実務家弁護士の法解釈のギモン

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「各自」の意味(4)

2012-11-12 10:37:32 | その他の法律
 また、連帯債務、あるいは連帯保証債務の支払を求めるときに、「被告○○は原告に対し、金500万円を支払え」「被告××は原告に対し、金500万円を支払え」と二本立ての請求の趣旨で訴えを提起したらどうなのだろう。
 このような方法で訴えを提起したことがないので、裁判所がどのような反応を示すか、よくわからない。しかし、連帯債務であろうと連帯保証債務であろうと、法律要件を満たせば、被告○○も被告××もそれぞれが500万円の債務を負うことになるのは実体法上当然である。だから、このような訴えの提起の仕方でも、間違いではないはずだと思っている。
 このことは、被告○○と被告××を併合提起せずに別々に訴えを提起できるはずであることからしても、間違いはないはずである。

 もしそうだとすると、二本立ての請求の場合、被告2名に対して連帯債務として500万円の支払を求める場合と、被告2名に対し500万円ずつ合計で1000万円を求める場合とで、請求の趣旨は異ならないことになる。当然、被告2名に対し一人一人別々に訴えを提起した場合でも同じである。
 それなのに、この2本立ての請求を1本にまとめたら、連帯債務や連帯保証債務の場合は「各自」であり、500万円ずつ合計1000万円を求める場合は「各自」ではない、というのは、どういうことなのだろう。
 そして、前回のブログで指摘した疑問を再現すれば、通常の保証債務はどうするのだろう。

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