司法試験受験時代に憲法の勉強をしていたときに、教科書レベルで、抵抗権や革命権が実定法上の権利か否かということが議論されていたように記憶している。なお、抵抗権と革命権の区別は、抵抗権が既存の憲法秩序を回復するための保守的なもので、革命権は既存の法秩序を打破して新しい法秩序を形成する点に違いがあると言えようか。日本国憲法制定における8月革命説という考え方も、明治憲法との連続性を認めがたいことから生じた考え方で、日本国憲法が当時既存の法秩序であったはずの明治憲法を打破した内容となっているから、8月革命説が説かれるのであろう(ただし、私はこの考え方は間違っていると思っている)。
それはともかく、抵抗権や革命権が実定法上の権利か否かと議論されても、少なくとも日本国憲法にはこれらの権利について触れている条文は全くなく、非常にわかりにくい議論だった印象がある。
しかし、今現在アラブ諸国で起きている反政府デモ及びこれによる政府の転覆劇を見ると、抵抗権や革命権は、集会行為の究極の姿として顕在化しているように見える。つまり、集会の自由を保障することが、ひいては抵抗権や革命権を憲法内在的に担保しているように見えるのである。もしそうだとすると、抵抗権や革命権は、日本国憲法においても担保されているといえそうである。
しかも、現在アラブ諸国で行われている反政府デモが、抵抗権の行使なのか革命権の行使なのか、そんなことは現段階でおそらく誰にもわからない。政府転覆の前後で憲法秩序の連続があれば結果として抵抗権として把握でき、連続がなければ結果として革命権と把握するということにならざるを得ないように思え、抵抗権と革命権の違いは、理念としては区別がついても、それは結果論でしかなさそうである。
アラブ諸国の反政府デモを見た限りの、ちょっとした感想的意見でした。