実務家弁護士の法解釈のギモン

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土地区画整理事業における賦課金の負担義務者(3)

2011-12-21 10:02:21 | 日記
 土地区画整理事業は、事業途中で仮換地を行うのが普通で、事業完了時にはそのまま本換地となる。他方で、地権者も場合によっては仮換地の土地を売る場合もある。この場合、新たな所有者が自動的に土地区画整理組合の組合員とみなされる。なぜなら、「土地」の区画整理事業を行っている以上、その「土地」の事業施行時の地権者を当事者として区画整理事業を施行せざるを得ないからである。
 問題なのは、この地権者の交代後に、突如賦課金が賦課されるという事例が生じているのである。私が扱っている事件では、仮換地の土地がマンション敷地となって、マンションが分譲されていた。そうしたところに土地区画整理組合が突如賦課金を賦課してきたのである。賦課金は、賦課時の組合員、つまり賦課時の地権者に対して賦課されることになるのである。結局、マンションの所有者全員にそれぞれ何十万円という賦課金が課されたのである。
 もちろん、マンション所有者としては寝耳に水であり、もっといえば、仮換地の土地上のマンションといえども、マンション敷地部分の工事はすでに事実上終わっていることから(そうでなければマンションとして売り出せない)、区画整理事業とは何の関係もないと思っているマンション所有者がほぼ全員と言っていいくらいなのである。そうしたところに、突如土地区画整理組合の組合員だからということで、賦課金が賦課された、ということなのである。
 おそらく、マンション所有者の誰一人賦課金の支払いを納得していない。

 そこで、現在私たち事務所の弁護士が事務所をあげて行っている訴訟が、この賦課金相当額を、何とかマンション分譲会社に負担させようという訴訟なのである。

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