「緑水亭」を11時にチェックアウト。基本的には帰路となりますが、お天気も良くなりましたので、事前リサーチしておいた立ち寄りスポットを巡って帰ることにします。
まずは「緑水亭」のある小湊エリアです。小湊は日蓮さんゆかりの地です。ネットで調べた情報を要約すると、こんな感じです。
「日蓮聖人は、貞応元年(1222)2月16日、小湊の片海という漁村で漁師の子として産まれました。その時、3つの不思議な出来事が起きたと言い伝えられています。これらを総称して『三奇瑞』と言います。
①誕生水・・・庭の片隅から清水が湧き出し、今も枯れることなく「誕生の井戸」として守られている。
②蓮華ヶ渕・・・時ならぬ時節に浜辺に青蓮華が咲いた。
③妙の浦・・・本来深海に棲む回遊魚で群れをなさない鯛が、海辺で大小の群れをなして日蓮聖人の誕生を祝った。」
ということで、この三奇瑞のひとつ「妙の浦」、国指定特別天然記念物「鯛の浦」を遊覧船で見学します。
(ネットより拝借。)
鯛の浦遊覧船乗り場は「緑水亭」から海岸に下ったあたりにありますので、ほんの数分という距離。日蓮さん誕生の地ということで、交差点名がそのものずばり。
(「日蓮交差点」。分かりやすいようなそうでないような。(笑))
無料駐車場がないので遊覧船のサイトが案内している最寄りの有料駐車場に車を入れて、徒歩1分。遊覧船乗り場です。
(集客も狙ってか、「鯛の浦遊覧船は〇時〇分に出航します。」的な感じで周辺に聞こえるように放送を流しています。)
切符売り場も待合所も昭和レトロな感じで、私たち世代には何とも落ち着きます。(笑)
(昭和48年には昭和天皇・皇后両陛下がご乗船されたそうです。)
約20分の遊覧で1人1100円(100円割引適用後)。ちょうど5分後に出航というタイミングでした。
(海岸沿いの奇岩見物も兼ねています。)
船内はこんな感じです。連休期間中ですが混雑することもなくゆったりとしています。客層は昭和世代ですね。(笑)
(写真左端の白柴、美形のお利口さん。かわいかったです。)
ライフジャケットを着用すればデッキ席も利用できます。
(1組のご夫婦が外で見物されていました。)
港を出てすぐのところで停船。ちょうど小湊を一望できるあたりです。
(ひときわ大きな建物は「三日月シーパークホテル安房鴨川」か。左側の山裾には散策路が整備されています。)
このあたりが鯛が棲息しているスポット。深海魚なのに浅瀬に棲息している神秘の場所です。船頭さんがエサをまくとバシャバシャやって来ます。
(入れ食い中。波に光が乱反射して魚影は見づらいですね。)
バシャバシャが終わった頃が写メのタイミング。
(鯛ですよね?(笑) クロ(メジナ)も混じっているような気もしますが、こちら様が日蓮さんの三奇瑞のひとつ、神秘の鯛です。)
ここで数分鯛たちを見たら再び動き出して、内浦湾の絶景スポット「大弁天」・「小弁天」の奇岩が見える所まで船は進みます。
(大弁天には朱塗りの鳥居があり、漁師さんたちは漁の前に船上から安全祈願でお参りするそうです。小弁天はいい磯釣りスポットになっていました。(笑))
港に戻って鯛の浦遊覧は終了です。港の建物の2階は鯛の浦の資料館になっていて見学無料。せっかくなので上ってみました。
(2階の窓から見える景色。鯉のぼりならぬ「鯛のぼり」。(笑))
資料館というよりは展示室という感じですが、鯛の浦の昔の様子などをシンプルに勉強できます。目立つ展示品としては、この長法被。
(遊覧船の船頭さんの法被にも赤い鯛が描かれていました。)
現在特別展示中の「鯛みこし」。
(お祭で使われるのでしょうか、なかなか見事なお神輿でした。)
歴史展示によると、小湊地区では毎月誕生寺で鯛の法要として「タイのお葬式」が執り行われていたそうです。現在はお葬式はやっていませんが、誕生寺の鯛塚での鯛供養として続いているそうです。
その「誕生寺」は、鯛の浦遊覧船の建物を出ると目の前にあります。
(日蓮さんの誕生に由来することがその名からも分かります。)
誕生寺は、建治2年(1276)、直弟子の日家上人が日蓮の生家跡に創建したのが始まり。その後、明応地震(1498年)、元禄地震(1703年)の二度の地震で被災し、現在の地に移転されました。生家跡周辺は海に沈んだままと伝えられています。門をくぐります。
(掃き清められた参道と真新しい石燈籠に威容を感じます。)
写メを撮り忘れましたが、この参道の途中に三奇瑞のひとつ「誕生水」である「誕生の井戸」がありました。誕生寺の見所の一つでもある仁王門。
