実務家弁護士の法解釈のギモン

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会社法改正案-スクイーズアウト(3)

2014-05-27 09:55:45 | 会社法
 下級審判例は、こうした株式併合や全部取得条項付種類株式を用いたスクイーズアウトを認めてきてしまっていたようであるが、私には、こうした事例こそ、権利濫用、あるいは多数派株主の横暴から少数株主を守る機能があるといわれる株主平等原則に違反する典型的な事例としか思えないのである。

 株式併合は、本来流通株式を比例平等的に減少させることを目的とした制度である。全部取得条項付種類株式は、基本的には倒産処理に入る前にいわゆる100パーセント減資(株式全部の償却を含む減資)を可能とすることを目的として、現行会社法制定時に導入された制度であった。
 いずれも、全株主に比例平等的に行われるのであって、一部大株主だけが株主として残り、少数株主を閉め出すことを目的に利用することは本来の想定にはなかったはずである。端数処理はやむを得ない最小限にとどめられるであろうことを想定していたのではなかったのか。それを、意図的に少数株主の持株全部を端数処理することそのものを目的に株式併合や全部取得条項付種類株式を用いるのであるから、これが権利濫用あるいは株主平等原則に違反しないのであれば、一体何が権利濫用で何が株主平等原則に違反するというのであろうか。

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