ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

東京の落語家さんにも興味湧く~平成落語論

2009-02-25 00:42:44 | 本の少し
平成落語論・12人の笑える男
瀧口雅仁
講談社現代新書・740円
☆☆☆

落語はとにかく聴けばいい。それは事実だ。
だが、読んでから聴くと、もっといい。

では、既に聴いてしまっている、我らが鶴瓶さんから、

本文から引用すると。
「笑っていいとも」で、長年レギュラーを務めることができているのは
タモリの要求に、上手く応えることができ、同時に視聴者も、更に
タモリを納得させることのできる予定不調和なやりとりを得意に
しているからだと。

そして、テレビをはじめとしたメディアが、ウソ臭く、素人臭く、
安っぽく見えてきている中、鶴瓶ほど、自分の才能を前面に打ち出して
工夫を凝らしつつ、凝らしていないように見せる芯のある落語家は
他にはいないと絶賛している。

伝説の番組「パペポ」では、上岡龍太郎の脇で存在感を見せ、
「きらきらアフロ」では、逆に松島尚美の迫力に押され、
一歩引きながらも、しっかり手綱は握っている。
鶴瓶の立ち位置は、われわれに近い、バランス良い位置といえると。

常に回りの人を笑わそうというサービス精神から、
「私落語」へ、そして「古典落語」へも続いていく。
落語も「きらきらアフロ」も、鶴瓶さんにとっては、
重みも、価値観も同じであるの思える。

そして、八代目松鶴襲名については、
もっとも近い位置にいてると推挙している。


全12人の落語家を、それぞれの本質をつくテーマで、
各々の落語を語る。残念なのは、残る11人が江戸前で、
上方代表が、鶴瓶さん一人であることであること。

しかし、注目の噺家さん、こちらで聴ける機会も増えつつあるので
落語会選びの、良きテキストになるが、書いてある事が
正しいのか、違うのかは、聴いてからの私達の楽しみだ。

本書でとりあげる落語家さん
立川談春・柳家市馬・柳家花緑・三遊亭白鳥・立川志の輔
柳家喬太郎・春風亭昇太・林家たい平・林家正蔵・
笑福亭鶴瓶・春風亭小朝・「二世落語家」

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色を求めて、ナオユキさん~繁昌亭昼席

2009-02-23 23:35:20 | 天満天神繁昌亭
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・繁昌亭・表看板・・・・・・・・・・・・・・・・・・

入場整理番号、140番と141番でしたが、席も開いており、
余裕で、1階のき列正面に坐れた。ほっとしていると、
そのとき、「何々さんここもあいてるで」、と大きな声。
四、五人の団体。・・・ちょっと、悪い予感を感じたのだが・・・・。


一、笑福亭鉄瓶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「平林」

おばちゃんが、ドアの閉まりかけの電車に無理やり乗込むマクラ
客席のおばちゃんたち、我事なのに、大うけ。

噺は、「平林」、読み違えるたび毎に、後ろのオッサン。
連れの方に「たいらばやしや」、「ひらりんや」
「いちはちじゅうのもくもくや」と説明。

誰も、クイズ番組に出てんのと、違いまっせ。
落語を聴きに、来てんのに。

鉄瓶さんには、悪いが、イライラしているまに終ってしまった。
今度、稲田観音落語会で、ゆうくり聴かせてもらいますわ。


二、桂歌之助・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「狸賽」

これも、狐が騙す、狸が騙すと歌之介さんが言うと
「狸や、狸や」と後ろから、大きな声。
それを言うなら「狸賽やろ」と思わず、心で突っ込む自分が情けない

歌之助さん、ええとこのぼんぼんみたいで、博打うちの匂いが無く
しゅとしすぎて、狸の化けたものより、狐の化けたみたい。

これもなんとなく終ってしまいました。


三、桂都んぼ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「替り目」

良かったですな。

酔いっぷりといい、特に家に入ってからの奥さんとの絡みは絶品。
おっさん、奥さん、大好きなのが、ありありと。
怒られながら、会話を楽しんでいる。

おでんを買いに行かせてから、手を合わせ「カアチャンかんにんやで」
都んぼさん、この台詞を言いたさにこの噺、選んだのと違う。

この噺、噺家が若くても、充分楽しめるというのを実証した
都んぼさんの、「替り目」でした。


四、ナオユキ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「漫談」

実は、今日は、ナオユキさん目当てに、嫁さんと繁昌亭に。

出てくるなり、客席が引いているのがわかる。
その凍った客を、あのナオユキさんのボソボソが溶かしていく。

くすっという笑が、ほんの微少ずつだが、増えていく。
まぁ、ほんの少しずつ。耳掻きに一匙ずつ。
この匙かげんがよろしいな。
「ははは」という大爆笑とは違う。「ふふふ」という笑。

最後には、全員、ナオユキさんの笑の虜に、ヤッタ。

不思議な芸風に。何故か、はまってしまう。
案外へそまがりの私。

まあ、嫁さんも喜んでいたので、ナオユキさんは我家公認ですな。

続報・・・・・・・・・・・・・・・・・・
火、水、木、と出張してましたので、遅れて申し訳ございません。

五、桂枝光・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「相撲場風景」

小つぶちゃんが、ふっくらと、中つぶちゃんに。
吉本芸人だけに、大きな声で、客席捉えるのが上手。

噺は、「相撲場風景」・
相撲とりは出てこず、実際出てくる客には、体つきは関係ないのに
笑福亭の体力勝負の「相撲場風景」を見慣れているだけに、
体つきからか、かわいく、小粒に見えしまう。

