Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Sandy Darlington

2009-09-13 | SSW
■Sandy Darlington / Natural Grit■

  正体不明の Sandy Darlington が 1976 年から 1979 年にかけて作りためた曲を、1979 年に一気に吐き出したのがこのアルバムです。 ひと言でいうと、1970 年代初頭のヒッピー感覚を受けつぎながら、気心の知れた仲間とホームメイドで作り上げた作品と言えるでしょう。 カリフォルニアからは、Jon TabakinJoseph NicolettiMichael Gillotti など捉えどころが難しいシンガーソングライターが突然出現しますが、Sandy Darlington もその一人です。 ネットで調べてもこのアルバムについて述べられているサイトを見つけることは出来ませんでした。

  このアルバムに収録されているサウンドは、アコースティックでシンプルなもの。 このブログで取り上げた作品のなかでは、Sparky Grisntead に最も近い雰囲気です。 ほぼ全曲に透明感のある女性コーラスが挿入されており、その爽やかさもアルバムの特徴です。 ただ、やや粘っこい Sandy Darlington のボーカルが爽快感を減少させており、そこが好き嫌いの分かれるポイントかもしれません。

  アルバムは群を抜いた名曲「Juicy」からスタート。 有名ミュージシャンによるデモ・録音みたいな仕上がりですが、この曲の陽気で能天気さには一気に引き込まれてしまいます。 つづく「Why Do Boys Have To Be Noisy?」はチェロが効果的に使用され、ややサイケな雰囲気も漂わせます。 「You Lost Your Touch With Me」はウェストコースト風味のコーラスが印象的。 フォークロック調の「Crazy Money」、メロウなミディアム「River Of Dreams」とアルバムは進行し、ラテンのリズム感とトーキングヘッズのような違和感がブレンドした「Spots In The Sky」で A 面は終了。

  B 面に移ると、陽気なロックンロール「Where Did You Get Your Dirty Mind?」、The Feelies のファーストに入っていそうな「We Come From Outer Space」、「ラストダンスを私に」のコード進行に酷似した「Turn Your Love My Way」と淡々とレコードは進んでいきます。 つづく「Sweet Darkness」は 1976 年に作られたバラード。 ピアノとギター、そしてコーラスだけの素朴な編成で一発録りされたと思われるこの曲はアルバムのなかでも重要なアクセントとなっています。 虚弱なパンク・ナンバーのような「Wind Me Up」は、カリフォルニアの SSW サウンドとは思えません。 ラストはさすがに考えて選曲されたようで「Baby She’s This And That」はかすかなメロウ&グルーヴ感が心地よく、アルバムを聴きえる名残惜しさすら感じさせるセンチメンタルさも兼ね備えた名曲となっています。 極端に言えば、「Juicy」と「Baby She’s This And That」の2曲だけでアルバムを語ってしまってもいいように思いました。

  Gato Naranjo (ガトーナランホウ、と読むそうです)という彼のプライベートレーベルから産み落とされたマイナープレスですが、人懐っこいたたずまいと幅広い音楽性が伝わってくる佳作と言えるでしょう。 このまま忘却されるのは惜しいアルバムです。

■Sandy Darlington / Natural Grit■

Side 1
Juicy
Why Do Boys Have To Be Noisy?
You Lost Your Touch With Me
Crazy Money
River Of Dreams
Spots In The Sky

Side 2
Where Did You Get Your Dirty Mind?
We Come From Outer Space
Turn Your Love My Way
Sweet Darkness
Wind Me Up
Baby She’s This And That

Recorded at Bay Records, Alameda Ca. and Tewksbury, Richmond, Ca
Engineered by Michael Cogan
Produced by Sandy Darlington

Sandy Darlington : vocals, guitar, backup vocals

Backed by Natural Grit
Rick Purcell : bass
Robin Chotzinoff : piano and backup vocal on ‘Sweet Darkness’
Patrick Riley : backup vocals and most vocal arrangements
Steve Hayton : lead guitar on most songs
Vic Trigger : lead guitar on ‘Juicy’
Chrstopher Sisson : lead and rhythm guitar on ‘River Of Dreams’
Rick Thomas : rhythm guitar
Jack Bei : drums
Sandy Spencer : cell and backup vocals
Norma Hibtsch : backup vocals

Gato Naranjo Records GT 404


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