実務家弁護士の法解釈のギモン

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「募集」、「売り出し」における元引受証券会社の責任(2)

2019-07-17 12:16:04 | 会社法
 最近の判例時報に出ていた判例は、極めて単純化すれば、要は有価証券届出書や目論見書に記載される企業情報の一つである財務情報、平たくいえば決算資料が粉飾されていたという事案で、「募集」または「売り出し」に応じて株式を購入した投資家が損失を被ったとして、元引受証券会社の損害賠償が問題となった事案である。
 有価証券届出書の虚偽記載であるから、有価証券届出書作成者である株式発行会社が責任を負うことは当然なのであるが、その他にも関係者の責任が生じることになる。ここで言う関係者としては、会社の役員も責任も問題となり、同様に監査証明をした公認会計士又は監査法人の責任、元引受証券会社の責任も問題となる。