Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Redeker

2009-09-20 | SSW
■Redeker / Hide And Seek■

  ワシントン州シアトル周辺を活動エリアとしていた兄妹グループ Redeker が 1982 年に発表したアルバム。 クレジットによるとこのアルバムをリリースする 10 年前から計 4 枚の自主制作アルバムを発表しているとのことで、彼らのキャリアは予想以上に長いようです。 その実績はたしかにサウンドにも表れており、歌心あふれたポップ・ソングの数々からは余裕すら伝わってきます。 それは、地道なライブ活動の積み重ねから来たものなのでしょう。
  しかし、このアルバムのジャケットはいただけません。 デザインが悪いのではなく問題は手抜き仕様にあります。 このレコードを包み込むものは 30cm×60cm の薄紙を二つ折りしたもの。  レコード盤をプレイヤーに乗せていると、単なるブックレットなのです。 ですから、このレコードは棚に入れたとたんに存在が判らなくなってしまうのです。 折り目がレコードの下側にあるために、12 インチシングルよりも性質が悪いのが残念です。

  そのようなチープな装いからは、クリスチャン系フォークを想像してしまいましたが、サウンドは先ほども述べたとおりバラエティあふれる良質なポップ集となっていました。 すべての楽曲を Redeker 兄妹が担い、リードボーカルは曲によって使い分けているのですが、どちらかというと妹の Renne Redeker がリードを務める曲のほうがしっとりとして自分の好みにあっています。   アルバムのなかから特に優れた曲をいくつかピックアップしてみましょう。
  二人の息のあったハーモニーとライトなアレンジセンスが光る「Be Someone」、ピアノを中心に添えたバラード「Hand To Lend Me」、秋の夕暮れのようにセンチメンタルな「Wise Love」でしょう。 とくに「Hand To Lend Me」では、Renee の歌唱力が遺憾なく発揮されており、アルバムのベスト・トラックでしょう。
  カーラ・ボノフの曲かと間違えそうな「Free Ride」、ブリルビルディング・ポップスのようなメロディーが光る「Night And Day」はスタンダードにも成り得る名曲。 「Love Will Come Shining」と「Love Keeps Coming」は同じテーマの曲。 メロウな前者はまたもやウッドストックの歌姫ニコル・ウィリスをほうふつとさせ、素朴なフォーキーの後者ではふたりの息のあったボーカルと繊細なギターサウンドが堪能できます。 こうしてアルバムを二度聴きとおしましたが、同年代のメジャー作品に比べて遜色のないサウンドにはあらためて驚かされます。 もしこの作品がこのクオリティのまま1978年頃にリリースされていれば、もう少し違った展開になっていた可能性もあるのではないかと思います。 例えば、Brownsmith のアルバムが自主制作でヒットし、それに着目したキャピトル・レコードが再発した例があるように、そうした広がりも期待できたかもしれないのです。
 
   このレコードは 1982 年の発売ですので、同時代の AOR や産業ロックからすると時代遅れの感は否めません。 だからこそ、彼らはマイペースで自主制作の道を選んだのでしょうか。 Redeker は 1985 年にも同じレーベル Angular からアルバムを発表しているようですので、その姿勢は一貫して不変なのかもしれません。 彼らは、音楽の本当の価値はその売上枚数と別のところにあること知っているのでしょう。

■Redeker / Hide And Seek■

Side 1
Tonight’s The Night
Be Someone
Hand To Lend Me
Give Me A Call
Walk Right In
Wise Love

Side 2
Free Ride
Hide And Seek
Night And Day
I See What You’re Doing
Love Will Come Shining
Love Keeps Coming

Produced by Paul Speer
Executive Producer : William angle
All songs composed by Daryl and Renee Redeker

Daryl Redeker : vocals, electric and acoustic guitar
Renee Redeker : vocals, acoustic guitar

Neal Spear : drums
Paul Speer : bass guitar, electric guitar
Gary Shelton : bass guitar
David Lanz : piano, prophet 5
Steve Reid : percussion
Jon Goforth : alto and tenor saxophone
Ray Bonneville : harmonica

Angular Productions ANGL-2001


最新の画像もっと見る

コメントを投稿