河野美砂子の「モーツァルト練習日記」+短歌+京都の日々の暮らし

11/23(土)13時30分 NHK文化センター京都「マズルカ⑫最終回」Op.67、Op.68全曲 

ラヴェル備忘録

2009-07-12 14:45:59 | ラヴェル
先日の講演会「ラヴェルを聴く」についての備忘的に書きます。
当日は、以下のことを実際に電子ピアノで音を出しながらお話しました。

・・・・
ラヴェルの作品について、今回私が気づいたこと。

①属和音(正確には「属七和音」・・ソシレファ)→主和音(ドミソ)という形がほとんど見られない。

②五度(正確には「完全五度」・・たとえば ドソ とか レラ とか ミシ など)がたいへん多い、というより、バスの五度の上に和音が重なる、というハーモニーが基本。

その他
・父親がスイス出身の技師、母親がバスク地方出身で
フランス南西部スペインとの国境の町シブールで生まれたこと(3ヵ月後にパリ移住)

・14歳のときに
パリで開かれた万国博覧会で、ガムランをはじめとする東方の音楽を聴いたこと

などが
ラヴェルの音楽の特徴に重なる。

つまり
ストラヴィンスキーがラヴェルの音楽を評して言った「スイスの時計職人のようだ」という言葉に象徴されるごとく

③職人的完璧さ・・・ラヴェル自身が、精巧な時計や工業的なものに魅力を感じていた・・・父親の影響

次に、「ハバネラ」などに代表される
④スペイン的要素・・・母親はスペイン語も話した

また、パリ万博で聴いた音楽につながる
⑤非ヨーロッパ音楽的要素・・・これは、属七和音→主和音がほとんどない、ということ

さらに
⑥怪奇趣味、魔法など、いわゆる不思議なものに対する興味・・・母親の出身地バスク地方の特殊な文化

・・・などが挙げられるでしょう。

私が、特に面白い、と思ったことは

⑦その作品は、職人的完璧(③のような)さが一方で在る(だから作品数は必ずしも多くない)にもかかわらず、そのハーモニーの低音を支える音が、最もプリミティヴな音程である五度であること。

完全五度の響き、というのは独特のもので
私自身は、原初的ということの他に、宇宙的、とも感じます。
人間は関係ない。

この完全五度(たとえば、ドソ)の原初的、宇宙的な響きのなかに
第3音(ミ、または、♭ミ)が入った時に、はじめて人間の感情を感じる・・・。

・・・
きょうはここまで。
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カツ丼

2009-07-10 21:23:56 | おいしいもの
今日は久しぶりにゆっくりできるので
出町の植木屋さんと
京都大丸の屋上にある植木屋さんに。

半夏生の涼しげな葉っぱを買おうと思ったのだけど
見当たらず・・・。

遅いお昼は
ぜったいにカツ丼を食べようと決心していて
トンカツ屋さんへ入る。

そこで注文したのが
ヒレカツ丼。

・・・・
あー、なんて中途半端な・・・

と後になって
自分の思い切りのなさがいやになる。

・・・つまり・・・ですね、
カツ丼って、それ自体カロリー高い・・・

ので、ほんとはロースカツ丼(ヒレカツ丼よりカロリー高い)がおいしいのに
そこでヘンな下心が思わず働いて
カロリーちょっと低めのヒレカツ丼を注文してしまった・・・のです。

でも、カツ丼を食べる、と決めたのだから
ここんところはどーんとロースカツ丼を食べるべき・・・ですよね。

もちろんヒレカツ丼もおいしかったですが。

・・・・
四条通りは
今日から鋒立て、でした。

ところで
昨日のラヴェルの講演会、
40名ほどの方が参加してくださり無事終了しました。

備忘的に、以下に書いておきます。

・・・と書きつつ
つづきは明日に。


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ひぐらし

2009-07-09 01:31:09 | 京都の暮らし
7月8日、日が長い。

まだ暮れきらず
少し明るい夜の7時過ぎ

船岡山の南のふもとで
今年はじめての蜩(ひぐらし)の声をききました。

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ラヴェルについてお話します

2009-07-06 17:23:21 | ラヴェル
以下、お知らせです。
今週の木曜日です。

   ミニ演奏付き講演会 「ラヴェルを聴く」  

 ― お話と電子ピアノによるミニ生演奏で楽しむ新しいスタイルのクラシック音楽セミナー―

「ボレロ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」の作曲者として、また「展覧会の絵」(ムソルグスキー作曲のピアノ曲)の魔術的なオーケストレーションで知られるモーリス・ラヴェル。その生い立ちと作品の魅力を、実際に楽器を弾きながらお話します。
「ピアノ三重奏曲」「ヴァイオリンソナタ」等の室内楽の、隠れた名曲もご紹介する予定です。

      ■2009年7月9日(木)午後2時~4時
      ■受講料 2200円(資料代含む) 
      ■京都リビング新聞社内(京都大丸南向かい))
      ■主催(問い合わせ・申し込み) 電話075-256-8418 京都リビング新聞社
                                 (月~金曜・10時~5時、祝日休み)
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トリプルコンチェルトをめぐる考察 3

2009-07-04 21:09:20 | ベートーヴェン
また続きです。

★トリプルコンチェルトop.56(1803~04年作曲)をめぐる考察

この時期のベートーヴェンは、以下のことをしつこく追及していた(河野み説)。

①冒頭のテーマの調から、いかに早く別の調に行けるか
②同音連打(一度)、二度、三度による、しつこいくらいのメロディの実験

上記のうち、今日は②の例を。

まずトリプルコンチェルト。

・第1楽章(ハ長調)
 第1テーマ 
 ドーシドミーレレ・・・レー#ドレファーミミ・・ミソーファファ・・ファラーソソーー#ソーラーファーレードーシーレードラーーーソソ・・・
 (ここまですべて一度、二度、三度のみでできている)

