実務家弁護士の法解釈のギモン

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詐害的代表訴訟と再審(5)

2014-07-08 10:18:32 | 会社法
 要は、訴訟当事者でなかった第三者に対して既判力が及ぶ場合の、当該第三者による再審の訴えの可否という、一般的な問題として考えてみるとおもしろそうだというのが、私の考えの根っこにある。既判力が及ぶ第三者からの再審の可否は、決して会社法固有の問題ではないからである。
 民事訴訟プロパーの問題と考えても、訴訟担当のような場合に、馴れ合い的訴訟で被担当者が損害を被るような場合における被担当者からの再審というのは、理屈としては一応あり得る問題である。そして、新株発行無効判決に対する新株引受人からの再審請求の判例からすると、既判力を受ける第三者が、再審の訴えとともに独立当事者参加の申立をするという方法を、一般的に認めることが検討されてよさそうである。そして、私には、会社法853条はその特則的な位置づけになっているような印象を受ける。

 もっとも、詐害的判決に対して既判力が及ぶ第三者から再審の訴えを提起する方法については、究極的には立法的に解決する必要があるのかもしれない。立法論であれば、再審の訴えとともに独立当事者参加の申立を認めるというよりは、再審の訴えとともに補助参加(この場合は、共同訴訟的補助参加になる)の申立を認めることとし、ただ、再審事由として補助参加人独自の再審事由を認めるというのが筋のような気がしている。そうなると、会社法853条によく似た構造となりそうである。
 ただ、第三者に既判力が及ぶ全ての場合に再審を認める必要があるか否かは問題もありそうである。例えば、同じ訴訟担当の場面でも、選定当事者の場合の選定者を、被選定者と相手方間の馴れ合い訴訟を理由として再審を認める必要はなさそうである。そうだとすると、立法論で解決しようとした場合、再審を認めるべき事案とそうでない事案とを区別することが難しいということもあるのだろうか。

 思いつきでいろいろ述べてみたが、民事訴訟法上の難しい問題もありそうである。
 とりあえず、詐害的代表訴訟判決に対する他の株主からの再審の訴えの手続を具体的にどうするのか、誰か教えてほしい。

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