michi のひとりごと

日々のつぶやき、あれこれ。

老々介護で 100歳になった母を見送りました。
こちらは重度の難聴。

牛の心を『聴く』    〔思うこと〕

2010-07-12 07:15:04 | Weblog
かめおかゆみこさんの『聴く』シリーズで、
とても考えさせられました。

とても感想など、ひと言では言い表せないのですが、
思い出したことがあります。

それは、牛との心の対話。


そのころ私は、乳牛の飼育。
獣医師さんの助手をしていました。
治療や受精の助手、日常の観察、といったようなことです。

  牛って案外賢くて、
  「治してくれている」と分かると
  少々痛かったりしても我慢するんですよね。


牛って、身体はデカイけど、情緒的には
人間でいえば2才くらいかな、って感じでした。

ほとんどの牛は、穏やかでのんびりしているんですが、
ごくまれに、人を警戒しているコもいる。


そんな中で、
ちょっとしたことでも、瞬間的に反応して激しく蹴るコがいました。

  育ってきた過程で、なにか
  そうなるようなことがあったのでしょうね。。


最初は「怖い牛」「困ったコ」と思ってましたが、
そういう状態だと、治療や受精がとてもタイヘン。
時間はかかるし、身の危険を感じる。

さらに、そのコにとってもタイヘンだし、
適正な治療や受精など困難になるんです。
だいいち、そのコが幸福な生活とは言いがたい。

 これは、何とかしたい。
 お互いのために。

そう思って、本腰入れて取り組み始めた。


お昼休みの、辺りが平穏な時間に行って、ブラッシングをしてみました。

 ブラッシングというのは、からだ全体に
 専用のブラシをかけてやるんです。

 体調ととのえるにも良いし
 牛たちは、これ大好きで、
 よく「あ、、そこ、そこ、、」と目を細めて
 うっとりするくらいなんです。


でも、そのコの場合は違います。
「さわらないでよっ」と拒否してくる。

それで、
牛一頭ごとに仕切り(低い柵のようなもの)があるので、
その手前から手を伸ばし、こちらの安全を確保した状態で、
少ぅしずつブラシをかけていくようにしました。

「いいこ、いいこ――」「ほ~ら、気持ち良いよ~


日ごとに、わずかずつですが、
こちらを受け入れてくれるのが感じられるようになり、
1週間もたつと、ふつうにブラッシングさせてくれるようになってきました。


  心が伝わった。
  通じ合えるようになった。


「怖い牛」という観方ではなく、
すぐそばに寄り添って、こちらの想いを
彼女が受け入れ易いように伝えていく。

本気で取り組んで得た手ごたえ
折に触れて想い出されてきます。


   …最近、本気で『聴く』取り組み、
     してるかな…


コメント
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