビジネスクラスは1-2-2の5席配置となっています。
特に右側窓側は1人席となっていて、個室のような感覚で使えて快適そうです。


今回の私の座席は窓側ではなく、中央部右側の通路側席でした。
2席並んだ席でしたが、千鳥配置となっており、フライト中、隣の席の人のことは殆ど気になりませんでした。


前の席との間隔はこんな感じ。
平均身長の高い北欧の航空会社だけあって、十分すぎるくらい間隔が空けられていて、思いっきり足を伸ばせました。
前方には大きな液晶モニターがあり、好きなときに好きな映画やゲームを楽しめます。
ちなみに、私は16年ぶりの海外旅行だったので、個人用液晶モニターの付いている飛行機に乗るのはこれが初めてでした。
昔は文庫本を空港の書店で買ってから機内で読んだものでしたが、時代は進歩したものです。


リクライニングやフットレストの出し入れは全て電動。なんとマッサージ機能まで付いていました。
さらに、就寝時にはフルフラットのベッドにも変形します。


ビジネスクラスはアメニティも充実しています。
フィンランド航空ではフィンランドのアパレルメーカー、マリメッコデザインのブランケット、スリッパ、アイマスクなどが付いていて、さらにノイズキャンセリング機能付きヘッドフォンが各自に用意されていました。
このヘッドフォンのおかげで、飛行中の機内でもクリアな音を楽しめました。


オーバーヘッド・ビン(手荷物収納棚)は一人で扉一枚分まるごと使用でき、たくさんお土産を持参していても余裕で収納できました。


初めてのヨーロッパ行きフライト、初めての長距離路線ビジネスクラス体験に、出発前から興奮しっ放しでしたが、ひとまずウェルカムドリンクで喉を潤し、落ち着きました。

スウェーデン旅行記 1  日本出発まで

2017年07月19日 22時43分17秒 | スウェーデン旅行記
ブログ更新を復活したはずが、日々の慌しさに流されるまま、また数ヶ月間更新を怠ってしまいました。
何を書こうか思案しているうちに、気が付いたら日にちが経っていた次第です。
何も書かないで時が過ぎていくのも寂しいですので、ここで長期連載を初めてみたいと思います。
去年春から、いずれ書こうと思っていたスウェーデン短期研究留学の際の旅行記を、今回から数回~数十回に渡って書いていこうと思います。

私は去年の2月から3月にかけての1ヶ月間、スウェーデンのストックホルムにあるカロリンスカ研究所というところに短期訪問研究員として滞在しました。カロリンスカ研究所はノーベル医学・生理学賞の選考委員会があることでも有名な、ヨーロッパ最大級の医学研究所です。
博士課程当時の共同研究者の知人がこの研究所で准教授をされていて、先端的な解析手法を学ぶための留学でした。留学すること自体は実は2014年の春に件の准教授が来日した際に約束し、費用も用意していたのですが、当時投稿していた論文の受理が遅れに遅れたため、結局博士の学位審査終了後の短期間の留学となってしまいました。しかしながら、僅か1ヶ月、されど1ヶ月、スウェーデンでの滞在は私にとって恐らく生涯忘れえぬ素晴らしい思い出となりました。
スウェーデンで体験し、体感した思い出を記憶に留められるよう、このブログに纏めていきたいと思います。


2016年2月10日朝、私は札幌市手稲区にある知人宅を出発しました。実はこのとき既に自宅アパートを引き払っており、知人宅に居候させてもらっていたのでした。車で最寄駅の稲積公園駅まで送ってもらったのですが、途中で荷物を忘れたことに気付いて2回家に引き返してもらうなど、いつもながらバタバタした出発でした。


快速エアポートで新千歳空港に到着、日本航空2500便でひとまず関空に向かいました。
スウェーデンへは日本から直行便が飛んでいないため、フィンランドかデンマーク経由が最短ルートとなります。この旅では関空発のフィンランド航空便を利用しました。


この日の札幌近郊は冬型の気圧配置が強まり、大雪となっていました。
断続的に空港の滑走路が閉鎖されて除雪が行われており、飛行機の出発は1時間以上遅れました。


11時45分頃に新千歳空港を出発、吹雪の中を離陸しました。
上空の天候は良好で、綺麗な機窓風景を楽しめました。写真は函館上空通過時の様子です。
ちなみに機材はボーイング737-800 (JA347J)でした。


午後2時頃、関西国際空港に到着。
フィンランド航空便は翌日の正午頃に出発予定だったので、この日は留学の準備を整えるため、一度三重の実家に向かいました。


実家では急遽メガネを新調したり、衣類を購入するなど慌しく準備に追われました。
学位審査から留学出発まで1週間も無かったため、札幌で殆ど準備が出来ていなかったのです。
(実はストックホルムの滞在先ホテルすらまだ予約していませんでした・・)
ともあれ、なんとか荷物は纏められて、夕食は壮行会としてすき焼きをいただきました。


