河野美砂子の「モーツァルト練習日記」+短歌+京都の日々の暮らし

11/23(土)13時30分 NHK文化センター京都「マズルカ⑫最終回」Op.67、Op.68全曲 

「ボレロ」のアーティキュレーション

2009-07-15 16:10:19 | ラヴェル
先日の講演会「ラヴェルを聴く」での備忘録、つづきです。

「ボレロ」は
今でこそこんなに有名で、TVコマーシャルなどさまざまな場面で使われてますが
私が初めて聴いたのは、小学校5年生頃で
京都市交響楽団の定期演奏会(たぶん外山雄三指揮)。

世の中にこんな素敵な音楽があるのか、とおもった。

ぽか~んと、口あけて聴いてたような記憶・・・・
ヴァイオリンの人達が、ギターみたいに楽器を抱えてピツィカートしていたのが印象的でした。

・・・で、それからン十年後、
今回気づいたことは以下のとおりです。

スコア見て面白かったのは
あの冒頭のメロディ「ドーーシドレドシラ ド ドラドーー シドラソミファソ・・・」
・・・実はこれはのちのち延々と繰り返されるわけですが・・・

トップバッターは、フルート。
二番手は、クラリネット。

この二つはまったく同じメロディ。

なのに、このメロディの後半、
二つの楽器でアーティキュレーションが違う!!

・・・
「ボレロ」は、同じメロディを延々と「展開しないで」ただただ繰り返す、という、それまでの常識では考えられない前代未聞の作品。

初演のとき、
その演奏を聴いた或る人が、座席の背を掴みながら「気違いだ、気違いだ・・」と言っていた、ということを聞いたラヴェルは
「あの曲を理解したんだろう」と言ったそうですが・・・。

15分あまり、ただただ同じメロディを繰り返すのみ(最後の転調はあるにしても)なのに
聴衆を退屈させないどころか、感動を与えるのですが
そのためにさまざまな仕掛けがあります。

有名な話としては、
冒頭のメロディは、最初はいろんな楽器のソロですが
何回目かのメロディのとき、「オーケストラの魔術師」と異名を取るラヴェルのお家芸として

①トランペットとフルートを組み合わせたり
②ピッコロ二つとホルン、チェレスタを組み合わせたり・・・

①の場合はユニゾンですが
②は、ホルンとチェレスタは、そのメロディそのままのユニゾンであるのに対し
 ピッコロは、ト長調(つまり完全5度上)と、ホ長調(長3度上)

・・・倍音が聞こえるみたい、というか
これで、ちょうどパイプオルガンのような響きになる・・・。

上記のようなことは、つまり
同じメロディであるけれども「音色を変える」ということですね。

それに対し、
さきほど私が指摘した「アーティキュレーションの違い」は、
同じメロディの、いわば語り口の変化、ということ。

15分あまり、
まったく同じリズム(小太鼓)と同じ低音(ド・ソ・ソ)の上に同じメロディ。

でも
そのメロディの音色が違い、アーティキュレーションが違う、ということですね。

ちなみに、このアーティキュレーションの違いについて
オケマン(2フルーティスト+1クラリネッティスト)に質問したところ

アーティキュレーションが違うこと知っていたor意識していたのは
クラリネッティストで・・・というのも
クラは2番手だからなのでしょう、

フルーティストはトップバッターとして
あの低い音域でのソロというのは
けっこうプレッシャー・・・??





コメント (2)
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