、客をみて、ネタを決めると言うが、
今日の客は、「どんなんて、こんなんて、あんなん。」
じょんじょろりん、じょんじょろりん、と、
おしっこ風景で、客を喜ばす。


番組の組み方から、客筋が反対に見えてくる。
各噺家が、演じるネタに注目ですな。


六、桂春若・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「京の茶漬」

なんとも、味のある高座。
客筋にそぐわない、地味な舞台。

でも、大トリの仁智さんが、創作落語をされるのが予想されるだけ
ましてや、今日の客席を見た時に、
あえてちょっとした気持の機微で描く
しっとり感のある「京の茶漬」を演じるのは
本当は、反骨精神の表れとみたが深読みし過ぎか。

わあわあと笑いの中で、ざわついていた客席を、
シャーベットのごとく、口直ししていただいた、一席でした。

仲入り


七、川上のぼる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「腹話術」

84才、すごいなぁ。年令でいう国宝が手で触れるよう。
小学生の時、テレビでみたそのままが身近でみれる。

今日は、人形は女の子の「さちこ」ちゃんが出ているが、
何度も、「ボウヤ」と声を掛けてしまう。

60年も、「ボウヤ」とやってきただけに、
自然に出てしまうのか、それをギャグにしたくての、
「さちこ」ちゃんの登場か。
高齢者の芸人さん、計算づくのボケなのか、自然の呆けなのか
わかりませんな。・・・・それが、豊醇な、まろやかさに。

芸を愛し続ける為の、大切な事は、
演じる方も、見る方も、「長生き」が一番の条件ですな。


八、林家花丸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「千早振る」

着物の柄、良かったですな。
いやいや、落語そのものも、凄く良かったですな。

「千早振る」、喜い公が、それほどのボケでもなく、
甚兵衛さんも、年老いたというわけでも無く。

ただ、「千早太夫が振る、妹の神代太夫もいう事聞かず、
竜田川の関取、おからくれなくて、井戸に、水くぐる、とわ」
客席から、言われたら、台無しなので、要注意しながら・・
淡々とすすむ。

「百人一首」、「いや、五人一緒でしたで」
とか、随所にクスグリが入り、おもしろい。

「千早振る」、最初に福笑さんで、出合ったネタだけに、
奇想天外なのか、ベーシックなのか、基準が解らない、
この噺、いたってアレンジのし易い噺なのか。

でも、今日の「千早振る」。
着物の柄と同様、粋さが映える、花丸さんでした。


九、桂勢朝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「勘定板」

米朝師匠の話で、ひとしきり。
「80才ですが、虫歯一本もありません。」
「総入れ歯です」とか、

米団冶さんの襲名公演に、各地に口上だけ出演。
昨日は金沢、今日は、岡山、明日は松山と。
飛行機と車であちらこちらの会場ヘ。

忙しすぎて、楽屋で、米朝師匠「ここは、どこや」と。
すると、前のおばはんが、「呆けとんのやろ」と大きな声。
まぁ、しゃれの、わからんお方。

再三のチャチャに、勢朝さん、「うるさい、静かにせい」と
・・・そのあと「思わず言ってしまいました。」と反省の言葉も
続けて言っていましたが、イライラが爆発。

噺は「勘定板」、まさに、今日の客に合わせた、
「くそくらえ」という選択か。


十、笑福亭仁智・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「源太と兄貴」

仁智師匠も、マクラを言うと、前のおばはん「そらないやろ」と
ツッコミ。「やりにくいなふぁ」と仁智師匠もにが笑い。

噺は名作、「源太と兄貴」。頭に残っているのは、
兄貴の「源太ぁ・・どないなっとんや」のフレーズのみ

「はと」、「ぞろ目」「かねがある」など、源太の失敗談が続く。
その他、豊富あった噺は、四日も経てば、思いだせない。
ああ、ボケが、始まっている。

「ごまめ・・どないなっとんや」。

昼席は、でもおもしろいですな。
開口一番から、大トリまで全てが、ワンセット。
先週の上品な客の日は、全員のネタの組み合わせ如何なるものか。

ぼちぼち、繁昌亭の昼席のネタ帳の開示して欲しいですな。




天満天神繁昌亭・昼席
2009年2月22日(日)午後1:00 開演
天満天神繁昌亭

一、笑福亭鉄瓶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「平林」
二、桂歌之助・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「狸賽」
三、桂都んぼ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「替り目」
四、ナオユキ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「漫談」
五、桂枝光・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「相撲場風景」
六、桂春若・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「京の茶漬」
仲入り
七、川上のぼる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「腹話術」
八、林家花丸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「千早振る」
九、桂勢朝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「勘定板」
十、笑福亭仁智・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「源太と兄貴」

09-14-62
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アメリカ帰りのかい枝さんの「野ざらし」、、、~ 第487回田辺寄席