(仁王門を見上げると、一層その威容が増します。)
お寺の中心的建物「祖師堂」をバックに顔出しがあります。
(もちろん妻と交替でやっておきました。(笑))
祖師堂には世界一の大きさと言われる鬼瓦があり現在修復中だとか。祖師堂の横を通ってお寺を出ましたが、修復のために下ろした鬼瓦でしょうか(あるいはレプリカか)、巨大な鬼瓦が展示されていました。その面積は何と畳21畳分だそうです。
お寺を出て、先程遊覧船から見えた散策路の入口に行ってみます。
(ここから散策路が結構な長さで続きます。私たちは入口まで。「密漁監視中」とのぼりが立っていますが、岩場が続いていて何かを獲るために下りる人もいそうな雰囲気です。)
ここにはこんな注意が彫られた石碑があります。
(「注意 たいを獲ることを禁止する」。見づらいですが、その横には「文化財保存委員会」と彫られているように見えます。)
磯釣りや防波堤釣りをしている人がちらほらいましたが、鯛が釣れたらどうするのでしょう。釣り禁止エリアが決まっているのか、釣れたらリリースという決まりなのか、何かルールがあるのでしょうね。
海の方を見ると、ちょうど遊覧船が停船していました。
(写真中央に小さく遊覧船がいます。今まさに神秘の鯛をエサで寄せている最中ですね。(笑))
小湊の立ち寄り観光はこれで終了。次は20分弱走って、房総半島最大規模のお寺「清澄寺」に行ってみます。
(お遍路の装束のような衣装を着た人、宗派の人たちだと思いますが、大勢いらっしゃいました。山門に立てかけられた大きな看板に「立教開宗慶讃大法要」とあります。どうやら一大イベントの日に訪れてしまったようです。)
清澄寺は、日蓮さんが12歳で入山し勉学に励み、16歳で得度し虚空蔵菩薩の前で修行したお寺。そんな由緒のあるお寺の大法要の日ですから、観光客としては何とも言えないアウエー感がありますが、お参りさせていただきます。
(法要開始の時刻を案内する放送が境内中に流れます。)
御朱印をいただきました。
(御朱印を待っている間に法要が始まったようで、本堂内の読経がマイクで境内中に中継され大音量となって流れます。)
力強い読経の迫力に気圧されながらも、国指定天然記念物にして御神木の「千年杉」(清澄の大スギ)を見ておきます。
(根回り17.5m、幹回り15m、樹高47m。樹齢は不明ですが、千年杉と呼ばれています。)
私たち以外の数少ない観光客と比べるとその大きさが分かります。
(合掌。)
千年杉の横の道を進んで行くと、日蓮さんが昇る朝日に向かって初めて「南無妙法蓮華経」の御題目を唱えたと伝えられている神聖な場所「旭が森」がありますが、私たちはここで清澄寺を出ることにします。
清澄寺の最寄りの駐車場は土産物屋の有料駐車場で、無料駐車場は坂を5分程歩く所にあります。土産物屋の店内には車を停めた瞬間に出て来そうなおばさんが駐車場ににらみを利かせています。私たちは無料駐車場を利用。(笑) その有料駐車場からは、歌川広重(安藤広重)も見た景色を眺めることができます。
(広重が清澄寺に参拝した折に描いた「安房清住山」(1858年)。地名の清澄は「きよすみ」。お寺は「せいちょうじ」。)
こんな景色です。
(青空なら外房の海と空がもっとクリアで絶景が広がるでしょうね。)
ここからは帰路の道中での立ち寄りとなります。まずは「里のMUJI みんなみの里」。道の駅だと思っていましたが、そうではなく、無印良品と鴨川市が締結した連携協定に基づく地域活性化のための「鴨川市総合交流ターミナル」という施設だそうです。
(無印良品を覗いてみましたが、普通の店舗でした。(笑))
みんなみの里の❝裏手❞には里山をイメージした?広場が広がっています。
(テラスでは何やらワークショップが始まりそう。下のハウス横の広場では大人たちが作業かイベントかをやりそうな感じ。)
私たちは「みんなみの里」の建物内にある「Café&Meal MUJI」で昼食にすることにしました。
(メニューのようなアピール黒板があちこちに立っていました。なかなか美味しそう。)
「Café&Meal MUJI」です。
(お天気が良いためかテラス席が人気で、店内のテーブル席には余裕がありました。)
さすが無印良品、開放的でシンプル&オシャレな作りです。
(センターの大テーブルにはサラダバーの野菜たちがカラフルに並べられています。)
私たちは「プリンセスサリーを楽しむスープカレー」と「千葉県産❝錦爽鶏❞のカツレツ」を注文。妻の「プリンセスサリーを楽しむスープカレー」。