翌朝9時過ぎに関空に到着。両親がここまで見送りにきてくれていて、しばしの別れに後ろ髪を引かれながら出国審査場へと向かいました。この日の関空は中国の春節時期と重なり、大混雑でした。行列に並ぶこと約1時間でやっと出国審査を終えられました。
私が最後に海外旅行したのは、中学2年生当時の2000年、それから16年経ち、出国審査やら国際線の搭乗手続きやらの手順をすっかり忘れていましたが、ここまでは順調に来れました。


フィンランド航空の搭乗ゲートは長い関空の旅客ターミナルビルの北端にあるため、ゆりかもめ方式の電車に乗って移動します。この電車に乗るのもかなりの久しぶりでした。


出発の40分ほど前にターミナルビル北端のゲート付近に到着しました。


こちらが今回の乗機、フィンランド航空078便 エアバスA330-300 (OH-LTN)です。
昔はフィンランド航空といえばマクドネルダグラスMD-11のイメージでしたが、今ではすっかりエアバス機が定着しました。
さて、このあといよいよ搭乗となるのですが、ここで思わぬサプライズが待ち受けていたのでした・・。

その2へ続く。

オーロラ鑑賞フライト (スウェーデン留学からの帰国)

2016年03月16日 17時56分03秒 | スウェーデン旅行記
ご無沙汰しております。m(_ _)m

ブログの閲覧回数100万回突破時はスウェーデンに滞在中でしたが、先週の金曜日(3月11日)に無事に日本に帰ってきました。
今回の滞在は、ストックホルムにあるカロリンスカ研究所(ノーベル医学生理学賞の選考委員会があることで有名)の知り合いの研究者のもとでの研究目的の留学でした。ちょうど1ヶ月にわたってストックホルムに滞在し、留学としては短い期間だったものの本格的な実験作業にも取り組み、海外での研究体験を得たことで研究者として一回り成長できたと思います。
もちろん、せっかく1万キロの彼方に行ってきたので、週末は観光にも積極的に出かけて見聞を広げてきました。基本的にはストックホルム近郊の博物館などを巡っていましたが、滞在の最後には北極圏のナルヴィクやキルナまで夜行列車で出かけたりもしました。それらの内容についてはぼちぼちとこのブログで紹介していきたいと思います。

さて、今回は帰国時の話を記したいと思います。
今回のスウェーデン渡航では、往復ともフィンランド航空を使い、ヘルシンキ経由でストックホルムに飛びました。
帰国便は夜間飛行でしたが、なんと機内から壮大なオーロラを鑑賞することができました。
以下、詳細を記していきます。


現地時間の3月10日木曜日、帰国当日も私は研究所に顔を出し、研究室のルームメイトやボスに別れの挨拶をしてから昼過ぎに空港に向かいました。
カロリンスカ研究所はストックホルム市の北に隣接するSolna市にあり、国際線が主に発着するArlanda空港はさらに北方に位置しています。
空港へは、ストックホルム中央駅発着の高速列車Arlanda Expressや通勤電車で行くのが主流ですが、カロリンスカ研究所からは直通の空港シャトルバスが出ており、今回はそれを使いました。Arlanda Expressだと280クローナ(約3800円)もかかるのですが、バスだと119クローナで移動できます。なお、バスは事前予約すればさらに30クローナ安くなるのですが、うっかり忘れていてちょっと損しました。


ストックホルムからひとまずヘルシンキに向かいました。
スウェーデンの代表的な航空会社はスカンジナビア航空(SAS)ですが、SASはスカンジナビア諸国の合同運営となっており、アジア方面からの発着はデンマークのコペンハーゲン空港に集約されています。そのため、ストックホルムへは日本からの直行便はありません。どうせ直行便が飛んでいないのなら、フィンランド航空利用のヘルシンキ経由の方が時間のロスは少ないので、今回の滞在では往復ともフィンランド航空を利用しました。
ヘルシンキ行きのチェックインカウンターは同じEU圏内の国内線扱いなので、こじんまりとした印象でした。
ここで日本までの飛行機を予約した電子チケットを見せ、ストックホルム~ヘルシンキ、ヘルシンキ~中部国際空港、中部国際空港~札幌(JAL便)の3つの航空券を発券してもらい、荷物を預けました。フィンランド航空は最近福岡線を開設しており、いずれは札幌線も開設してくれるかもしれません。そうなれば日本国内での乗り継ぎが要らなくなり、札幌からヨーロッパへの出張が格段に便利になるのですが・・。