2009-02-22 09:44:20 | 田辺寄席
・・・・・・・・・・・・・・・・・487回・田辺寄席・表の看板・・・・・・・・・・・


開口0番・・・・・「ま」・・・「マジック」

落語を聴くときの注意、「さしすせそ」

「さ」・・差し入れをいれる。何でも結構ですよ
「し」・・静かに聴く。先々を言わない。
「す」・・すぐに飽きない。「ちりとてちん」が終っても、
、、、、、、単なるブームで終らない。
「せ」・・責任を取れ。終演後チョットと誘っておきながら
、、、、、、お勘定になったら、割勘とは。
「そ」・・そっと来て、そっと差し入れして、そっと聴き、そっと帰る。

まあ、差し入れだけで無く、本音は、「し」と「す」あたりか。

マジックについては、舞台袖からみた、失敗談のご披露。


一、桂さろめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・「東の旅」

年令不詳。一生懸命は解るが、余裕と言うか、
お客様に笑っていただこうという、サービス精神が欠如。

終演後の笑呆亭に出てきて、アシスタントをしていたが、
何か空気が読めない、現代娘というか、
関西のもっちゃり感の欠如を感じてしまう東京人というか。

大いに違和感を感じてしまった。
まぁ、個性イコール芸風です。今後の高座に注目ですな。


二、桂かい枝・・・・・・・・・・・・・・・・・・「野ざらし」

「図書館の金髪女性」と、「ピザ屋での金髪女性」の二つ
アメリカ仕込か、金髪女性のマクラが秀逸。

「野ざらし」、今まで、岸和田の浪切落語会で数回見ているが
お見それ致しました。

アメリカでの修行が、一段とアクションが大きくなり、
顔を初め、身体全体で表現。
「野ざらし」のような、動きのある噺には、ピッタンコ。

ますます、浪切での出番が待遠しくなりましたな。


三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「二番煎じ」

前半の、火の用心の見回りのところ、
そして酒を呑み、猪鍋を食べるところ、
この噺、こんなにおもしろかったのか。・・・再発見。

役人が来てからごまかすところからサゲまで。
全編に響き渡る、「宗助はーん」。
頭に残る・・・・・。

町内の年寄連中が、火回り番と言いながら、
集まり楽しんでいる様が見える。

文太師匠の、私が選ぶ十八番に入る「二番煎じ」でおました。


四、桂文昇・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「祝いのし」

悩みがあると。
家族全員が、片付けるのが、下手と。
思いきりが悪く、物が捨てられず、溜まる一方で、
一向に整理ができない。

落語は、「祝のし」で、春団冶一門以外で聴くのは初めて。
誇張も無く、シンプルで、
喜六が、それほどアホでも無く、
お咲きさんも、それほどきつく無く、
家主も、それほど、嫌味でも無く、
登場人物は全てが、中庸。

捨てる事のできない整理べたが、落語にもでた「祝のし」か。



五、桂枝三郎・・・・・・・・・・・・・・・・・・「げぼう頭」

おもしろい噺と、期待せぬ様に。
米朝師匠も、三回しかされて無い様で、
他にする者、まあいない状況です。

噺は、げぼう、とは、外法と書き、途方もないという意。
すなわち、大きな頭の者が、奉公に出。
そこでの、事件の連続が語られる。

一方通行の帰り道。
サゲは「げほうはひだるい(下方は左)」だけのことか。
もうひとつ、すっくりしないのだが、あっているのか、?

昨日に続き、珍しい噺が続きました。

まあ、正直言うて、多くの演者がしない噺は総体的に
笑いが少ないですな。
「労多くして、笑いの少ない」噺は
落語家としての生産性が低いんでしょうな。

次いつ会えるのか、今笑わないと笑う時ないよという
「げぼう頭」でした。




第487回・田辺寄席
2009年2月21日(土)午後6:00開演
市立阿倍野青年センター


開口0番・・・・・「ま」・・・「マジック」
一、桂さろめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・「東の旅」
二、桂かい枝・・・・・・・・・・・・・・・・・・「野ざらし」
三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「二番煎じ」
仲入り
四、桂文昇・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「祝いのし」
五、桂枝三郎・・・・・・・・・・・・・・・・・・「げぼう頭」

09-13-52
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486回田辺寄席~めずらしい噺

2009-02-21 21:47:56 | 田辺寄席
・・・・・・・・・・・・・青少年センターの裏庭の桃ヶ池・・・・・・・・・・・・



金曜日に、半年間、18席聴ける、通し券が届く。
折角の、落語の神さんからの授かりもの、使わなければと、
土曜日は、昼席と夜席の、連ちゃんを予定。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

日差しがあり、寒い中にも、春が近づいている穏やかな休日。
米朝一門の底力か、お目当の方がおられるのか、170名の大入。

開口0番・・・・・・・「ほ」・・・・・・「奉公」・・・桂文太

落語に出てくる登場人物は、まずは「喜六」、「清八」。
ボケとツッコミ。喜六のおもしろさ=上方落語のおもしろさか。

もうひとり加わる時は、「源兵衛」、
「源やん」、「源兵衛はん」、「源兵衛さん」とキャラクターの幅はある

世話好きで、物知りなのが、「甚兵衛」さん。
長屋のおかみさんで、ようできた方が「お咲き」さん。
しやべりでしっかりものが「お松」さん。
若ぼんは、「作次郎」と。

今日の、「奉公人」でお決まりが、
丁稚では、「定吉」、「米吉」、「亀吉」、「つね吉」
その上の、「太七」、「つね七」、「とう七」
手代になると、「杢兵衛」、「冶兵衛」
女子衆は、「お清」、「おもよ」、「お竹」、不細工なのが「おなべ」。

