実務家弁護士の法解釈のギモン

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債券管理会社の訴訟追行権(4)

2016-08-24 11:03:50 | 最新判例
 実務的には、サムライ債を発行する場合、発行体と証券会社との間の債券契約あるいは債券発行契約として起債しているようであり、法的根拠は「契約」としての位置づけのようである。
 この債券契約とともに、債券管理会社となる銀行との間で、管理委託契約を締結しているらしい。最高裁の判例に従えば、この債券の管理委託契約は、債券所持者を第三者とする第三者のための契約という位置づけである。そして、この債券発行契約と債券管理委託契約をあわせた内容が、結局のところ、会社法の社債管理者の権利義務の規定と同じような内容となっているらしいのである。
 したがって、外国企業や外国国家が日本国内で債券を発行する場合、すべて「契約」であるという前提で処理しているようである。

 仮に、国際私法的な側面で考えると、「契約」における準拠法は当事者の合意で選択できることになる。サムライ債では日本法を選択していることになるのだろうが、そうだとすると、契約自由の原則が働き、基本的には、債券契約としてどのような内容の契約をしてもよいということになるのだろうか。
 難しく考えすぎているような気もするが、結局は契約の中身の問題なのであろう。