 第2テーマ(イ長調)
 ミ#ファー#ソラーー#ドミー#ドラーー#ラーシー#ドーレーミー#ファーー
 (同じく1、2、3度のみ)

・第2楽章 Largo(変イ長調)
 ドー♭シド♭レ・♭レ♭レーー♭ミドー♭レ♭シ・・・
 (同じく1、2、3度のみ)

・(attacca)Rondo alla Polacca(ハ長調)
第1テーマ
 ソーラシドレミドーシラファーファミミレレドドシラソ#ファソ#ファソ#ファソ
 (同じく1、2、3度のみ...ラファの6度=3度の倒立型)

 第2テーマ(ト長調)
 ソ シーソ レーシ ソ ソー#ファ・・・レ #ファーレ ラー#ファ レ ドーシ・・・
 (同じく1、2、3度。わずかに2回5度ソ レ、 レ ラが表われる。ただしスラーは切れている=別のフレーズ。)

 ポルカのテーマ(イ短調)
 ミ ラ ラ#ソラ ラシド ドレミ #ファ#ソラ ラシド ドレ ミーーーレード
 (冒頭アウフタクトの5度が1回出てきたあと、2度と3度のみ。)

・・・
また明日書きます。


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トリプルコンチェルトをめぐる考察 2

2009-07-02 20:42:59 | ベートーヴェン
昨日の続きです。

ベートーヴェンが、この時期に興味を持っている以下のことについて。

①冒頭のテーマの調から、いかに早く別の調に行けるか

昨日はピアノソナタ「ワルトシュタイン」について書きましたが、
今日はヴァイオリンソナタ(正確には、ピアノとヴァイオリンのためのソナタ)第9番「クロイツェルop.47」(1802~03年作曲)について。

クロイツェルって、いつも
えっと何調・・・?って思う。

一応「イ長調」だけど、実は
冒頭の序奏部分のヴァイオリンソロ4小節だけがイ長調。

第5小節目からのピアノソロはイ短調。
第7小節3拍目からト長調。
題8小節2拍目からハ長調。
第10小節目からホ短調。
第11小節2拍目からイ短調。
第12小節3拍目からト長調。
第15小節目からト短調。
第15小節目3拍目からニ短調。
そしてやっと序奏が終わり、第19小節プレストからイ短調。

序奏だけで、なんと九つの調(うち2調は二回)が出てくる!!

プレストの主部も
イ短調からハ長調、変ロ長調(変ホ短調)・・・と安定せず、
第45小節目でようやくイ短調に決まる。

・・・・続きはまたあした。
これから、ワルイお誘いがあり、迷ったあげくノッてしまいました。




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トリプルコンチェルトをめぐる考察

2009-07-01 15:38:24 | ベートーヴェン
28日日曜日のトリプルコンチェルト本番。

個人的には、出来は諸々ありましたが
全体の演奏としては
オケの皆さんともども本番が一番良かったと思います。
800名近くの来聴があったとか。
お客様もたいへん喜んでくださったようです。

演奏される機会の少ないこの曲を本番で弾けて
本当にうれしかったです。

プラス、この曲を弾くことによって
この時期のベートーヴェンの関心事が徐々に浮かび上がってきました!

前々回の日記に書いた続きです。

★トリプルコンチェルトop.56(1803~04年作曲)をめぐる考察

この時期のベートーヴェンは、以下のことをしつこく追及していた(河野み説)。

①冒頭のテーマの調から、いかに早く別の調に行けるか
②同音連打(一度)、二度、三度による、しつこいくらいのメロディの実験

①の例は、本当にいっぱいありますが、今日は
ピアノソナタ「ワルトシュタインop.53」(1803~04年作曲)についてのみ書きます。

ワルトシュタイン第1楽章(ハ長調 4/4)の冒頭「・ミミミ ミミミミ ミミミミ ミミ#ファファ ソーーシラ ソ・・・」ですが、

第1小節目と第2小節目3拍目まではハ長調。
第2小節目4拍目からト長調。
第5小節目から変ロ長調。
第6小節目4拍目からヘ長調。
題8小節目からヘ短調。
第9小節目からハ短調。

たった9小節の間に6つの調に転調してます。

第2楽章序奏(ヘ長調 6/8)冒頭は、

第1小節目3拍目までヘ長調。
同 4拍目からヘ長調ではなくなって(まだ確定できないが、イ短調とも言える)
第2小節目2拍目でイ短調、と思いきや
同 3拍目でホ短調。
第5小節で減七和音がでてきて調の確定ができなくなり
4拍目でヘ長調っぽくなって
第6小節4拍目で確定。

6小節間に4つの転調しました。

それに対して
最後のロンド(ハ長調 2/4)の部分は、ハ長調の念押しみたいな感じ。

第1小節から第14小節目まで、ハ長調のⅠとⅤの和音しか出てこない!

つまり
第1楽章と第2楽章序奏それぞれの冒頭テーマでさんざん転調をしたので
聞く方としては
「テーマがすぐ転調する」ということが知らず知らずのうちに刷り込まれている。

で、最後のロンドになったとき
またまた転調するのかと思いきや
なんと
ハ長調のⅠとⅤ、つまり「ドミソ」と「シレソ」という
一番の基本形、最もわかりやすい和音がど~んと続く・・・。

これってすごい存在感ですよね。

ワルトシュタインソナタは、
あらゆる意味で「立派な音の建造物」だと私は思いますが、
こういう点からもそれは確認されます。

・・・ということで、また続きは明日に。


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