まあ、上手くできてますな。
大枠のキャラクターはありますが、
噺によって、各人の個性は微妙に違う。


一、桂雀太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「延陽伯」

商売道具と言えば、大工さんは、「大工道具」があるように
噺家にとっては、「扇子」、「手拭」以上に大事なのが「言葉」。
日頃から気を使っておるのですが。

大阪弁は、日本橋を「にっぽんばし」と鉄ちりを「てっちり」と
「っ」とつまるのが、特徴。
究極が、「エッチオピアで、さんぱっちゃや(散髪)、は
げっちょうび(月曜日)で休みやったと。
言葉にまつわった、マクラから「延陽伯」ヘ。

後半の、翌朝起きてからのところは無いが、
結婚が決まってからの、風呂に行くまでの、
妄想シーンは、おもしろい。

自由に組替え、喜六の脳天気さが一杯の楽しいの話になっている
怖いもの知らずの若さと勢いの良さが、
前面にでた雀太さんの「延陽伯」でおました。


二、桂紅雀・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「がまの油」

良いな、最初の立て弁の口上の部分と
酒を呑んでからの、うまく喋れないところのGAP。

基礎ができている芸人さんの、動きは
オーバーアクション気味でも、無駄が無くてきれい。

でも、このがまの油、師匠の枝雀さんと言うより、
雀々さんの匂いが強い。・・でも紅雀さんの「がまの油」オハコですな。


三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「文六豆腐」から

江戸落語の「文七元結」の上方版。文太さんの言う贋作の部類か。
噺は、娘を新町ヘ沈めて作った、50両を、
お金を落として身投げしようとしている若者、文六に
散々、迷った挙句、あげてしまう。

その葛藤、俺がいなくなったあとにすぐ誰か来ないかな。
半分の25両では、なんとかならいのか。
お前が、死ぬって言うから、くれてやるんだ。と
50両のお金を、ぶつけて去って行く。

まあ、後半は、お金が見つかって、旦那の粋な計らいで
娘も身請けされ、文六と夫婦になり、豆腐屋として繁昌し、
ハッピィエンド、めでたし、めでたしですが。

もし、お金が出てこなければ、家族の幸せを後回しにした
単なる、ええかっこしいの博打打ちの悲劇になりますな。

日頃、人間として、善いとは思っていても
実行出来ない事が多いだけに、文六の葛藤が痛々しいぐらい
悲しくもあり、また笑える。

滑稽噺はなりたく無い自分、
人情噺はなりたい自分の物語か。

文太師匠の人情噺・・・
人の優しさとは何かを、考えさす良きお手本ですな。


四、桂団朝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「魚の狂句」

まあ、米朝全集の第一巻の161ページに載っていますが、
誰もやりません。・・・まあおもしろくありませんし、
こんなもんかいという程度の話です。
そんなに、期待せんといて下さいと・・何度も断り入れながら・・。

狂句とは、滑稽な俳句、川柳のこと。

新町ヘ、女を買いに行くのをあからさまに言うのを
俳句に置換えて言えよと。

新町なら鯛になぞらえて、・・・・なら初鰹。
松島なら鯉。・・飛田ならぼら。と言うようにと。

なにぶんそういう処に疎いもんで、場所と魚の名は確かで無し。

最後の「へえおまえ鰹節が気に入ったんかいな」
「へえ、これでダシにしまんねん」と終ってから。

現代バージョン、ソープ譲は蟹の泡とか、
キャバクラ譲のイカの漁火とか、素人の・・・・など。
多彩に演出。・・・・団朝さんの日頃の成果、本領発揮か。

次の機会は、もっと書けるよう、真剣に聴きます。
まあ、そんなネタでもありませんが
でも、おもしろかったでっせ。団朝さん。


五、桂雀松・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「小倉船」

これもまた、初めての出合い。

小倉から下関ヘ渡る大きな船の中の話。

財布を落としたので、フラスコというガラスでできた瓶に
入って海中へ、ひびが入って更に海底へ・・・。
気がつくと、そこは龍宮城、・・・これが「竜宮界竜の都」か
そこでは、本物の浦島太郎と魚の役人らとの戦いぶり、
歌舞伎仕立てで、内容はファンタスチックだが、
踊りの素養なくては、おいそれと演じられる代物では無い。

ただ、「ショウジョウにはよう乗りまへんな」に続く
サゲの「酒手が高こつく」はようわかりまへなんだ。

雀松さん、汗をたっぷりかいての大熱演。お疲れ様でした。
ほんま、良い出し物を聴かせてもらい、感激でおます。

何度も言いますが、田辺寄席は上方落語の辞典ですな。



第486回・田辺寄席
2009年2月21日(土)午後1:30開演
市立阿倍野青年センター

一、桂雀太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「延陽伯」
二、桂紅雀・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「がまの油」
三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「文六豆腐」から
仲入り
四、桂団朝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「魚の狂句」
五、桂雀松・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「小倉船」

09-12-47
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第五回夕陽丘寄席~マクラは大判

2009-02-19 21:12:26 | 夕陽丘寄席
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夕陽丘寄席・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


鶴二・遊喬・福矢・さんの三人会。
肩の張らぬ会だけに、どんな噺が聴けるのか。
ネタを思うだけで、ワクワクですな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

