実務家弁護士の法解釈のギモン

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会社法改正法案-監査等委員会設置会社(4)

2013-12-16 13:56:24 | 会社法
 私が見る限り、監査等委員会設置会社と従前の監査役会設置会社との大きな点での違いは、既に述べた3つだけである。その他細かい点はまだよく見てないが、仮に第3の相違点があまり機能しないとすると、単に「監査役会」を「監査等委員会」に置き換えてることを前提に考えれば、大きな間違いはないのではないかと思う。
 その上で、監査役会設置会社との目立った違いを考えると、監査等委員会の委員は「監査役」ではなく「取締役」であることと、取締役(監査委員会の委員も含めて)の任期の点だけということになりそうである。

 この、「監査等委員会設置会社」の仕組みは、今回の改正の目玉の一つとされているが、以上のように監査役会設置会社とそれ程大きく違う仕組みとは思えない仕組みだとすると、以前のブログでも述べたように、海外の目から見た場合の「監査役」という仕組みのわかりにくさの解消ということそのものが主眼なのでしかないのかもしれない。
 それとも、私の偏見だろうか。

1 コメント

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大変勉強になります (故元助手A.T.)
2014-01-04 10:39:58
現在、監査等委員会設置会社について勉強していたのでこの一連の記事読ませていただきました。大変勉強になりました。

監査役会設置会社との違いですが、ご指摘いただいた3点のほかに、自分が気づいている点としまして

1.390条3項の常勤監査役設置義務に該当する条文が改正法案399条の2には用意されていない。岩原・商事1975号6頁によると監査等委員会の委員の中に常勤者は要求しないとのことです

2.改正法案423条4項で、利益相反取引について監査等委員会の承認を得た場合には、現423条3項の任務懈怠の推定規定の適用がない。
この点は非常に大きい気がします。いろいろ説明を付けているようですが、監査等委員会のみを特別に扱う理由に説得力はなさそうですので、いずれは他の組織形態も漸次この方向に改正していくのではないかと考えています(それこそ平成14年の委員会等設置会社のみに認められた取締役会限りでの配当決定権限が分配特則規定で監査役設置会社にも認められるようになるのと同じ道をたどるのではないかと)

大変勉強になる記事をどうもありがとうございました。

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