ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

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うた合わせ~北村薫

2018-10-16 05:05:05 | 本の少し
うた合わせ 北村薫の百人一首
クリエーター情報なし
新潮社

☆☆☆☆

北村薫の百人一首とあるので、古典の新解説本と思いきや、
現代短歌50組100首を、“うた合わせ”で言葉の糸をときほぐしていく。

“うた合わせ”という言葉を初めて知りました。
本来、歌合(うたあわせ)とは、歌人を左右二組にわけ、
その詠んだ歌を一番ごとに比べて優劣を争う遊び及び文芸批評の会らしいですが、
北村薫さんは、自ら古今東西の短歌を二首選び、その批評を行う。

短歌の良さ、読み手が自由に短歌を味わうことができること、

例えば、 ・つむじ風、ここにあります 菓子パンの袋がそっと教えてくれる (木下龍也)

東直子さんは・・・・・
街の片隅に流れてきた風が、ビルの間でつむじ風となった。
菓子パンを包んでいた薄いビニール袋が、その風で旋回している。・・・と。

北村薫さんは・・・・・
パン屋の店先。大きな窓が明るい。並んだパンの袋。それぞれの形は様々だ。
中の、うずまきパンの袋がそっと囁く。《つむじ風、ここにあります》。・・・・と。

さて、皆さんは、どちらを浮かびますか、短歌だけをみたら、
八割の方は、上の方を感じたのではないでしょうか・・・。

短歌とは、誰でも一人では味わいきれないジャンルって感じがすると、
それだけ、短歌とは、作り手と受け手の共同作業のような作品ということです。

ということは、すべての人に理解されようとするのではなく、
今しばらくは、心のおもむくままに詠んでみようと・・・

本に戻って言えば、
これほど短歌について難しく考えたことはありませんでしたが、難しくとらえるのではなく、
今迄通り気持ちのおもむくままに日記替わりに詠んでみようと・・・。

例によって、気になった歌を

エレベーター待つと並びしハイミスはわが入社時の慕情を知らず (小川太郎)

体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ (穂村弘)

金輪際会わぬと決めたる一人と夢打際で夜毎にまみゆ (道浦母都子)

たっぷりと真水を抱きてしづもれる昏き器を近江と言へり (河野裕子)

はつなつの、うすむらさきの逢瀬なり満開までの日を数へをり (横山未来子)

誤植あり。中野駅徒歩十二年。それでいいかもしれないけど (大松達知)

充実に浸りてまこと孤独なりヘッドホーンにマーラー聴くは (小原紀久子)

夕方は夕方用の地図がありキヨスクなどで売っております (天野慶)

マガジンをまるめて歩くいい日だぜ ときおりぽんと股で鳴らして (加藤治郎)

 本当に愛していたら歌なんて作れないよという説もある (大田美和)

コメント
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