遊喬さんの奥さんと三つのお嬢ちゃんが受付でお出迎え。
落語には丁度良い大きさの和室に、いっぱいの50人弱の大入。


一、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・「餅屋問答」

マクラを話しておられたら、遊喬さんのオチビさんが
突然廊下側の襖を開けられ、鶴二さんびっくり。
あわてて閉められあと、襖越しに、「ごめんなさい」の声。

それを聞いた鶴二さん、襖越しで思いだしましたがと、
天神祭の船渡行の司会で汗をかいた時、
銭湯に入った時ですが、文福師匠の一門もご一緒で、
男湯は師匠とまめださんだったのですが、ぽんぽ娘さんは女湯で、
師匠が、「鶴二師匠もおられるで、挨拶せえ」と風呂屋の敷居越しに
大きな声で。ましてや「いま、どこ洗てんねや」と、
一般の方もおられて、恥ずかしいやら、・・・・。

今日は、松枝師匠のお弟子さん笑五くんが、裏方として
お手伝いに来てくれてます。

私が、最初に覚えたのが「平林」、次が松葉兄さんに教えてもろうた
「東の旅」。その時は、松鶴師匠に松葉兄さんとこへ稽古に行きますと
言うと、「「何をすんねん」と聞いてくれましたが。

松枝兄さんとこへ稽古に行くと言うても一言も何も無し。
ある日、食事の時、突然何を思うてか、「何を習てんねん」と聞かれる
ので、「餅屋問答です」と答えると・・。

「あほんだら、生意気な、十年早いわ」と言われたと、どうしたもんかと
悩んだ・思い出のネタ、「餅屋問答」。久しぶりさせて頂きますと。

いたって、オーソドックスに、でも餅屋のオッサンのお住職さん
腰を落としての表情、味があってオモシロイ。

声も大きく、響きわたり、落語家の良く通る声の持ち主は得ですな。
まあ、花緑さんの本にある「なぜ落語家は噺を忘れないか」では無いが
23年前の噺が、話せるとは、不思議ですな。
まだ、呆ける年でもありませんが。

でも、三人会のトップとなると、いつもと違う少し軽めのネタが
聴けるのは、これまた楽しみですな。

よせっぴいに原稿出す時には、「ネタ」を決めて書いて頂くと
楽しみも倍加するので、是非ご検討をお願いしたいですな。


二、桂福矢・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「阿弥陀池」

マクラで、おんとし、35才。・・憂鬱ですと。
結婚、無性にしたいと・・・。なぜ、出来ないか。
真剣に悩むと。・・・子供が欲しい。
早く、春團冶師匠に、孫として抱いて貰いたい。

結構、真剣に、切実に、語られる。

私個人の意見で言うと、スキを見せた方が女性は寄ってきますと。

母性本能というか、私がついてんとアカンという夫婦善哉タイプ
は、結構ありまっせ。・・
まあ、お互い気使わんでもようなった時が、結婚どきですが。
まぁ、気使わんのはあんただけやと、嫁はんには、言われそうですが。

ネタは、「阿弥陀池」、
まあいつもの、ぶっきら棒で投げやりな口調に、はまってしまう。

随所に、福矢さんの台詞もちりばめ、楽しい高座。
春團冶師匠のオハコ、「高尾」、「親子茶屋」など
福矢さんで聴いてみたいですな。


三、笑福亭遊喬・・・・・・・・・・・・・・・・・「池田の猪買い」

遊喬さんは、最近行った、「落し物市」の話。
本が50円。傘が100円。何十本と買う方がおられて
どうするのか、商売でもすんのと違いまっか。

でも、総論でいうと、行きなはんな。
ろくなもん、ありまへんで。・・・某百貨店、ゴメンなさい。

あと、今日、知合いの鉄砲打ちが来られているので、
「池田の猪買い」を・・・・新鮮な猪肉はほんま旨いでっせ。と

仁鶴師匠から続く、笑福亭の十八番。・・と私は信じているが。
途中、「綿をちぎって投げるような雪が、ちらちら」・・ここで
鳴物が入るのですが、どんどんどんどんと雪の効果音を口で言うが
様にならず、恥ずかしいわ、やめとけば良かったと。
でも、いつもある処で何もなしでいくのも、やはりなんですで。

味は保証つきの旨みたっぷりだが、骨太の「猪買い」でおました。

次回は、5月21日(木)の予定です。
7時開演は、平日ですが、まだ都合がつく時間ですな。


第五回・夕陽丘寄席
2009年2月19日(木)午後7;00開演
クレオ大阪中央3F和室

一、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・「餅屋問答」
二、桂福矢・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「阿弥陀池」
三、笑福亭遊喬・・・・・・・・・・・・・・・・・「池田の猪買い」

09-11-42
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新作「ないもん買い」~ないもの、あるもの

2009-02-18 23:15:26 | 本の少し
ないもの、あるもの
クラフト・エヴィング商会
ちくま文庫・900円
☆☆☆☆☆


素適で、お洒落、それでいて面白い。

店主よりの御挨拶、そのまま写すと。

よく耳にはするけど、一度としてその現物をみた事がない。
そういうものが、この世にはあります。
たとえば、《転ばぬ先の杖》。
見たことはないけれど、名前から察するに、そうとう「いいもの」
であることが想像されます。
~略~
でも、どこへ行ったら手にはいるのだろう?
このような素朴な疑問とニーズにお応えするべく、わたくしども
クラフト・エヴィング商会は、ここに新しい看板を揚げることに
しました。 題して、「ないもの、あります」。