ヘルシンキへのフライトは定刻14時10分発のフィンランド航空642便(A319, OH-LVG)でした。
かなり早い出発30分前から搭乗が始まり、定刻の5分前には乗客の搭乗を終えて出発しました。
日本への乗り継ぎ客も多少は乗っているものの、殆どが地元客なので、機内放送はスウェーデン語、フィンランド語、英語の3ヶ国語のみでした。
ところが、機長からの歓迎アナウンスのみ、「ミナサマ、コンニチワー」から始まる軽快な日本語が聞けました。きっと日本通の機長さんなのでしょう。一回きりだったので録音できなかったのが悔やまれます。


他の航空会社では離着陸時の電子機器の使用制限はかなり緩和されていますが、フィンランド航空は安全最重視らしく、デジカメを含む電子機器は離着陸時に使用できませんでした。こちらはベルトサインが消えてから撮ったスウェーデンの大地。次に見られるのははたしていつになることやら。
さようならスウェーデン!


ヘルシンキ・ヴァンター空港へは1時間弱で到着。スウェーデンとフィンランドでは時差が1時間あるので16時になっていました。日本行きの飛行機出発までは1時間しかありませんが、同じターミナルビルから出発するので、30分程度で乗り継ぎ可能です。
ヘルシンキでEU圏からの出国審査を受けました。フィンランドやスウェーデンはシェンゲン協定を批准しており、互いの国を行き来する際の出入国審査が省略されています。そのため、出国審査はストックホルムではなくここで受けることになります。ストックホルムに向かう際の入国審査では結構事細かに色々聞かれましたが、出国審査はパスポートを見せるだけですぐにスタンプを押してもらえました。
空港内の免税店(空港内の詳しい様子は別記事でご紹介しようと思います)でムーミングッズなどを買い、日本行きの飛行機の搭乗口に向かいました。アジア方面への飛行機はいずれも同じような時刻に出発しており、日本行きも成田行きと中部空港行きがほぼ同時刻の出発なので、搭乗口周辺は日本人の密度がとても高く、久しぶりに日本人に囲まれて海外生活での緊張がほぐれました。


日本への帰国便はフィンランド航空79便(A330-300, OH-LTR)中部国際空港行きを利用。機内最後方の左側窓際席でした。
隣の席は日本のとある国立大学の学部生の女の子で、春休みに友人とフィンランドの北部ラップランドを旅行した帰りとのこと。生物系の専攻とのことで、まだ研究室には入っていないそうでしたが、離陸まで私の研究の話などをしばらく話しました。


エコノミークラスのシートはこんな感じ。シートピッチは狭めですが、座り心地は悪くなかったです。
実は私は海外旅行に行くのは16年ぶりだったのですが、この間に飛行機の座席は格段の進歩を遂げており、各座席にテレビモニターが付くようになりました。以前は何時間もの飛行だと時間を潰すのが大変で、空港で文庫本を買って揺れる機内で読んだりしていましたが、今は好きな映画を見ながらリラックスして目的地に向かえます。


現地時間17時20分にヘルシンキ空港を出発。離陸から1時間ほどが経過した頃、ロシアとの国境付近で日没を迎えました。


日没とほぼ同時に1回目の機内食の提供が始まりました。
夕食はチキンライスを選びました。ムーミンのチョコが付いているのがフィンランドらしいです。
日本そばもなかなか美味でした。


離陸から2時間が経過し、機内食を食べ終わった頃、飛行機の前側にほんのり緑色の明かりが見えてきました。
これはもしや・・オーロラ?


こちらはヘルシンキから日本までの飛行ルート(赤)です。約8000kmあります。
これを見ると、途中で北極圏のぎりぎり手前を通過することが分かります。オーロラは北極線(北緯66度33分)に沿ってよく見られるので、この飛行機でもオーロラが見られる可能性がありました。


しばらくすると、明かりが窓のすぐ近くまで近付いてきました。おお、これは明らかにオーロラです!
まさに光のカーテンといえる光景に、しばし絶句しました。


刻々と変化するオーロラ、まさか飛行機の中からこんなに美しい光景が見られるとは思っておらず、感動しました。


既に機内は就寝モードに入っており、窓の日除けを閉めている人が大半で、特に機内放送も無かったのでオーロラに気付いている人は他にいませんでした。また、オーロラは時折肉眼で見える程度まで明るくなるのですが、機内の明かりがある状態だとよほど目を凝らさないと気付くことは難しかったでしょう。(よく私は気付いたものです)


ともあれ、せっかくオーロラが見えているので、隣の席の子にも声をかけて窓を覗いてもらいました。実はその子曰く、フィンランド北部での滞在中は曇りがちで殆どオーロラは見えなかったそうで、目の前の空一面に広がるオーロラに興奮している様子でした。