(プリンセスサリーとは無印良品と鴨川市がコラボして生産したお米。なるほど、だから「主役は、米。」というコンセプトなのですね。一口いただきましたが、カレーもスパイシーで超本格派。)
スパイスの辛いのが苦手の私は「千葉県産❝錦爽鶏❞のカツレツ」。
(錦爽鶏は名古屋コーチンの生産ノウハウを注ぎ込んで開発・飼育されたブランド鶏。ソースは野菜たっぷりのトマトデミグラスソース。最初鶏と分からず上質の豚肉と思って食べていたくらい、柔らかい肉質と肉の美味しさを感じる鶏でした。)
「プリンセスサリーを楽しむスープカレー」は1700円、「千葉県産❝錦爽鶏❞のカツレツ」は1900円ですが、鴨川市民なら500円引き。カレーとカツレツを食べて昼食を終える予定でしたが、大きなイチゴパフェを食べている人が結構いて、それが二度見するような映え&美味しそうなパフェ。ということで、急きょ食後のデザートタイムへ。(笑)
(メニュー黒板の中央を飾る「鴨川産こぼれいちごパフェ」(1800円、鴨川市民は1500円)。)
私がオーダー端末に注文に行きましたが、何と「売り切れ」表示。パフェ好きの私としては是非食べたいところでしたが、次善の策ということで、ちょっと小さめの「鴨川産いちごパフェ」(900円、鴨川市民700円)を注文。
(出て来て見ると結構な大きさ。2人でシェアしてちょうどいい感じ。イチゴは甘さと爽やかさのバランスタイプという印象。ソフトクリームはちょうどいい甘さのしっとりタイプ。かなり美味しい。)
大満足の昼食となりました。この後、農産物などをガッツリ買いましたが、いつもの近所のスーパーで買うよりもかなりお安く済みました。
(鴨川産レモン「鴨川海と太陽のレモン」が売っていました。初日に訪れた「太田和牧場 めぇしばミルク工房」のレモンジャム、「緑水亭」の料理に出てきたオイル漬けレモンでも使われていた地元産レモン。今回の旅で訪れた所が地産地消でつながっている感じがしました。)
さて、次は最後の立ち寄りスポット、ここから10分もかからない棚田「大山千枚田」へ向かいます。
(駐車場、トイレあり。キャッチフレーズは「東京から最も近い棚田」。もちろん「日本の棚田百選」に選ばれています。)
これまでも九州はじめ旅先で棚田があれば訪れてきましたが、実は田植え時期の水を張った状態を見る機会が少なくて、今回はそのチャンスです。
(見事な棚田です。が、雲がもくもく。青空だったら完璧だったのですが。(笑))
平成22年(2010)開催の「ゆめ半島千葉国体」に臨席された平成天皇・皇后両陛下が当地を訪れ詠まれた歌の碑があります。
(「刈り終えし 棚田に稲葉 青く茂り あぜのなだりに 彼岸花咲く」。ここからの眺めが一番良かったです。)
大山千枚田、畔に入ることはできませんが、道を歩きながら眺めていると見え方が変化していくことに気付きます。
(歌碑より少し上った所にて。)
こんな景色に見える所もあります。
(更に上った所にて。)
保存会による農作業体験やライトアップ、オーナー制度もあるようです。道沿いの丘には「棚田カフェ」もあって、高台から棚田の全景を眺めることもできるようです。
さて、これで立ち寄りスポットは全て巡りました。後は帰路のみです。帰路は渋滞の洗礼を浴びまして、東京湾アクアラインに入る木更津金田ICまでの一般道がビッチリ渋滞。アクアラインに乗ってからは流れていたのは幸いでした。
(アクアラインに入るの手前1kmを進むのに1時間はかかったかと。アクアラインはそこそこ流れています。)
「海ほたる」が見えたのは18時半前後だったでしょうか、駐車場も空きがあるようですので、行きとは違って立駐にスムースに入ることができました。軽く夕食を食べて休憩した後は夜景を見てみようと最上階へ行ってみました。
(東京方面の夜景。行きに同じ場所で日中の景色を撮った時、チューリップが造花だったのが謎でしたが、夜に花が光るのですね。なるほど。)
木更津方面の夜景。
(上り車線に車のライトが連なります。)
この後高速道路は混むこともなくすいすい流れ、無事帰宅しました。お天気がイマイチでしたが、初めての外房の旅は、首都圏にこんなに近いのにその豊かさが知られていない房総半島・外房の魅力を発見し堪能した2泊3日でした。隠れた避暑地でもありますので、夏場を含めオールシーズンで再訪したいと思いました。
私たちの2024GWのメインイベントはこれで終了。連休後半は家でのんびり過ごすこととします。