といい、古今東西より取り寄せたと27の商品が紹介される。

「堪忍袋」、「舌鼓」、「相槌」、「思う壷」、「鬼に金棒」、「他人のふんどし」
など、ほんと解っていながら、目にした事がないものばかり。

商品番号・第3号の「左うちわ」のカタログの説明には、

一見、ただのうちわのようですが、正真正銘の《左うちわ》です。
当然ながら、左手のみの使用が可能です。右手であおぎますと、
一切の効果は得られず、ただの「暑苦しい人」になってしまいます。
また、左ききのの人は、もともとからして。《左うちわ》なので
残念ながら効果は保証できません。平にご容赦を。

なんと素適な、解説書でしょう。

一つ、一つが、落語のサゲに使える。

「冥途の土産」、この題だけで、ワクワクするでしょう。
何をもって行ったら、良いのか。いつから準備するものか。

「大風呂敷」、「金字塔」、「おかんむり」、「一筋縄」、
「自分を上げる棚」、など、ほんま買いに行ったら
創作、「ないもん買い」ですな。

只、勉強不足で、作者がクラフト・エヴィング商会になっているが
何者ですか。吉田浩美・吉田篤弘さんの共作か。
誰かお教えくださいな。
作者はどうであれ、中味は、刺激的で、熟したニタリがいっぱい。

お値段は900円。ちくま文庫、少々高めですが、
このほんは、落語ファンの方、買いですな。



マクラのヒント集。
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本業はどちら~ファイティング寿限無・立川談四楼

2009-02-15 08:59:36 | 本の少し
ファイティング寿限無
立川談四楼
ちくま文庫・780円
☆☆

落語家の書く小説かと思いきや、この本の主人公と同じ
落語のできる小説家か。

最初の、数ページでこの本の虜に。
先週買って、会社の行き帰りだけ読んでいたが、
その時間の待ちどおしいこと。

主人公の小龍は、師匠から、己に付加価値をつけろ。
落語以外で、見事に売れてみろと、いう教えに、
プロボクサーを目指し、あれよあれよで、のぼりつめる。

小龍、寿限無、博クンと、三つの世界で、三人の名前を持つ
主人公、でもいきざまは一つ。

礼儀に厳しく、先輩、後輩の序列がありながら、
実力がものを云う社会は、芸人もボクサーも同じ。

しかし、師匠と弟子の関係は絶対的なもの、厳しい社会で育った
主人公が、対戦相手に試合後に思う気持ちと言葉は
今問われている「品格」のおもむきがある。

小龍がボクシングで活きているように、
談四楼さんは、十分作家として活きている。
落語家だけでは無く、作家としてもプロである。

その証拠に、私は既に、「シャレのち曇り」、「石油ポンプの女」を
買い求めようとしている。


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猫大好き・こごろうさん二席・~らくご道

2009-02-11 07:50:14 | 南天(こごろう)の会
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ワッハ4階・上方亭・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今日は、祝日ですが、仕事が溜まっているので、昼から会社ヘ、
夜には、ワッハヘ、らくご道を聴きに・・・・・・・。

気持ちは、忙しおますなぁ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

祝日のらくご道、最高の入りか、50名の大入満員。


今日は、お弟子の生寿さんが他の仕事でお休み。
それで、急遽、こごろうさんが二席やらしていただこうと。
思わず客席から、拍手・・・・・お得感・・何をしてもらえるのか期待・・・。
私は、ちょこちょこ二席やるのですが、生喬さんはなぜかやらない。
生喬さんがサービスが足らないとかでは無く。
完成度高いものを出したいのか。
こんなところにも、二人の性格が出ているか。


一、桂こごろう・・・・・・・・・・・・・・・・・「かぜうどん」

近況報告と言う事で、「まぁ、寒いですな。」
「からだだけでは無く、気持ちが寒い。」と。
実はうちの猫が、顔の半分が腫れて医者に連れて行くと、
歯槽膿漏と、治療代が26,000円、今月は何故か仕事は少ないし
さむいですな。でもほっとく訳にいかず。
奥歯を5~6本抜いてもらって帰ってきたが猫ちゃん、ぐったり。
大好きな柔らかい餌を出しても、ぐったり。

