河野美砂子の「モーツァルト練習日記」+短歌+京都の日々の暮らし

7/27(土)13時30分 NHK文化センター京都 ショパン「マズルカ」Op.59全曲、「バラード第3番」等

アマデウスへの手紙・13

2006-10-22 00:36:57 | アマデウスへの手紙
モーツァルトさん、こんにちは。

ロンド・ニ長調の、40小節目イ長調のあたりの話をこの前の手紙で書いていて、ちょっと短歌のことを思い出したので、今日はそのことを書きたいと思います。

あの、ハーモニーがイ長調からイ短調に一瞬変わるところ(1秒前後の長さ)、短歌でいえば、書いているうちに、ちょっと助詞を動かしたくなった、という感じと似てるのではないかしら?

固有名詞の思ひだせない日ぢやつたよ林檎摺(す)りをり暗黒の王へ         
・・・・・・・・岡井 隆(どの歌集に入ってたか思い出せない)

これって意味を読む場合、「暗黒の王へ」の「へ」がけっこう問題になるのだけど、作る方の立場でいえば、もともとは「へ」ではなく、きっと「は」だった(暗黒の王=岡井隆)。

固有名詞の思ひだせない日ぢやつたよ林檎摺りをり暗黒の王は

でもこれじゃストレートすぎて面白くない。
そこで、ちょこっと助詞「は」を操作して、「へ」へ。

するとちょっとしたねじれができて、スパイスが効く。

こういう操作が、モーツァルトさんの場合、書く前にアタマの中ですべて終わってるのかもしれないけど。

この短歌では、最後の助詞だけが替わりましたが、場合によっては、ひとつの助詞を動かすと、他の五句もそれに応じて変化することももちろんある。
それによって、思わぬ歌ができることあります。
自分の意図を裏切るように歌が動いていくの、おもしろいのですが、モーツァルトさんの場合、どうだったのでしょう?

それを考えれば、演奏も似たようなことありますね。
そのことは、また明日に。

わたし、締切過ぎた原稿があるんです。
岡井氏について、今からがんばって書きます。♪

コメント
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