数秒でオーロラの形は変化するので、写真を撮るのは大変でした。
まず機内照明の映り込みを防ぐため、コートを頭から被ってカメラを窓にぴたりとくっつけ、超高感度で短いシャッタースピードを使って撮影しました。動画でも撮ろうとしましたが、ISO6400、F2.8、シャッタースピード30分の1秒では殆ど写りませんでした。


オーロラは明るくなったり暗くなったりを繰り返しながら、既に1時間以上も見えていました。
隣の席の学生さんに逐一撮った写真を見せていたのですが、その都度オーロラの美しさに見とれていました。「こんなに綺麗なものが見えているのに、寝てるなんて勿体ない」と、他の席の友人にも呼びかけてくれて、何人かの女の子が代わる代わる私の席の窓にオーロラを見にきました。
(色んな意味で幸せなひとときでした)


一番ブレが少なく綺麗に撮れたのがこちらの写真。恐らくオーロラのほぼ真下を飛んでいる状態で、頭上まで緑色の光がカーテン状に広がっていました。オーロラ越しに北の夜空の星々が見えていて、本当に綺麗でした。


実は私もオーロラを見るために前日までスウェーデン北部の北極圏地方に行っていたのですが、やはり天気に恵まれず撃沈。帰国便でオーロラが見える可能性があるとの情報をネットで見かけていたので、一縷の望みをかけてはいましたが、まさかここまで長時間にわたってはっきりとしたオーロラを楽しめるとは予想していませんでした。
オーロラ鑑賞といえば、普通は氷点下の寒さの中で凍えながら眺めるものですが、空調の効いた機内からドリンクを飲みながらゆったり眺められるのですから、贅沢なものです。


オーロラが見え始めてから2時間が経つと、徐々に飛行機から遠ざかっていきました。


オーロラがもっともよく見えていたときの飛行位置はこの辺。
ロシア北方のノヴァヤゼムリャ列島の付け根の辺りです。GPS計測では、北緯65度くらいでした。
この後は日本に向けて緩やかに南下するので、北極線から遠ざかります。


オーロラが見えはじめてから2時間半ほどで、オーロラはほぼ地平線に隠れました。


飛行機はシベリアのど真ん中を順調に飛び続け、オーロラが地平線に消えてから1時間ほどで空が白み始めました。


さらに1時間ほどが経ち、中国の上空に差し掛かると太陽が昇ってきました。
日没から僅か5時間しか経っていません。飛行機で飛ぶことで夜を半分ほどに圧縮したというわけです。


ハルビン付近を通過。川の流れが複雑です。


到着2時間前から朝食の提供が始まりました。
ソーセージとスクランブルエッグ、そしてほうれん草のソテーのおかずで、結構ボリュームがありました。


朝食を食べ終える頃には、3分間ほど北朝鮮の上空を飛行し、清津付近から日本海に出ました。


ほぼ定刻の日本時間9時35分に中部国際空港に到着しました。
飛行中の天候は安定していて、殆ど揺れることなく快適なフライトを楽しめました。
1ヶ月ぶりの日本の空も快晴。名古屋の気温は7度ほどで、春の陽気を感じました。


中部空港で入国審査を済ませ、国内線に乗り継ぎ、日本航空3105便(B737-800, JA314J)で新千歳空港に向かいました。
この機材は東京ディズニーシーのキャラクターであるダッフィーの特別塗装機でした。


機内のヘッドカバーにもダッフィーのイラストが描かれていました。
最近の日本航空のシートは黒皮で、格好良いデザインになっています。また、この機材は機内WiFiに対応していました。


中部空港離陸後に見えた北アルプスの山々。
日本の山ですが、雪が積もっているので、つい先日見た北極圏の山と見分けがつきませんでした。


12時50分、定刻より早めに新千歳空港に無事到着。
なんと外は強く吹雪いていて、北欧よりも厳しい天候に驚きました。

その後、JR快速エアポートに乗り、13時には札幌に帰着。早速北大の研究室に顔を出してお土産を渡したり、この日が期限だった学内向けのeラーニングを受講したりなどしました。
飛行機を2回乗り継いできたとはいえ、ほんの十数時間前までストックホルムの研究室にいたのですから、飛行機の速さには驚くばかりです。
幻想的なオーロラが見えたこともあって、1ヶ月にわたるスウェーデン滞在がまるで夢でも見ていたかのように感じました。

無事に帰国した今、私は色々と将来のことを見据えて動き始めなければいけない状況にあります。
スウェーデンで学んだことも生かしながら、これからの研究者人生を踏み出すために一層頑張って進んでいこうと思う今日この頃なのでした。