心配になって、思わず「死ぬんとちがうか」と言うと、
小6の娘が、「うわぁー」と泣くし、家中が、さむーて。
なにかしら、大変ですわ。

噺は「かぜうどん」寒中の中、うどん屋が猫に会う、
その目線、動きを追いかける。
猫好きの、猫への優しさが、ひしひしと感じる。

うどん屋が、うどんを作るしぐさも、時うどん以上に
こと細かに、じっくりと演じる。

うどんと食べ方も、いつものここごうさんの誇張も無く、
オーソドックスに、そしてリアルに食べる。

まあ、「青菜」の導入部の剪定のシーン、
「書割盗人」での描くシーンなど、
案外リアルに、きっちりと演じるのが好きなのか。

食べるのを見ていると、枝雀さんより、千朝さん寄り。
風邪をひいた客の声も、すべて落ち着いた、
大人のかぜうどん。でおました。


二、笑福亭生喬・・・・・・・・・・・・・・・・・「雑穀八」

人生、分れ目、あの時、あーしとけば、どうなった。
判断、決断、でその後の人生が大きく変わる。

婚礼の当日、花嫁をほって江戸へ行った、
眼鏡屋の鶴さんが、十年後に帰って来て、噺がはじまる。

だが、その花嫁の実家「雑穀八」は、その後、負のスパイラルで
娘の「お糸」さんも、お店も、最悪の落ち目状態。

その原因を作ったのは、「鶴さん、あんたや」と新兵衛さんが
意見を言う。・・・・・・・江戸っぽい、人情噺。

その話を聞いて、道楽三昧で家を潰した夫も亡くなり、
ひっそり暮らしている病身の「お糸」さんを引き取り
夫婦になって、「雑穀八」を盛りたてる。

ここまでが、第一場か。

表通りの店を買い戻し、立派に復活させた、「雑穀八」の台所。
出入りの魚屋が持って来た、鯛で、御寮さんになった小糸さん
今日は、先の仏の命日で、精進日、なま物はあきまへん。

俺が食べたいもん、何が遠慮がいるもんかと言う・・・旦那。
夫婦喧嘩の間で、魚屋大いに、困り果てる。

第二場である。
あとで、生喬さんも言うてましたが、前半と後半で、
別の夫婦、別の噺のよう。・・江戸落語では「先の仏」
まさに、「雑穀八」と「先の仏」が合体している。

「首提灯」でも、あの気の良い酔っぱらいが、首を切るかいな。

でも、最初の部分の江戸っ子で啖呵をきるとこなんぞ。
生喬さん、なかなか、粋じゃねいかい。

次は、「笠甚」。これも、東京の師匠につけてもらったとか。
生喬さんでなくては、聴けぬ噺。
田辺寄席でもされるみたいなので、どちらかで、必聴ですな。


三、桂こごろう・・・・・・・・・・・・・・・・・「不動坊」

最近演じられたのが、満足できなくて、今回やらないと
季節商品なので、リベンジのつもりで今日急遽、「不動坊」

でも、「お滝さんなら、3円50銭でも、40円でも出す」
3円50銭は安過ぎるやろ。

幽霊誰がなんねんというて、裏の講釈師、軽田ドウサイを出すのが
いきなり、俺が講釈師の軽田ドウサイを呼びに行くわと・・あれれ。
新さんは、太鼓・・・。裕さんは、アルコール買うてきてんか・・・。

最後の夕焼け日記でもおっしゃてたが、間違いましたと。
でも噺家さんて凄いですな。

間違うたと頭で考えながら、口は次の台詞を喋っている。
そして、何事もなかったように軌道修正がおこなえる。
ピンチの時に、動じないのが、プロ・・・。


いつもの「遊芸稼ぎ人でおます」とか
「さっきまで、宙に浮いとりました」では無く。
サゲは初めてのサゲ。

幽霊が井戸にはまってしまい。

溺れそうになっている幽霊に向かって、利吉が
「うかばれへんて、さっき20円の金渡したやろ。」
「いや、私カナヅチでんねん」と、

たっぷり40分弱の熱演。

こごろうさんが二席聴けたのが嬉しいですな。

でも、生喬さんのネタ選び、噺の粋さ、回を追うごとに
はまりますな。・・・・らくご道・・・ええネーミングですな。



らくご道~笑福亭生喬と桂こごろうの落語会
2009年2月11日(水・祝)午後7;00開演
ワッハ上方・4F・上方亭

一、桂こごろう・・・・・・・・・・・・・・・・・「かぜうどん」
二、笑福亭生喬・・・・・・・・・・・・・・・・・「雑穀八」
仲入り
三、桂こごろう・・・・・・・・・・・・・・・・・「不動坊」


09-10-39
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ひさびさの落語会~文太の会 in 虎武士亭

2009-02-08 00:15:46 | 田辺寄席
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夜の虎武士亭の玄関・・・・・・・・・・・・・・・・・・

二週間ぶりの落語会。

お目当ては文太師匠の「らくだ」はもとより、
「青空散髪」、「高倉狐」、の演目に興味あり、特に、青空散髪」は
先々代の染語楼さんで聴いたが40年前のはなし。

今は忘れているが、さて内容を想い浮かべれるのか。
記憶力にチャレンジですな。

30分前に、入ると、落語仲間のIさんも来られていて隣の席に。
60人の大入満員。
居酒屋で堀座敷なので足が伸ばせて
、仲入りなしの二時間でもいたって楽。


一、林家市楼・・・・・・・・・・・・・・・・・・「青空散髪」・・・(石段)

坊主頭を十年前からしており、その便利さを説明。
私も、ここ数年短くしており、ドライヤーも使った事が無く。
新幹線で寝ても、寝癖もつかず、便利さは、納得。

噺は、かつて聴いた気になっていただけで、聴いて無かったよう
もし聴いていたなら、全く覚えていないので、逆にショックか。

舞台は、天王寺公園、ジャンジャン横丁の方から入った石段の
左奥に住んでる、青空の散髪屋の話し。

50円の料金もさることながら、昭和の匂いがするネタ。
電気を盗んだり、馬の水飲み場が出て来たり、
まさに、庶民の逞しさが、話しの底に流れている。

市楼さん、あとでおしゃっていたが、笑いが少なくて
怒っていられるのかと・・・焦りましたと。

でも、庶民の町、西田辺でも、商売としての青空散髪の
イメージがいまひとつ沸かず。

今や、青空での散髪と言えば、
お父さんがやる家の庭での情景が浮かぶ
やはり、時は流れ、庶民は豊かになりましたな。

市楼さんの技量では無く、現実とのギャップの差か。
時代性が命の、新作、創作の宿命か。
でも、古典のもつ不変の、そして永遠のおもしろさ、何なのか。

歴史でも、大正、昭和の近代史はあまりにも近すぎて
おもしろ無いのと同じか。

2月から偶数月の16日に「イチローの攻撃」がスタート。
古典落語での、イチローさんの反撃いや攻撃をみてみたい。



二、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・「高倉狐」・・・・・・(さわぎ)

