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92式特受信機の定期点検記録 その1 (2015年11月01日)

2015年11月02日 10時52分17秒 | 02海軍無線機器

92式特受信機の定期点検記録 その1 (2015年11月01日)

今年の7月頃販売された学研の日本海軍戦記の「レイテ謎の反転」に九二式特受信機が登場します。
漫画とはいえ、海軍の受信機をテーマにした大変珍しい物語でした。

というわけで、今回は七年ぶりに九二式特受信機の定期点検を実施します。

今回の定期点検の目的ですが、以下の通りです。
①修復時は、時間の関係もあり主として受信機能の回復が唯一の目的であり、あまり性能のことまでは考慮しておりませんでした。
 今回は、性能重視の点検と調整を実施します。
  また、コイルボックスの蓋の作成と前面パネルの掲示版の欠落部の修復も合わせて実施します。

②長波のコイルパック(長波-ⅡE,F,G;800~300Khz)は既存のものですが、短波のコイルパック(短波-Ⅳ相当;4600~2400Khz)は自作のものです。
 今回は徹底的な調整を行い、感度アップを目指します。
③知人から頂いたデリカ製のハムコンバータを接続し、短波帯についてはアマチュア無線の実用通信の実現を目指します。
 ハムコンバータの出力が1.5Mhzのため、長波のコイルパック(長波Ⅰ-E,F,G;1500~600Khz)を自作します。

七年ぶりに通電すると、基本の受信機能に問題はありませんが、やはり受信性能は悪く、やっとのことで受信している程度のしろものです。
広島地域では広島局のNHKラジオ第二が702Khzが受信できます。
夜間帯ともなりますと、大阪局のNHKラジオ第一666Khzが電波伝搬の関係上でしょうか大変強力に受信できます。
短波帯では、ラジオ日経が受信できますが、修復時には3.5Mhzのアマチュア無線が受信できていたのですが・・・

基本テストの中で、短波と長波を切替スイッチ(回路図ではS3)を長波にすると、基本は短波帯の真空管のヒータを切断する仕様です。
ところが、長波帯の第一増幅段のヒータも切断しています。
オリジナルの故障なのか、修復時のこちらのミスなのか判然とませんが、どうみても回路図上では理解できません。
当面運用上では、短波帯として使用せざるを得ません。

長波のコイルパック(長波Ⅰ-E,F,G;1500~600Khz)の自作については、戦後のストレート受信機のコイルを代用します。
周波数帯が丁度適合しております。
また、検波段は再生検波用のコイルものを使用します。

いろいろ受信テストをしていると、突如長波の同調ダイヤルが異変を起こし、どのダイヤルをまわしても、大阪局のNHKラジオ第一の音声となりました。
どうもダイヤル機構を壊してしまいました。
大変重症です。
定期点検どころか完全に分解修理が必要です。
本機は、バリコンの軸がベークライト製のため強度が弱いという弱点があります。(H27.11.23訂正;ベークライトではなく、真鍮製でした)
とにかく分解してみるしかありませんが、また分解が大変な作業です。

 

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