また、弁済提供の効果と受領遅滞の効果もよく似ており、特に法定責任説の立場からすると、どちらの効果といってもいいような効果が多く、増加費用の賠償の問題も、弁済の提供により一切の責任を免れることの一内容ともいえなくはない。そのほか、保管義務の軽減、受領遅滞(弁済提供)後の履行不能における帰責性の問題(債権者に帰責性があるものと見なして考えられている)、危険の移転等が言われているが、これらが弁済提供の効果なのか、受領遅滞の効果なのか、必ずしもはっきりしない。というより、法定責任説の立場からすれば、どちらでもいいのかもしれない。
債務不履行責任の立場からすれば、帰責性を問題とすべき場面では受領遅滞の問題で、それ以外の場合は弁済提供の効果の問題と、一応分けて考えられるのであろうか。
債権法改正案では、「遅滞の責任」という抽象的な規定ぶりはやめてしまい、債務者の保管義務の軽減、増加費用の債権者負担を規定するにとどめ、さらに別の条文で、(履行遅滞中の履行不能は債務者に帰責性を擬制する規定を設けると同時に)受領遅滞中の履行不能については債権者に帰責性を擬制する規定を設ける形を取った。つまり、受領遅滞の効果として、この3つの効果のみを個別に規定することにしたのである。
この規定ぶりからすると、改正案では立法的に法定責任説の立場を明確に採用したように見える。なぜなら、債権者の帰責性を問題としていないし、増加費用の債権者負担以外の損害賠償や解除について言及がなく、損害賠償や解除を認めないものと解されるからである。
そして、3つの効果以外で伝統的に言われていた効果は、すべて弁済提供の効果として考えることになると思われるのである。
債務不履行責任の立場からすれば、帰責性を問題とすべき場面では受領遅滞の問題で、それ以外の場合は弁済提供の効果の問題と、一応分けて考えられるのであろうか。
債権法改正案では、「遅滞の責任」という抽象的な規定ぶりはやめてしまい、債務者の保管義務の軽減、増加費用の債権者負担を規定するにとどめ、さらに別の条文で、(履行遅滞中の履行不能は債務者に帰責性を擬制する規定を設けると同時に)受領遅滞中の履行不能については債権者に帰責性を擬制する規定を設ける形を取った。つまり、受領遅滞の効果として、この3つの効果のみを個別に規定することにしたのである。
この規定ぶりからすると、改正案では立法的に法定責任説の立場を明確に採用したように見える。なぜなら、債権者の帰責性を問題としていないし、増加費用の債権者負担以外の損害賠償や解除について言及がなく、損害賠償や解除を認めないものと解されるからである。
そして、3つの効果以外で伝統的に言われていた効果は、すべて弁済提供の効果として考えることになると思われるのである。