高津神社の境内にある高倉稲荷神社が舞台。

通常騙されるのは、いつも人間、それも助平心の男が相場だが
今回はなんと、狐が騙され、勘定まで押しつけられる。

びっくりして、正体がばれる。不意の出合いに弱いのは
人間も、狐も同じ。

文太さん、さしたる山場も無い噺を、くすぐりをいれながら
淡々とすすめられる、文太師匠ならではの、おはなし。

でも、動物が出てくる落語はなぜか和みますな。
人間に騙されると腹が立つのは私だけか。
まあ、人以外に騙された事は、今だありませんが。

サゲは、人間がお詫びに持って行った饅頭に、昨日の親狐が
子狐に、「これは食べたらあかん・・。馬の糞かもしれん」



三、桂三歩・・・・・・・・・・・・・・「私がパパよ・・」・・・(365歩のマーチ)

いつもの三歩さんの、楽しい高座。

50才で初めてお父さんになる主人公と、
21才で、三人目のお父さんになる若者との、
産院での会話。

私も、親父が43の時の子供。
年をとってからの親の気持は、逆だが多少解る気がする。

三歩さんも丁度、主人公と同い年。等身大の話で親しみがある。

赤ちゃんはかわいいもので、ぼちぼち、娘の子。すなわち、
孫の顔を見たいですが、その為にはまずは御婿さん探しから。
(娘が見たら、大きなお世話、ほっといてと言われそうですが)



四、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・「らくだ」・・・・・・(助六)


黒紋付の盛装で舞台ヘ、らくだの死を意識してか、単なるトリか。

熊公が、困り果てるシーンはさほど演出されて無いが、
紙屑屋が、酒を呑みだしてからの、一人芝居は絶品。

本日のらくだ、頭の毛を剃ったあと、魚屋からの刺し身で呑み直す。
ここまでで、ゆうに40分、但し居酒屋の会場で一人たっぷりと。
それも美味しく、文太師匠の演じる紙屑屋に呑まれると、
客席の私達とすれば、結構辛いですな。

酒は程々にと、熊の立場で見てしまう。

その腹癒せか、終演後の打上で、残った人は、呑むは呑む。
会費制なので、お店の人にとっては、痛し痒しのネタ、らくだ、か。

大ネタと言われるだけあって、噺家さんの個性がまともにでる。
今、上方でらくだを演じる噺家さんは何名おられるのか。

次々に聴いてみたくなりましたな。
後を引く大ネタ「らくだ」でおました。


その場で行われた、打ち上げは、賑やかで、
料理も、酒も、たっぷりで、虎武士さんに感謝ですな。
各テーブルも、落語ファンのおしゃべり満載で、
楽しまして頂いた、久々の虎武士亭でおました。



文太の会in虎武士亭
2009年2月8日(日)午後2:00開演
西田辺、虎武士亭

一、林家市楼・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「青空散髪」
二、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「高倉狐」
三、桂三歩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「私がパパよ・・」
四、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「らくだ」

09-09-36
コメント (4)
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むずかしいことをやさしく~ふふふ・井上ひさし

2009-02-05 22:32:48 | 本の少し
ふふふ
井上ひさし
講談社文庫・448円
☆☆☆

久しく落語会に行けてません。
まあ、先週の土日が、いそがしくて抜けたのが寂しいですが、
昨日からの東京出張で読んだ本のご紹介。

この本は、講談社の「小説現代」に2001年1月号から、
2005年1月号までのエッセイ45本をまとめてある。

一見、ユーモアたっぷりの井上ひさしさん節と思いきや、
なかなかの硬派、批判的な視点で、特に今の日本の政治を憂う。

「問題の出し方」という、エッセイでは、
少なくとも入試試験問題の出し方については
よその国から学んだら良いとある。

アメリカに続いての、フランスの大学入試問題となると、

「夜更けにセーヌ川の岸を通りかかった君は、一人の娼婦が
いままさに川へ飛び込もうとするところに出会う。
さて、君は言葉だけで彼女の投身自殺を止めることができる
だろうか。彼女に死を思い止まらせ、再びこの世で生きて行く
元気を与えるよう説得せよ。」

暗記だけでは無く、自分自身の人間としてのいきざま
日頃の人生観が問われる。

でもこの問題、ずばり江戸落語の「文七元結」でおます。
日頃から落語好き、人間好きの皆様にとっては、
色んな答えがでてきますやろな。

ちなみに、私の答えは、本に書いてある
アンドレ・マルローという生徒とほぼ同じ。

知りたい方は、本を買うか、立読みするか。

まあ、ひさしぶりの、井上ひさしさん。
残り44編買って読むだけの価値はありますが。
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